第11話 転生
「よし、81階層に着いたぞ」
81階層の階層転移室に転移を終えた俺は、一緒に転移してきた者たちに向かってそう告げた。
「おっし、狩りまくってやるか! 」
「兎の光矢で浄化しまくりますです! 」
「あはは、張り切りすぎて怪我しないようにね」
俺は久しぶりのダンジョンでやる気満々で転移魔法陣から出るリズたちに、そう声を掛けながら後に続いた。
仁科たちに憑依する肉体を用意すると約束をしてから2日後。俺はリズとシーナと御庭番衆と親衛隊を引き連れ、ここ【冥】の古代ダンジョンの81階層へと久々にやってきていた。
ティナは先日ダンジョンの成長に巻き込まれ、幼馴染の女の子を救うために怪我をしたという少年が、治療を受けるために東日本領からやってくるらしく今回は一緒に来ていない。俺もその少年に会ってみたかったが、タイミングが合わないのでまた次の機会に会おうと思う。
オリビアは帝国本土で忙しくしており、毎日夜遅くに設置した転移装置で帰ってくる彼女に3日も掛かる今回の狩りに来てくれなどとてもじゃないが言えなかった。彼女は本土の馬鹿貴族の婦人相手に相当ストレスが溜まっているらしく、夜の順番の時はいつもより激しく求めてくる。俺はそんな彼女に感謝の気持ちを込めて、失神するまで腰を使ってマッサージをしてあげている。
メレスとリリアはアルディス湖から動けないからな。呼んだら魔帝夫婦がついてきそうだから誘っていない。あの夫婦が来たら余計時間が掛かりそうだし。
まあそんな理由でリズとシーナだけ連れてきたというわけだ。リズたちはギルドの下の人間が育ってきたので、3日くらいは不在にしても大丈夫だしな。
「おいおい、リズもシーナもなんでそんな元気なんだ? ここは【冥】の古代ダンジョンの下層だぜ? S−ランクの魔物が雑魚として出てくるような階層だって話じゃねえか。いくらボスがいるからって気を抜きすぎじゃねえか? 」
親衛隊の中でも精鋭の30名を引き連れてきたライガンが、やる気満々のリズにとシーナを見て呆れているようだ。
「フッ、ライガンよ臆したか? 主君をお守りするためならば、例え最下層のボス部屋にでも付き従うのが親衛隊であろう。主君を守って死ぬことが怖いのであればここで待っているがいい」
「そうよライガン。限られた時間内で各階層をくまなく移動しなければならないというのに、臆病風に吹かれた者など足手まといよ」
御庭番衆の精鋭50名を引き連れた
今朝から一部を除いた御庭番衆の者たちのやる気が凄まじい。古代ダンジョンの下層に行くと聞いて青ざめていた親衛隊とは対照的だ。
「なんだと!? 俺がいつ臆病風に吹かれたってんだ! だいたいよう、
「そ、それはついでだ」
「そ、そうよ。ついでよ。それが目的じゃないわ」
ライガンのツッコミに弥七とお銀だけではなく、ほかの御庭番衆の者たちも一斉に顔を背けた。
いや、別に知ってたけど。
だって幻身のネックレスと分身の指輪がもっと欲しいって言う御庭番衆を、それらがあるこの81階層の階層転移室に来れるように、俺が時間がある時に10階層から順にボス部屋へと送って行っているんだし。ボス戦の手伝いはしていないけどな。そんなことをして俺がいない時に、弥七たちだけでこの階層に来たら死んじゃうからな。
この間61階層の転移室に送った後、60階層のボスのエルダーリッチに苦戦しているとか言っていたからまだまだ掛かるだろうけど。
それでそんな時に俺が声を掛けたもんだから、二人とも大喜びしてたな。
「あっはははは! まあコウがある程度無力化するからそんな心配すんなって」
「ですです。弥七さんもお銀さんも、未回収の宝箱の場所は兎の地図のスキルですぐわかりますので安心してくださいです」
「いやまあボスがいるから大丈夫だとは思うけどよ? 確かデュラハンロードとエルダーリッチだったか? それに加えてドッペルゲンガーってのが複数体いるそうじゃねえか。そいつらは俺たちに化けるんだろ? 同士討ちになんねえか心配なんだよな」
「それは装備を鑑定すれば見分けられると教えただろ? 乱戦にならないよう注意すれば大丈夫だって」
今回ドッペルゲンガーだけは俺が殺すわけにはいかないからな。
「でもコウ。本当にドッペルゲンガーの肉体に馬場のおっさんたちを入れることができんのか? 」
「多分ね。やってみないことにはわからないけど、飯塚が体験した感触からいけそうなんだよね」
そう、俺は馬場さんたちをドッペルゲンガーの肉体に憑依させるつもりだ。
