終章 ニートの逆襲

プロローグ


 ——魔界 魔王城 四魔将軍 鋼鉄のジャマル ——




 コンコン


「入れ」


「失礼します。ジャマル様。軍の編成ですが、今しばらく時間がかかるとのことです」


「フンッ、どうせほかの魔将が邪魔してんだろ? ククク、よほど俺が先陣の栄誉を勝ち取ったことが悔しいようだな」


 俺は執務室へと入ってきた、副官兼愛人のナンシーを手招きしながらそう言って笑った。


 そして机の横まで来たナンシーを俺の膝の上に乗せ、その美しい立髪を撫でた。


 相変わらずいい女だぜ。この長く形の良い馬頭につぶらな瞳。額から背中に流れる美しい立髪と白い翼。そしてこの逞しい筋肉。どれを取ってもアバドン族最高の女だ。


「おっしゃる通り魔将のメルギブス様が、ケルベロスとベヒーモスの提供に時間が掛かると言っておりまして……」


「やっぱりあのクソジジイか。魔獣を使役するくらいしか能がねえ、ひ弱な野郎がやりそうなことだ」


 アシュタロト族など、魔界の魔獣や幻獣界から召喚した魔獣を使役することぐれえしかできねえ種族だ。確かに使役したドラゴンやベヒーモスなどの魔獣は強力で、街を破壊するには便利だがそれだけだ。あんなひ弱な種族が俺と同じ魔将で、しかもナンバー2だってんだからやってらんねえ。


 チキュウという世界に魔人がいることがわかり、魔王様より先陣の栄誉を授かってからもう2ヶ月近く経つ。早いとこ出兵したいが、魔王様が用意させると言った魔獣を置いていくわけにはいかねえしな。


「ったく、メルギブスのジジイなんかの魔獣を借りなくても、チキュウなんか俺の軍だけで滅ぼせるってのによ」


「チキュウ世界には劣化したとはいえ魔人が数億と、人族と呼ばれる種族が数十億いるそうです。魔蟻でも数億匹も集まればベヒーモスを倒すこともあります。念には念をということでしょう」


「以前魔人がいたアデン世界ならそうかもしれねえが、魔素の濃いチキュウなら心配ねえだろう。過去に侵攻が失敗したのはアデン世界の魔素が薄かったからだ。そのせいでサキュバスやインキュバスなんて非力な種族で計略を仕掛けるか、ガーゴイル数百にケルベロス数体くらいしか送り込めなかった。その程度の数じゃ魔蟻に群がられて倒されるってもんだ。だが今回は違う。20万の俺の軍と、魔王様よりお借りしたこの魔神の角笛がある。魔蟻に群がられる心配など微塵もねえさ」


 俺は魔王様よりお借りした、大昔にこの魔界の唯一絶対神であった魔神シヴァの角で作られた角笛を手にナンシーへとニヤリと笑った。


 俺の軍とこの角笛があれば、チキュウをスムーズに征服できるのは確実だ。


 ククク……この俺が魔界から逃げ、怯えて暮らす魔人の末裔どもを殲滅してやる。そうなれば魔王様も我らが魔神であるバラン様もご安心されるに違いない。宿敵デルミナとその眷属を完全に消滅させることができるのだからな。


 神は信仰を失えば力を失いやがて消滅する。つまりは俺たちが魔人を滅ぼせばデルミナも消滅するってわけだ。


「確かに……アデン世界とは環境が違う上に角笛もございましたね。しかしまさかアデン世界から大陸ごと転移するなどとは想像もしておりませんでした」


「あの忌まわしいダンジョンを捨てられなかったんだろう。そのせいでバラン様に見つかってりゃ世話がねえがな」


 フンッ、馬鹿な魔神と眷属どもだ。


 デルミナが膨大な力を使ったことで、バラン様にあっけなく転移先を感知された。そのうえ転移した先がアデンより遥かに魔素の濃い世界だった。馬鹿な魔人どもだぜ。わざわざ俺たちが行きやすい世界に転移しただけではなく、魔素の濃い世界の存在を教えてくれたんだからな。


