第20話 愛の雪
「とりあえずコウ、お願い」
「ああ、なんとかしてくるよ。ティナは落ち着くまでここにいてくれ……『結界』」
俺はティナと自分に結界を掛け、氷と炎が拮抗する場へと一歩踏み出した。
部屋の中央では魔帝たちがフラウの攻撃を相殺している。メレスを攻撃できないから大変そうだ。
俺は魔帝の必死の形相が面白かったので、滅魔は放たずそのまま精霊魔法とスキルが飛び交う中へスタスタと歩いていった。
パシーン パシーン パシーン
「ぬっ!? 魔王! 早く無効化せい! 何を涼しそうな顔をして歩いているのじゃ! 」
「いや、なんか魔帝が必死そうだから面白くて」
「なんじゃと貴様!余裕を見せおってからに! クッ……『ファイアーウォール』 」
「だ、誰!? 黒髪!? お父様! この変わった顔をした男は誰ですか!? まさか悪魔!? 止まりなさい! 近づかないで! 来ないで! 」
「か、変わった顔!? くっ……傷付く……」
今さら俺の存在に気付いたのかと思えば変わった顔ってなんだよ! 普通だよ! エルフの血が入ってんじゃねえのかよ! メレスの母ちゃんそこんとこ教えてからいなくなってくれよ!
俺はまるで物語に出てくる雪女のような美しくも冷たい表情をした女性に、変わった顔だとか怯えた声音で悪魔とか近づかないでとか言われて傷付きその場に立ち尽くした。
もしかしたらとちょっと期待していた俺が甘かったよ……
「ククク……じゃから言ったろ。メレスは美しい物を見て育ったのじゃ。地球の人族のような醜い物は一切見せておらぬ。メレスには魔王は悪魔に映っておろうのう? ククク」
「ぐっ……蛇目の口裂け魔人に言われたかねーんだよ! 」
この野郎……何が美しい物を見せていただ! 俺がどんなにフツメンでも、口裂け魔人よか遥かにマシだ!
それに知ってるか? 魔人種のコイツらは、苦しんで死ぬ間際にのみ変身するらしいんだ。それは当然本人たちも知ってるわけだ。でもそれを魔帝と公爵以外は、先祖が悪魔を討伐した際に受けた呪いだとかって思い込んでるんだぜ? 神人といいちょっと洗脳されやす過ぎないか? 最近テルミナ人が哀れに思えてきたよ。
あれ? そういえばこういう洗脳されやすいところもどっかの都市国家の市民と……いや気のせいか。
俺は一瞬浮かんだデジャヴを振り払い、メレスのもとへと再び足を進めた。
「え? 全て弾かれている? あ……フラウ! もうやめなさい! もう誰かを傷つけようとするのはやめて! 」
「メレスロスだったな。それじゃ駄目だよ。精霊は使役するものじゃない。友達なんだ。君は友達に命令するのか? 」
昔ボールは友達とか言ってたサッカー少年がいたけど、お前は友達を蹴るのかと問いたい。
「なにを言ってるの!? 精霊は使役するものよ! 力で押さえつけて言うことを聞かせるのは当然よ! 」
「使役にねえ……でも制御しきれてないじゃないか。いいように魔力を奪われて、そこのメイドや君を守る騎士どころか父親まで傷つけている」
「くっ……そ、それは……フラウを抑えきれない私のせい……そうよ、私が弱くて中途半端な存在だから……だからフラウは……」
「中途半端? まあさすがに魔帝の娘なら知ってると思うが、魔人とエルフのハーフだからか? 」
「……ええ。私は禁忌の存在。この世に生まれてはいけなかった……お母様もきっと後悔していたはず……」
「おお……メレス……そんなことはな……」
「甘ったれんな! 」
俺はメレスの言葉にカチンときて、魔帝の言葉を遮り声を張り上げた。そしてそれと同時に人を避け、魔素を介して部屋全体へと滅魔を放った。
その瞬間。
部屋を覆い尽くしていた氷は一瞬にして消滅した。
「な……何がいったい……」
「魔王……視界外の物も……」
魔帝は初めて見た俺の新技に驚いていたが、俺はそれを無視してメレスの肩の上にあるメレスと同じ魔力の塊に話し掛けた。
「フラウ。俺は全ての魔力を吸収できるスキルを持っている。君と契約者の魔力もだ。まだ外で遊びたいなら、少しでいいからおとなしくしていてくれ」
俺がそう言うと、精霊魔法を再度行使しようとしていたフラウの動きが止まった。いい加減無駄なことに気付いたようだ。
それを確認した俺は、次に俺を見て驚いているメレスの青い目を見つめて口を開いた。