ドッペルゲンガーなら魔物だし、遺族だなんだを気にしないで済む。それに擬態の特殊能力によって人間に成りすませる。これならあいつらも文句はないはずだ。何よりAランクに近い能力があるからな。蘇生によってランクダウンしても、オーガなんかよりずっと強い肉体になるはずだ。
うまいこと憑依に成功したら、その身体能力と特殊能力を最大限に生かした仕事を振り分けてやる。そのためにも馬場さんら元ニートたち146人と、元自衛隊の63人の合計209人分と予備の素体が必要だ。
「お、御屋形様……」
「ん? どうした静音」
俺はやる気に満ちた御庭番衆の中で、唯一浮かない顔をしている静音率いる12人の分隊に顔を向けた。
「はっ! オリビア様の護衛についていた私たちがなぜここに呼ばれたのかと不思議に思いまして……できましたらその……コミケに出展するための締め切りが近いので……」
「わかってんじゃねえか。それが理由だよ」
「なっ!? なぜですか! なぜ新作の製作を邪魔するようなことを! 」
《そうです! 御屋形様は酷すぎます! 》
「ふざけんな! お前ら腐ノ一に酷いなんて言われる筋合いはねえ! 毎週毎週少年から中年まで幅広い年代のダークエルフを送り込みやがって! それを全員追い返したら今度は精霊中隊のエルフからその気のある男どもを送り込みやがって! ショックだったんだぞ! よく話すオロドレスとグイリンが男に興味があったと知ってショックだったんだぞ! そのうえそいつらと俺があんなことやこんなことをしたかのようにBL本まで作りやがって! 誰が新作なんか描かせるか! お前らのその腐った性根をこのダンジョンで叩き直してやる! 」
俺は静音以下揃って目の下にクマをこさえながら文句を言ってきた、12人の腐女子たちを怒鳴りつけた。
ティアとオリビアに、やりたいことを見つけて生き生きとしてるんだから大目に見てあげてと言われて我慢してきたがもう限界だ。ライガンの野郎も俺にその気がないのをわかってるくせに、しょっちゅう尻を押さえる仕草をしやがって! 一緒に地獄に叩き落としてやる。
これは復讐だ。俺が男も女も両方イケるというデマを領内に広めたコイツら腐ノ一と、ガチムチのくせに尻を押さえるライガンへの復讐なんだ。
「ご、誤解です御屋形様! 私たちは御屋形様への忠誠心から良かれと思ってしたのです! 愛する御屋形様は以前、私たちダークエルフが抱いてくださいとお願いしても断られたので仕方なく! 」
《そうです! すべては御屋形様を愛するがゆえ! 》
《中には私が目をつけていた男もいたというに……それを泣く泣く差し出したのになんという仕打ち! 》
《私も嫌がる恋人を差し出しました! それもすべて御屋形様に気持ち良くなっていただくためなのです! 》
「頼んでねえよ! てか恋人を差し向けるじゃねえ! 鬼か! 何度も言ってるが俺にその気はねえんだよ! 全部お前らの願望だろうが! 趣味だろうが! ふざけやがって、夜もしっかり見張りをさせるからな! 覚悟しとけよ! 」
「くっ……そ、それでは締め切りが……」
「知るか! お銀。この腐ノ一たちをしっかり見張っていろ。漫画なんか描かせたら連帯責任だからな? 今後このダンジョンへの入場を禁止するぞ? 」
「なっ!? は、はっ! くノ一たちでしっかり見張ります! 静音、おとなしくしてなさいよ? ダンジョンの出入りが禁止になったら長老に言って森に帰すわよ? 」
「そ、そんな殺生な! 森に戻されたらもう幕張に行けなくなるわ! 」
《せ、聖地に!? 》
「わかったら最前列でしっかり戦え。それじゃあ出発するぞ」
俺は絶望の表情を浮かべる静音たちにそう言って階層転移室の出口を開いた。
そして静音とライガン達を最前列に配置したあと、さっそく魔寄せの鈴を鳴らし魔物を呼び寄せた。
「お、御屋形様! 3方向からものすごい速度で強力な魔物が! 」
「ボス! シャレんなんねえ数がやってくるぞ! 一組づつ狩るんじゃないのかよ! 」
「エルダーリッチの魔法は封じるし馬車を引く馬の足も止めるから大丈夫だ。死ぬ気で戦え! そら来たぞ! 『滅魔』! 」
俺はまさか魔寄せの鈴を鳴らすとは思っていなかったのか、動揺する静音とライガンたちにそう伝え角から現れた馬車へとスキルを放った。
「くっ……こうなったら早いところ終わらせて帰るわよ! 私たちの作品を待つ同志のために! 」
《同志のために! 》
静音は訳のわからないことを言いつつも、俺のスキルで横転した左通路の馬車へと腐ノ一たちを引き連れ突入していった。