 先陣を切った俺が期間内に征服し、魔人を滅ぼし人族とかいうひ弱な種族を全て奴隷にしてやる。


「ジャマル様。魔人ですが本当に皆殺しになされるおつもりですか? ここ数百年で魔導技術を相当発展させたと聞いております。少々もったいないのではないかと」


「ふむ……確か空飛ぶ船にガーゴイルを撃ち落としたという魔導砲とかいうやつだったか? 」


 俺の馬面を舐めながら進言するナンシーに、昔魔人について受けた報告を思い出した。


 以前アデンの偵察任務についていたインプの奴らが、魔人は相当な魔導技術を持っていると言っていたな。なんでも空飛ぶ船があるとかないとか。


 魔導砲という魔力の塊を放つそこそこ強力な兵器もあると言っていたが、それを積んでいる船自体がガーゴイルでも落とせるようなヤワな船で動きも鈍いらしい。


 他に戦闘機と呼ばれる小型の空飛ぶ箱もあるそうだが、火力が低くガーゴイルですら落とせないそうだ。ナンシーはそんなガラクタなんかが惜しいと思っているのか?


「昔、父から空飛ぶ船のことを聞いて気になっていたのです。宮殿のような船もあるとか。そんな船の上でジャマル様にかわいがって頂けたらと……」


「わかった。お前のためにその宮殿のような空飛ぶ船を手に入れるとしよう」


 俺はナンシーの甘えるような声にそう即答した。


 よくよく考えてみれば、その船を戦力として組み込む必要はない。ならば占領したチキュウを空から眺めながら、美女たちを侍らせるのも悪くはない。


 そうなると魔人どもを皆殺しにするのは少々惜しいか。デルミナへの信仰をやめ、バラン様を信仰する者だけは生かしてやってもいいだろう。


 ククク、これは占領後の楽しみがまた一つ増えたな。





 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢



「コウ、あ〜ん」


「あ〜ん」


 俺の座るビーチチェアの隣でティナが、何もつけていないおっぱいにパイナップルを挟んで差し出してきた。俺は形の良いおっぱいと一緒にパクりと咥えた。


「ふふっ、次は私のをどうぞ」


 次に俺の後ろにいたオリビアが、半月状に切ったリンゴをおっぱいの先端にぶら下げて差し出して来た。


「あっ、んっ……」


 俺はそれをおっぱいの先端ごと口に含み、舌で突起の部分を転がしながらリンゴを噛んだ。その時オリビアの突起を軽く噛んでしまい、オリビアの口から色っぽい吐息が漏れた。


「コウ様、わ、私のも……」


「ああ、いただくとするよ」


 その姿を見ていたティナの向かいにいるラウラが、恥ずかしそうにメロンの切れ端をこれまた何も着けていないおっぱいの上に乗せて差し出してきた。


 俺はそれも迷わずおっぱいごとパクリと咥えた。


「こ、光。喉が乾いたでしょ? 」


 メロンを食べ終えラウラと軽くキスをしていると、ティナの隣にいたメレスが頬を染めながらもストローの差さったドリンクを手に持ち、俺に喉が渇いていないか聞いてきた。


「うん、ちょっと渇いたかな」


「そ、そう。なら飲ませてあげるわ……」


 俺が喉が渇いたというと、メレスは手に持ったドリンクのストローに口をつけジュースを吸い上げた。


 そして俺へとそのプルンとした唇を差し出してきた。


 俺はその唇を受け止め、彼女の何も着けていないおっぱいを揉みながら口移しで飲ませてもらった。


「あ、私もジュースを! 」


 それをメレスの後ろで見ていたリリアは、おっぱいをブルンブルンと揺らしながらドリンクバーへとへと走り出し、ジュースを手に持って戻ってきた。


 そしてメレスと同じように口移しで飲ませてくれるのかと思って待っていたら、なんとリリアはジュースを爆乳の谷間に流し込み、ジュースの池を作って差し出してきた。


 俺はそんな彼女の胸の谷間に身を乗り出して顔を突っ込み、その全てを飲み干した。


「うん! おいしかった」


 俺はリリアにそう言ってキスをして、ジュースでベタベタになった彼女のおっぱいを舐めて綺麗にした。