「魔帝の子として生まれ、何不自由なく200年も恵まれた環境で育ってきたくせに、生まれてきてはいけない存在だっただって? 何千年も奴隷として使われ、両親を知らないエルフがいるってのに何言ってんだ? お前には身体が凍ろうが抱きしめてくれる親がいるじゃねえか。親の温もりを知ってんじゃねえか」
「……そうかも知れない……そう見えるのかも知れない……けど、それでも……私はこの湖から外には出られないのよ……毎日寒いの……私の近くにいる人たちはみんな凍ってしまう……友人のリリアも、私を守ってくれている雪華騎士の皆も……もう何人も……私はもう……もう誰も傷つけたくないのに……ここは氷の牢獄なのよ……お父様には感謝しているわ。こんな私を愛してくれている……けど、温もりなんて……もう何十年も感じないの……寒いの……心も身体も……それに私はお母様には……」
そうか、俺を拒絶したのは傷付けたくなかったんだな。冷たそうに見えるけど心は優しい子なのかもな。
しかし温もりを感じないのか……魔帝があんな思いまでして抱きしめていたのに、それすらもフラウによって阻止されていたのか。
それにしても父親だけでは不満とか、とんだ甘えん坊だな。まあ父親がアレじゃ物足りないのはわかるがな。やっぱ母親なんだよな。その母親も奴隷だったことを知っているんだろう。父親の治める国が何千年とエルフを奴隷にしていることを。だから自分は母親が望んで産んだ子ではないと思っているのかもな。
さて、まずは誤解を解かないとな。でもその前に……
「温もりか……ならこれはどうだ? 」
俺はそう言ってメレスの首を両側から優しく包みこんだ。
冷たい……異様に冷たい……でもフラウが今はおとなしくしているから感じるはずなんだが……
「え? あっ……あたた……かい……温かい……」
「ぬっ! 魔王! メレスに触れるでない! 」
「うるせえな魔帝、治療だよ。『ラージヒール』 」
俺は騒ぐ魔帝をたしなめ、メレスへとラージヒールを発動した。
「え? な、なにを……うっ…… 」
「少し辛抱していてくれ。俺はラージヒールの熟練度が高いから、すぐに失った腕は生えてくるから」
俺がラージヒールを発動すると、メレスは腕が生えてくる独特の感触にその無表情だった顔を歪めた。
そんなメレスへと少しの辛抱だからと声を掛け、視界の外にメレスの左腕が見えたところで俺は彼女から離れた。
「う……腕が……まさか……本当に……ラージヒール……伝説のスキルが……」
「メレスロス。君は母親には愛されてなかったんじゃないかって心配しているのか? 望まれて生まれた存在じゃなかったと? なんでそう思うんだ? 君の母親が奴隷だったからか? 俺は君の母親には会ったことがないが、エルフの女性は力尽くで犯されたりなどしない。その前に相手を殺し自らの命を絶つ。気高く誇り高い種族。エルフってのはそういう人たちなんだ。たとえ命を失おうとも、好きでもない男にいいようにされるような存在じゃない」
「そうよ。私たちエルフはたとえ首輪を嵌められようとも決して屈しないわ」
俺が俯くメレスにエルフの気高さを伝えると、ティナが俺の隣へと並び立ちそう言った。
「長い耳……金色の髪に青い目……エルフ? 貴女は? 」
「貴女のお母様と同じ水精霊の湖のエルフ。エスティナよ」
「お母様と同じ水精霊の……エスティナ……」
メレスはティナの存在にも初めて気付いたようだった。
結構前から部屋にいたんだけどな。遠かったってのもあるけど、魔帝しか目に入ってなかったみたいだな。
メレスは母親と同じ種族であるティナをジッと見つめている。それはまるでその姿に亡き母親を重ねているようだった。
そんな視線を受けているティナはメレスから目をそらし、後ろにいる魔帝へと顔を向けた。
「陛下? この子の名前は母親が? 」
「ん? そうじゃが? 古いエルフ語らしくての。美しい響きじゃったから余も気に入ったのじゃ」
「ふふふ、そう……メレスロス? 聞いてちょうだい。貴女の名前の意味を」
「名前の……意味? 」
「ええ、メレスロスは古いエルフ語で『愛の雪』というの。意味は……そうね。雪のように降り注ぐ愛によって生まれた、穢れを知らない純粋な子ってとこかしら? 貴女は間違いなく望まれて生まれた子よ」
「愛の……雪……」
「貴女は母親から望まれて生まれてきたの。そして愛されていたわ。陛下はちょっと……いえ、かなり困った人だけど、貴女を想う気持ちは本物よ。だからあまり自分を卑下しないことね」