「なんで俺たちまで……お前ら死ぬなよ? 俺もせっかく苦労してS−ランクになったのに下げたくねえからな。行くぞ! 」
《おうっ! 》
ライガンたち親衛隊も正面で横転した馬車へと突撃した。
「お銀、さっさと片付けて先に進むぞ」
「ええ、宝箱のために」
弥七とお銀たち御庭番衆は、右方向で横転している馬車へと御庭番衆を引き連れ突入していった。
「『滅魔』! リズとシーナは静音のところに加勢しにいってくれ。俺は新手の馬車をどんどん行動不能にしていく」
俺は3方向から次々と現れるデュラハンロードが率いる馬車と、エルダーリッチを無力化しながらリズたちへと指示をした。
「あいよっ! アタシの破邪の双剣の餌食にしてやるぜ! 」
「リズさん! 静音さんたちがドッペルゲンガーに囲まれてます! 早くしないと同士討ちになりますです! 」
「もうかよ! アイツら寝不足なのか動き鈍すぎだろ! 急ぐぞシーナ! 」
「はいですぅ! 」
「静音たちが増えるとか悪夢だな……」
俺は遠くで増殖している静音たちを頬をひくつかせて見ていた。
それから1時間ほどで魔寄せの鈴が届く範囲の魔物を全て狩り終え、殺さずに生捕りにした複数の馬を魂縛のスキルで隷属させ皆を馬車の荷台に乗せた。
そして次のエリアへと移動して、魔寄せの鈴で呼び寄せて狩ってを繰り返した。その際に一体のドッペルゲンガーを生捕りにし、魂縛のスキルで隷属させた後に念話のイヤーカフを装着させて生態についていろいろ聞いた。
その結果。ドッペルゲンガーはさすが人間に擬態するだけあり、非常に知能が高いこと。性別がない魔物であること。魔物や人のオスとメスに擬態して繁殖していることがわかった。それがまた気持ちいいらしく、四六時中繁殖しているそうだ。猿かよ……
知りたいことを聞いた俺は捕らえたドッペルゲンガーを解放し、その日は見つけた小部屋にマジックテントを展開して休んだ。周囲は弥七とライガンたちのテントに囲まれた上に結界とトラップまで仕掛けてあるが、静音たちには交代で見張りをするように命令した。これも全て漫画を描かせないためだ。
こうして日中は狩りと宝箱探しをして、夜はマジックテントでリズとシーナとイチャイチャして過ごし、2日目の夕方に83階層で予定数のドッペルゲンガーの遺体を集め終えた。
その後は真っ直ぐ来た道を戻り、翌日には81階層の階層転移室に着き地上へと戻った。弥七たちはもっと下に行きたそうだったけど、大人数だからシーナの離脱のスキルも魔道具の離脱の円盤も使えないから仕方ない。
まあそれでも幻身のネックレス2つと分身の指輪2つに、隠者のマントを3枚ほど手に入れたから満足はしているようだ。また今回参加した者たちで争奪戦をやるらしい。山奥でやるようにとだけ言っておいたよ。
地上に出た俺たちはゲートキーで悪魔城に戻り、それぞれに報酬を渡して解散した。御庭番衆には宝箱のアイテムと、親衛隊にはドッペルゲンガー以外の魔石と途中手に入れた武器と防具だ。
別れ際に静音たちが、死んだ魚のような目でもう間に合わないとブツブツ言っていて大満足だったよ。この調子でコミケが近くなったらオリビアのところから呼び出して、ダンジョンに行かせることにしようと思う。
そろそろ俺以外の人間に、上級ダンジョンを攻略してもらわないと困るからな。これ以上ダンジョンが増えると管理が大変なんだよ。
そしてその日の夜は三日振りに会ったメレスとリリアと一緒にお風呂に入り、エッチなマッサージをしまくった。そして夜は夜でティナとオリビアに甘えられながら朝まで愛し合った。
その翌日はみんなが生き返った時のために、荒川さんと三田たちに下着や戦闘服に武器や防具などの準備をさせた。
荒川さんたちにはまだ馬場さんのことは話してない。幽霊と話していることも、生き返るかもしれないこともだ。幽霊は見えない人は信じられないし、生き返るかどうかもまだ確定じゃないしな。
なぜ209人分の衣服や兵舎が必要なのか荒川さんも三田も不思議がっていたが、明日になったらわかるとだけ言って用意してもらった。
そしてその翌日。
前回呼び出してから一週間が経過したこの日。俺は再び古代ダンジョンのいつもの広場へと足を運んだ。別にこの場所じゃなくても呼び出せるんだけど、みんなが幽霊として現れる前からずっとこの場所で語りかけていたからな。
それにもし今回成功するなら、みんなが死んだこのダンジョンで生き返らせたい。俺はあの日のことを無かったことにしたいとずっと思っていたから。