「んふっ、光さん……そんなに舐められたら……」


『キャッホーイ! ムーンサルトダイブだぁぁぁ! 』


『キャー! リズさんストップストップ! 』


 俺の絶技に内股でモゾモゾしだしたリリアの背後では、沖でリズとシーナがホークⅡに乗って宙返りをしながら勢いよく海へとダイブしている姿が見える。


「あ〜幸せだ〜」


 俺はたくさんの恋人たちに囲まれ、幸せを満喫していた。




 6月も終わりに近づいた頃。


 俺は恋人たちを連れて、沖縄の離島に新たに作ったプライベートビーチへとバカンスにやってきていた。


 このビーチには俺と恋人しかいない。親衛隊のくノ一や雪華騎士たちは、少し離れた隣のビーチでゆっくりしている。


 雪華騎士たちとも海水浴を楽しみたいが、魔人の呪いを見られるわけにはいかないからな。このビーチには恋人と俺だけだ。


 まあ恋人たちだけしかいないので、全員にトップレスになってもらっている。


 メレスとラウラは恥ずかしがったが、そこは集団心理。ティナとリズにシーナにリリアがあっさり水着を脱ぎ出すと、二人は恥ずかしながらも水着のトップを脱いでその白くて大きなおっぱいを太陽の下に露出させた。


 それからみんなで身体の外も中もしっかりオイルを塗り合い、俺の悪魔棒をスッキリさせてもらってからビーチで遊びまくった。


 そしてマジックテントで昼食を食べた後、俺はビーチパラソルの下で恋人たちにこうしてご奉仕されているというわけだ。


 右を見ても左を見てもおっぱいだらけだ。朝から何度我慢できなくなって襲い掛かったかわからない。


 さっきもトイレに行くと言って席を外したラウラがチラリと視線を送ってきたので、彼女の後を追ってトイレの中で犯したばかりだし。


 恋人同士なのに犯したってのはおかしな言い方だが、ラウラは最近無理矢理されることを求めてくるんだ。ただシーナとは違ってドMってわけじゃない。過去の上書きをして欲しいみたいなんだよな。最初はそんな暴力的なのは嫌だったんだけど、ラウラがどうしてもって求めるから仕方なくね……


 でもやってみたらラウラは人が変わったように乱れるんだよね。それはもう『もっともっと』って……普段はベッドの上じゃ受け身なのに、そういうプレイの時は凄いんだ。そして事が終わるとものすごい甘えてくる。そういうのもあって俺も彼女からサインがあればやることにしている。


 メレスとリリアとはだんだんアブノーマルなプレイになりつつある。二人とも百合ってくれるし、実はめちゃくちゃエロいリリアと何も知らないメレスのペアだとタブーが無いんだ。前も後ろも好きなだけ使わせてくれる。こんなこと絶対魔帝の耳には入れられない。知ったら発狂するんじゃないか? 


 アルディスさんもここへ来たがったけど、メレスが頑なに抵抗してなんとか置いてくることに成功した。本人は子供みたいにブーたれてたけどな。


 いくらタブーが無いとはいえ、メレスもさすがに恋人との情事を母親には見られたくないもんな。俺もアルディスさんがいたら、さすがに何にもできなくなるし。


 そんなことを考えていると、隣で女の子座りしながらジュースを飲んでいたティナが沖で喧嘩しているリズとシーナを眺めながら口を開いた。


「平和ね……本当に悪魔なんて来るのかしら? 」


「どうかしら? インプもまったく見かけなくなったし、魔界の門も相変わらず見つからないからなんとも言えないわ」


 そんなティナの呟きに同じように海を眺めていたラウラが答えた。


「そのうちやってくると思うよ。結界の塔も完成していつでも発動できるんだし、ゆっくり待っていればいいさ」


 俺はそんな二人に余裕の笑みでそう言った。


 今月の初めに青森と東京と四国の香川へ結界の塔の設置が完了したしな。そしてそのテストも終わった。帝国にある塔ごとが連動して張る結界と違い、それぞれが独立してドーム状に展開するこの結界は、日本と台湾全土をすっぽりと覆い尽くした。そのうえ5個艦隊からの、数時間にも及ぶ集中砲火にも余裕で耐えてみせた。