ティナたちも付いてきたがったけど、どうなるかわからないから俺一人で行くことにした。失敗したら期待していた分、お通夜みたいに空気になりそうだし。
俺は飛翔のスキルで全力でダンジョンを進み、広場に着いてみるとヴェロキラプトルの群れがいた。しかし俺の姿を見て速攻で逃げていった。俺はそんな奴らを無視していつもの位置に立ち、聖剣を取り出しまずはいつも通り馬場さんと浜田から呼び出した。
『阿久津。一週間ぶりだな』
『阿久津さん。みんなうるさかったんですよ? 知らないほかの魂の人たちも迷惑そうにしている感じでした』
「どうせ仁科たちが原因だろ? やっぱ後回しにするか」
そう考えた俺は滅魔でダンジョンから魔力を補給しつつ、木更津ダンジョンの同僚の元ニートと元自衛隊の人たちをそれぞれ20人ほど呼び出した。そして最後に仁科たちを呼んだところで一旦止めた。
209名全員を呼ばなかったのは、本当に憑依できるのかその検証に時間が掛かると思ったからだ。
『キタッ! 待ってたぜ阿久津! 』
『その顔は用意ができたってことだよな!? な? 』
『あっさん! 早く見せてくれよ! どんなイキの良い死体を集めてきたんだ? イケメンだよな!? 』
「ああ、みんなが満足する魔物を狩ってきたよ。A−ランクの魔物を209体集めるのはさすがに骨が折れたぞ? 」
案の定、仁科たちは周りの霊たちを巻き込み大騒ぎしている。相当楽しみにしていたみたいだ。
『げっ! 魔物かよ……A−ランクって相当やばそうだけど、吸血鬼とかか? 』
『吸血鬼かぁ。処女の生き血をすする日々も悪くはないか』
『吸血鬼ってイケメンだよな!? それに魅了とかそういう能力なかったっけ? やべえ! ヤリたい放題じゃんか! ナイスだあっさん! 』
コイツら……本当に生き返らせていいのかな。
ここにきて俺は完全に悪霊化しているこの男たちを、生き返らせることに躊躇いを覚えていた。
まあ、口じゃこんなこと言ってるけどみんないいやつなんだ。多分大丈夫だろ。
「吸血鬼なんかダンジョンにいねえよ。ほかの魔物だよ。ほら、これだ。誰からやる? 」
俺はそう言ってドッペルゲンガーを20体ほど仁科たちの前に並べた。
そしてその向かいに用意しておいた姿鏡を5つ立てていった。
『『『『『…………』』』』』
『…………阿久津。なんだこの白い物体は』
「予想通りの反応だな。これはドッペルゲンガーといってな? 人や魔物に擬態する魔物だ。男にも女にもなれるし、あっちの方も問題なく機能する。お前らの望み通りの完璧な肉体だろ? 」
俺はドッペルゲンガーを見て固まり、以前感じた怨念らしきものを再び放つ仁科たちにドッペルゲンガーの生態の説明をした。
『『『『『擬態!? 』』』』』
『マジか……そんなことがこの真っ白なのっぺらぼうができんのかよ』
仁科もほかの元ニートや元自衛隊の皆も相当驚いているようだ。
『にょ、女体にもなれるのか? 俺が女体に……』
和田はなぜか目を輝かせてる。確か昔TS物とか好きだって言っていたな。相変わらず業が深い男だ。
『あっさん! 本当に変身できんのか? できたとしてちゃんと勃つのかよ? 憑依してこの真っ白なままだったら嫌だぜ? 』
「多分大丈夫だと思う。一応これが狩っていた時の動画な? よく見てくれ」
俺はタブレットを取り出し、疑う飯塚に狩りの様子を撮った動画を見せた。
すると他の者たちも気になるのか全員が集まってきた。
『うおっ! なんだこのショートカットのムチムチのダークエルフの子! めちゃくちゃいい女じゃんか! え? 死んだ? あれ? もう一人同じ顔をした子に? あっ! 真っ白になった! マジか! あんなにそっくりに化けれるのかよ! 』
『ああ、一瞬で化けたな。正直見分けが全くつかなかった』
『あんな美女にもなれるのか……』
『うむ。これは凄いな阿久津。それに恐ろしく強い』
『僕なんて動きが見えませんでしたよ。真っ白で弱そうなのに強いんですねこの魔物』
「ステータスは素早さと力と器用さが高いですね。体力と魔力はそうでもないです。擬態以外特殊能力もないですし、一緒にいたエルダーリッチとデュラハンロードの方がS−ランクで圧倒的に強いですよ。このドッペルゲンガーは奇襲特化の魔物ですね」
俺は驚いたり感心したりしている皆にそう説明をした。
『阿久津。本当に憑依したら擬態できるんだろうな? 』
『できなかったら終わるなこれ……』
『意識を乗っ取られたりしねえかな? 』
「それはわからない。さすがに他人の、しかも魔物に人の魂を憑依させたことはないからな。でもお前らが最初言い出したことに、俺は三日もかけて集めてきたんだ。これがダメならほんとオーガくらいしかいないぞ? ゾンビは流石に嫌だろ? 」
『確かに成功すればこれがベストな魔物であることは間違いないな』
『ああ、これほど完璧な素材はないだろう』
『イケメンになれるしあっちの大きさも自由自在か……まさにエロゲの主人公だな。でもなぁ……』
仁科と和田と飯塚の三人は、それぞれの前に置かれたドッペルゲンガーを見つめながらお互いに感想を述べていった。あれだけ肉体が欲しいと言っていた飯塚は、どうもいざ憑依するとなると二の足を踏んでいるようだ。まあどうなるかわからないしな。気持ちはわかる。
「さあ、誰からやる? そうだな。最初に実験台になった勇者には小金貨5枚をやろう。日本円で50万くらいだな。いきなり風俗に行きたい放題だぞ? 」
『俺がやろう! 』
『『『『『おお〜! 』』』』』
俺の提案に真っ先に仁科が手を上げた。さすがは俺たちのライバルパーティのリーダーだっただけはある。周りの皆もその勇気ある行動に手を叩き賞賛している。まあ手はすり抜けているけど。
『俺もだ! 』
そんな仁科の勇気ある行動を見て和田も手を上げた。
『え? じゃ、じゃあ俺も』
そんな二人に触発されたのか、二の足を踏んでいた飯塚も手を上げた。赤信号みんなで渡ればって心情なのだろう。
『『どうぞどうぞ』』
『ええ!? 』
しかし飯塚が手を上げた瞬間。仁科と和田がまるで最初からそうすると決めていたように、手のひらを上に向けて飯塚へと差し出した。コイツら悪魔だろ。
「よし、じゃあ飯塚からだな。『滅魔』! 『死者蘇生』! 」
俺は突然の裏切りに飯塚が驚きのけぞりながら一歩下がったことにより、霊体がドッペルゲンガーの遺体と重なった瞬間を逃さなかった。
すぐさま飯塚の足首に滅魔を放ち動きを封じ、死者蘇生をドッペルゲンガーに向けて発動した。
成功したら時間が足らなくなるからな。とっとと憑依してもらわないと。
『なっ!? あっさん! 仁科さん!? 和田さん!? 』
「時間がないんだ飯塚。志願したんだからおとなしくしく中に入れ」
『残念だが50万はお前に譲るよ飯塚』
『風俗行きたがってたしな。年長者として今回は譲ってやるさ』
信じられないと言った表情でドッペルゲンガーの遺体に吸い込まれていく飯塚に、俺たちは爽やかな笑顔を向けて送り出した。
『くそっ! ハメられた! お前ら失敗したら覚えてろよぉぉ! 』
そんな俺たちの笑顔を見た飯塚は、怨念を送りながらドッペルゲンガーの中に完全に吸い込まれていった。
それから少ししてドッペルゲンガーから魔力反応を感じたと思ったら、首から上が姿鏡の方へとクルリと向いた。
『うげっ! 気色悪い! 』
『待て! だんだん人っぽくなってきたぞ? 』
鏡を見ながら作っていっているのか、その姿は徐々に人間の顔になっていき黒い髪も生え身体は細マッチョ体型になっていった。
「成功……かな? 『鑑定』 」
俺は日本人ぽくなっていくその姿を見て、成功したと思い鑑定を掛けた。
成功しているなら飯塚の名前が出てくるはずだ。
飯塚 拓也
種族: 幻影人族
体力:C
魔力:C+
力:A
素早さ:B+
器用さ:A
種族魔法:擬態
備考:新種族
「ん? 新種族? 」
俺は種族名と備考欄に書かれている文言を見て頭を傾げた。
ランクは蘇生の影響で2ランク落ちてるのは想定通りだけど、種族はドッペルゲンガーじゃないのか。でも種族魔法は引き継いでるな。ああ、カーラの時と同じか。カーラは魔界にいる種族になったから何も書いていなかったけど、幻影人族というのは魔界にはいないから新種族ってことか。
『どうしたんだ阿久津? 新種族とはなんだ? 』
俺が鑑定結果を見ていると、馬場さんが気になったのか確認してきた。
「ええ、幻影人族って種族になってたんですよ。恐らく魔物の身体に人族の魂を入れたからだと思います。擬態の能力もありますし、問題はないと思います」
『なるほど。完全な魔物にはなるわけではないのか』
「ええ、ハーフって感じですかね? 」
『おっ! 起き上がるぞ! 』
俺が馬場さんと話していると、変化が終わったのか飯塚の物となった身体がむくりと起き上がった。短髪だった飯塚の髪はなぜか長髪になっており、下を向きながら起き上がったのでその表情は俺たちからは見えなかった。
というか服を着ていない。素っ裸だ。もしかして服まで擬態できないのか? 種族が変わったことで種族魔法がダウングレードした?