 その映像を全領地に放送してさ、領民はもうお祭り騒ぎだったよ。


 魔帝も帝国の魔導技師であるライムーン侯爵も、生放送を見てぶったまげていた。ライムーン侯爵なんか、うちの領地まで飛んできてうるさかった。『どうやってミーが作れない古代の遺物である結界の塔を作ったのデス!? しかもあんな小型の物を! おしえるデス! 今すぐその技術を寄越すデス! 』って、それはもう発狂してた。


 まあ当然教えるわけがなく、滅魔で行動不能にして縛って送り返したんだけど。


 日本のメディアでは、ここ最近の軍備の増強や領民が民兵として戦えるよう各地域に建設した武器格納庫などから、俺が結界の塔を作ったのは帝国から独立するためかもしれないと遠回しに論じていた。


 否定をしたいところだが、今のところスルーしている。確かに急激な軍備の増強に各地域に武器庫やシェルターを作らせ、しまいにゃ結界の塔だもんな。そう思われても仕方ない。


 下手に否定しても、じゃあ何のためにってまた騒がれるからスルーが一番だ。魔界から悪魔がやってくるからなんて言えないしな。


 そんなわけで対悪魔対策は万全だ。軍は今この時も各地で、過密日程の演習を行なっている。


 馬場さんたち幻影大隊も、帝国本土で潜入任務を始めて順調だ。幻影大隊と御庭番衆のおかげで帝国の情報は今まで以上に手に入るようになった。何度か危ない目に遭ったみたいだけど、思っていた以上に仁科たちは頑張ってくれているようだ。


 エインヘルヤルたちも、それぞれが上級ダンジョンの下層まで到達した。ああ、初代皇帝のパーティに女っ気は無い。偉そうに口説いてことごとく振られたみたいだ。あり得ぬ! とか言って現実逃避していたあのオッサンズには笑わせてもらった。


 ここまで準備したんだ。いつやってくるかわからない悪魔ごときに心を砕いて不安になるなんて時間の無駄だ。


 だから俺は恋人たちと一緒に、えっちで幸せな初夏のバカンスを楽しんでいるってわけだ。


『コウさーん! リズさんがまたホークを壊しました! お仕置きしてあげてください! 兎も一緒に! 』


『わっ! 馬鹿! コウにチクんじゃねえよ! ちょっと海中の岩にぶつけただけだろ! 』


「ふふふ、コウ。リズとシーナとも遊んであげて。私たちはここで見ているわ」


「ああ、ちょっと行ってくる」


 俺は浜辺で煙を出して動かなくなったホークの前で、じゃれ合っている二人の元へと歩いていった。


 まったく、リズはしょっ中ホークを壊すな。そんな安いもんじゃないのに。これはきついお仕置きが必要だな。


「わっ! ちょっ! コウ! どこへ!? 」


「ふふふのふですぅ……兎は磔の刑を提案します! 兎も一緒に! 」


「そうか、なら希望通り二人ともお仕置きだ」


 俺は青ざめるリズと嬉しそうなシーナを両脇に抱きかかえながら、近くの岩場へと向かった。


「ゲッ! アレは恥ずかしいからやだって! せ、せめてみんなが見ていない所で! 」


「ハァハァ……い、痛くしてください! リズさんにも兎にも! 」


「わ、わかった」


 俺は泣きそうな顔をしているリズとは対照的に、既に興奮してフェロモンを出しまくっているシーナに引きつりつつも、岩場に二人を恥ずかしい格好で磔にした。その後はティナたちから見えるように、動けない二人の身体をリズがお漏らしするまで隅から隅までイジメたのだった。


 そうしてひと通りお仕置きを終えた俺は、グッタリした二人をティナたちの前まで連れて行ってそのまま7人の恋人たちのお尻を並べた。そして日が暮れるまで肉と肉を打ちつけ合って楽しんだ。


 ああ、最高だ。こんな毎日がずっと続けばいいのになと思いながら。




※※※※※※※


筆者より。


遅くなり申し訳ありません。


本章が地上界編の最終章となります。


その次は魔界編が始まりますw


完結まであと2年くらい掛かりそうですが、お付き合い頂ければ幸いです。

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