起き上がった飯塚は右手で髪をかきあげながら顔を上げ、45度上を向きながら見守っていた俺たちへとその顔を向け口を開いた。
「フッ、生き返っちまたぜ」
「だ……」
『『『『『誰だよお前っ!! 』』』』』
俺たちは超絶イケメンになった飯塚らしき人間に一斉にツッコんだ。
「うおっ! なんだよ! 俺だよ! ちょっと目と鼻と口と輪郭をいじっただけだろうが! 」
『『『『『全部じゃねえか! 』』』』』
「こ、声はそのままだろ! 」
「むしろ声まで違っていたら別人じゃねえか! 」
なんなんだこの売れっ子俳優みたいなやつ! 仕草までキザっぽくなりやがって! フツメンで爆ぜろとかもげろとか言ってた俺の飯塚を返せ!
『飯塚。お前その姿でおっかさんに会いに行けんのかよ』
「プ、プチ整形したとか言えば……」
『どこがプチだよ! 億は金が掛かってんだろうが! 』
『ん? 飯塚? お前のそこ……そんなにデカかったか? 』
「な、何言ってんすか和田さん。俺は昔からこのサイズだって」
『……わかった。そうか、それもアリなのか』
『『『『『!? 』』』』』
『阿久津。例のタブレットの画像を飯塚に見せてやってくれ。機能点検だ。これは大事なことなんだ』
「え? あ、ああ。飯塚。ほら……あっと、服も持っていけ。あっちで着てから画像見ろよ? 」
俺は真剣な表情の仁科に言われたとおり、エロ画像がダウンロードされているタブレットを飯塚に投げ渡した。
そして用意していた下着と軍の戦闘服も一緒に渡した。
「サンキューあっさん。まあ大丈夫だと思うけど一応な」
飯塚はそう言ってみんなから離れ、みんなに背を向けながら服を着た後にタブレットを見た。
そして少しして振り向き、股間にデカイテントを張りながら満面の笑顔で親指を立てた。
『『『『『お……おおおおおおお!! 』』』』』
その瞬間。ダンジョン中に響き渡るかのような大歓声が湧き起こった。
『阿久津! 次は俺だ! 早く! 俺に肉体を! 』
『待て仁科! まだ本当に大丈夫かはわからない。ここは俺が被検体になる! 』
『『『阿久津さん! 俺がなります! 』』』
「わかったわかった。時間もないし十人づつやるから早くドッペルゲンガーの上に移動してくれ。さあ、馬場さんも浜田も早く」
俺は飯塚の姿を見て、一斉に迫ってくる皆にドッペルゲンガーの上に移動するように伝えた。そして皆の後ろで苦笑しながら見ていた、一番に会いたい馬場さんと浜田にも早く移動するように言った。
そして俺は死者蘇生を二度発動し、皆の霊体がドッペルゲンガーの中に吸い込まれていくのを飯塚と一緒に見守った。
すると皆の姿が徐々に変化していき……一人、また一人と起き上がっていった。
「馬場さん……浜田……」
俺は立ち上がりこちらを向く馬場さんと浜田を見つめ、二人の名前を読んだ。
「阿久津……生き返った。というのは少し違うが、再び肉体を得ることができたようだ」
「阿久津さん。人間じゃなくなっちゃいましたけど、僕の中身は変わっていませんから。僕は僕のままですから」
「うん……うん……よかった……よかった」
「ははは、泣くな阿久津。これからは近くにいる。だからもう一人で何もかも抱え込むんじゃないぞ? 」
「阿久津さんの悩みは僕たちが全部引き受けますから。今まで通りなんでも相談してください」
「……はい。また世話になります」
俺は涙を拭い二人に頭を下げそう言った。
「阿久津ぅぅぅ! 生き返った! いや転生した! ありがとう阿久津! これでケモミミハーレムが作れる! 」
「阿久津! ありがとう! ありがとう! お前のおかげで俺は性の探求者になれそうだ! 」
俺が馬場さんたちとしんみりしていると、後ろからインテリチックなイケメンと、ジャニーズ系のイケメンが俺に抱きついてきた。
「仁科? に和田か? テメっ! 全裸で抱きつくんじゃねえよ! 静音に見られたらまた誤解されんだろうが! 」
俺は声と僅かに残っている面影で誰かがわかり、デカイ股間のモノを押し付けながら抱きつく二人を引き剥がした。
コイツらは揃いも揃ってエロゲ仕様になりやがって! 仁科のソレはなんだ!? なんでイボができてんだ!?
「わっははは! 感謝の気持ちが爆発しただけだ。俺にその気はねえよ」
「俺にもねえよ! 」
「だったら早く服をくれよ服! んで早くほかの仲間たちも転生させてくれ! 」
「わかったわかった。一気に呼び出すから早く着替えて場所を空けてくれ」
俺はそう言って仁科たちに早く着替えるように言い、残りの魂を次々と呼び出していった。
そうして呼び出した皆は、先に肉体を得てはしゃぎ回る仁科たちを見て驚いていた。俺はそんな皆にドッペルゲンガーのことを説明した。すると当然ともいうべきか再び大歓声が巻き起こり、全員の了承を得てドッペルゲンガーの身体に皆の魂を入れていった。
それを2回ほど繰り返し、全員を幻影人族に転生させることに成功したのだった。
全てが終わるとさすがの俺もスキルの使いすぎで疲れ果て、着替えなどは先に転生したみんなに配るように言ってその場に座り込んだ。
いくら魔力を無限に使えるとはいえ、さすがにこの回数の死者蘇生はキツ過ぎる。
《い、生き返った! お前は野村……士長か? 》
《は、はい。村田……3曹……ですよね? 》
《ああそうだ。まあなんだ、お互い顔のことは言わないことにしよう》
《了解! 》
《やった! 本当に生き返ったぞ! 家族にまた会えるんだ》
《また生きられるのか俺……またこの世界で……》
《ああ……智美に……智美にまた会える……》
《江島士長……もう4年以上経ってるんだ。あまり恋人のことはその……》
でも元自衛隊のみんなのこんな姿を見たらな。自衛隊の皆さん。これで借りは返しましたよ。
俺は一部浦島太郎状態で悲劇が起こりそうな隊員のことは見て見ぬフリをして、聖剣を空間収納の腕輪にしまうのだった。
それから見事に全員イケメンで股間のモノが大きい皆が着替え終わるのを待っていると、服を配っていた馬場さんが俺の元へとやってきた。
「阿久津。どうもみんなリベンジしたいらしい。武器を持っていないか? 」
「みんながですか? ええ、ありますけど……」
俺は馬場さんの言葉に剣と槍。そして軍の黒革の鎧を全員分取り出し置いていった。
念のため荒川さんと三田に用意しておいてもらってよかったな。サイズは適当だけど、そこはみんなが合わせんだろ。好きなだけ体型を変えられるんだし。
しばらくすると全員が革鎧を身に着け終わり、武器を手に取った。
「阿久津。みんなで話したんだが、この広場からやり直すことにした。確か魔寄せの鈴だったか? そういうのがあったはずだ。あの時のように集めてくれないか? ああ、阿久津がいると集まらないか。その鈴を貸してくれると助かる」
「……本気ですか? 」
俺は馬場さんに本気でヴェロキラプトルの群れとやり合うつもりなのか確認した。
いくら強い身体になったとはいえ、まだ転生したばかりだ。いきなりヴェロキラプトルの群れとやり合うのはリスクがある。
「皆がな。やり直したいと言っているんだ。ここからあの時のやり直しをしたいんだそうだ」
「やり直し……」
あの日あの時。この広場でヴェロキラプトルの群れによる奇襲を受けた時から全てが始まった。ここで自衛隊の皆が足止めをし、俺たちは逃げながら一人また一人と待ち伏せをしていた火蜥蜴とヴェロキラプトルに喰われていった。
あの時の状態を再現しようっていうのかよ……
「ああ、今度こそ全員揃ってこのダンジョンを出る。誰一人欠けることなくな」
「……わかりました。ですが鈴は俺が鳴らしますし、皆から離れるつもりもありません。隠者のマントで魔力を消すので俺がいても問題ないです。あと、剣と槍だけじゃちょっと心配です。身体強化と初級スキルですけどいくつか渡すので、皆で相談して覚えてください。護りの指輪もいくつか渡しておきます。回復は俺がやるので思いっきり戦ってください」
俺はそういって持っているだけ身体強化と初級のスキル書を皆に渡した。中級のスキル書もあるが、これは使い慣れていないと集団戦闘で使用するのは危険だから除外した。
「おお、ありがとう阿久津」
「あっさん太っ腹だな! 」
「阿久津が後方にいてくれりゃ安心だな」
「いいさ。どうせ後でみんなには覚えさせるつもりだったものばかりだし。馬場さん、あの時のようにニート部隊の指揮をお願いします。元自衛隊の皆さんは荒川さんの代わりの方がお願いします」
「わかった。あの時のように先陣を切って戦おう」
馬場さんは俺が渡した黒鉄の大剣を構え、ニヤリと笑った。
「了解! 元自衛隊の中隊は自分が指揮を執ります! 」
自衛隊は武田一曹が荒川さんの代理で指揮を執るみたいだ。この人は三田たちを助ける時に、火蜥蜴の火球からその身を挺して三田たちを守り命を落とした人だ。
それからしばらくして皆がスキルを覚える者を決め、それに合わせ新たな隊列を組み始めた。
見たところ攻撃系のスキルは使い慣れている自衛隊の人が覚え、身体強化系はニートたちが覚えたようだ。ほんとあの時の状態に似てきたな。装備もランクもずっと上だけど。
「これから元ニートと元自衛隊の皆さんによる合同リベンジを行う! この広場でヴェロキラプトルを殲滅した後に、出口まで移動する! 今度こそ全員で生きて外に出る! そして全員で故郷の大地を再び踏もう! 」
「「「「「おおおおおお!! 」」」」」
「阿久津。頼む」
「わかりました」
俺は馬場さんの合図で魔寄せの鈴を鳴らした。そしてすぐに隠者のマントで魔力を隠蔽した。
それにより周囲にいたヴェロキラプトルと火蜥蜴が、一気にこの広場へと向かってきた。
その数はあの時、この広場に現れた30匹のヴェロキラプトルの倍はいるようだった。その後方からはノソノソと集まってくる30匹ほどの火蜥蜴の反応もある。
「来たぞ! 前より数は多いが今度は逃げん! 自衛隊の皆さんと共に戦えば勝てる! 隊列を組め! 囲まれないように壁を背に展開! 最前列は木更津ニート隊が受け持つ! 」
「「「おうっ! 」」」
「和田! 今度こそ倒すぞ! 」
「ああ、あの時のリベンジだ! 」
「あっさん! ちゃんとフォローしてくれよな! 死にそうになったら助けてくれよな! 」
「大丈夫だって、ほら来るぞ! 逝ってこい! 」
「ちょ、字ぃぃぃ! 」
俺が前列で剣を構えて俺に催促してくる飯塚に別れの言葉を投げかけると、そのタイミングで最前列に迫ってくるヴェロキラプトルへいくつもの火球と火矢が襲い掛かった。自衛隊の援護射撃だ。
「今だ! 斬り込め! 」
「「「「うおおおおお! 」」」」
火級をモロに受けたヴェロキラプトルは堪らず足を止め、そこへ馬場さんたちが襲い掛かった。
以前と違い馬場さんたち元ニートの動きは素早く、そしてその斬撃は一撃でヴェロキラプトルの硬い皮を貫いた。
《いける! 勝てるぞ! 》
仁科が後方に向けてそう叫んだ。
《東海ニート隊! 臆すな! トラウマを乗り越えろ! 復讐だ! リベンジだ! 》
《関西ニート隊も関東に負けんな! しばいたれ! 》
《う、うおおぉぉぉ! 》
最初はヴェロキラプトルの群れを前にトラウマが呼び起こされ腰が引けていた者たちも、馬場さんや仁科など関東の木更津ニート隊が次々とヴェロキラプトルを倒していく姿に勇気づけられ前線へと躍り出ていった。
それからは圧倒的だった。
それはそうだ。あの時のニートたちはE−ランクばかりだったのに対し、今はランクが落ちたとはいえ魔力を除けば全員がB+ランクはある。装備も圧倒的に良いし、数だって元自衛隊の隊員たちを入れれば209人だ。合わせて70匹程度のCランクのヴェロキラプトルと火蜥蜴に負けるわけがない。
それでも何人かがヴェロキラプトルに噛みつかれ体当たりを受け、火蜥蜴の火球を受けて焼かれた。しかしその都度俺が後方からエリアヒールを掛けて回復させていった。
そして30分後。
馬場さんたちは全ての魔物を殲滅した。
勝鬨をあげる皆を尻目に俺は魔物を全て回収していき、その後も皆の後をついて行きながら出口へと向かった。
その途中幾度もヴェロキラプトルの奇襲にあったが、皆はその全てを跳ね除け出口へと辿り着いた。
「出口だ……」
「ダンジョンから出れる……」
「やっと……やっと……」
出口が見えた時。皆が一斉に走り出した。
その顔は涙に濡れていた。
俺はそんな皆の後ろ姿を追いかけていった。
ここまであの広場から歩いてたった2時間の距離だ。
だけどこの距離を皆と戻るのに4年以上掛かった。
今やっと、俺はかつての仲間たちと共にこのダンジョンから出れることができたんだ。
誰一人欠けることなく。あの時の仲間と一緒に……
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