「私がお母様に……」
「メレス……すまぬの……余の力不足で辛い思いをさせた……許せ」
「お父様……私は……お父様とお母様に……」
「ふふふ、それとフラウ。初めまして。あなた凄く美人さんね。ちょっとその姿を私の恋人にも見せてあげてくれないかしら? 私の恋人は精霊が喜ぶおやつをいっぱい持ってるのよ。だからいいことあるわよ? 」
ティナは魔帝とメレスが見つめ合う中、メレスの肩の辺りにそう話しかけた。
するとフラウは20cmくらいの氷の少女のような形となり、ティナの元へと飛んできた。
おやつって魔力水のことかね? まあいっぱいあるけど。風精霊たちからのおねだりが凄いからな。もう毎日作ってる気がするよ。
「え? フラウ? なぜ? 」
メレスはフラウがティナの言うことを聞くのを見て驚いているようだ。
「メレスロス? 精霊は奴隷じゃないわ。対等なお友達よ。この子たちはお友達が欲しいの。貴女と契約した時もお友達になれると思ったから契約したのよ。それを使役しようだなんて裏切りだわ……それに精霊はね? 命令されることを一番嫌がるの」
「そ、そんな……でもお父様や周りの皆は……」
「魔人は脳筋の集まりだからな。力で押さえつけようとしか思わないさ。メレスロスは悪くない。君の周りにいた魔人が馬鹿なだけだったんだ。災難だったな」
「「「うぐっ……」」」
あれ? 魔帝や公爵だけじゃなく、メイドまでショックを受けたような顔をしてるな。この子も同類か?
「ふふふ、エルフがいなかったのだもの仕方ないわ。それにしてもフラウはいい子ね。伝説では悪く言われてたけど、全然そんなことないわね。ねえフラウ? 今まで寂しかったのよね? ……ええ……うん、やっぱり……ん? どうしたの? ……ふふっ、コウは大丈夫よ。貴女とメレスロスの魔力を全部奪ったりしないわ。とても優しい人なの……うん、そうよ。また暴れたら怒るかもね……ええありがとう……そうね、それならウンディーネとお友達になってちょうだい。ウンディーネ? もう大丈夫よ。コウがいるし、この子もコウには敵わないことはわかってるわ。もう暴れないって約束してくれたわ」
ティナはフラウと何やら話し、ウンディーネを呼んだ。すると腰の無限水筒からウンディーネが顔をちょこんと出して、恐る恐るフラウを見てお辞儀をした。それを見たフラウもお辞儀をして、安心したウンディーネは水筒から出てティナの肩に乗るフラウの元へと飛んでいった。
「水の精霊……お母様と同じ……」
「コウ、おやつをあげてくれる? 」
「ん? ああ」
俺はティナに言われた通り空間収納の腕輪からポーションの小瓶に入れた自作の魔力水を4つ取り出し、ウンディーネとフラウに渡した。ウンディーネはすぐに自分の瓶の蓋を開けて、フラウにとりあえず一口飲んでみなよという感じで勧めた。
フラウはウンディーネに言われて恐る恐る魔力水を口に含むと、そのままグイグイ飲み始めて一気に飲み干した。その後ウンディーネはフラウが持っていた魔力水の小瓶を一つ回収した。さすが食いしん坊の精霊だ。
「ふふふ、美味しいって言ってるわ。コウの魔力は人気ね。なぜかしら? 不思議よね」
「きっと心と同じく清らかで澄んだ魔力なんだろうな」
「ふふふ、コウの冗談は面白いわ」
「う、ウケてよかったよ……」
俺はティナに一番ダメージがくる返しをされ、認めたくないけど冗談だったことにした。
俺たちがそんなくだらないやり取りをしていると、フラウとウンディーネは魔力水を飲み干し部屋の中を飛び回り始めた。どうやらウンディーネが飛ばした水を凍らせる遊びをしているようだ。
「信じられないわ……フラウがあんなにおとなしく……それにあんなに楽しそうにしているなんて……」
「メレスロスは精霊が何かをまず知らないといけないわね。そうね。コウとここに何回か来るからその時に教えてあげるわ。それとあとでフラウに謝りなさいね? 契約した精霊は貴女から離れられないのよ? それを奴隷のように扱おうとして、拷問みたいな仕打ちを長年してきたのだから。しっかり謝って、そしてまずは対等な関係であることを自覚なさい」
「そんな……私は今までフラウに……そんな……」
メレスはティナの言葉に相当なショックを受けたようで、もともと白い顔がさらに白くなり今にも倒れそうなほどに震えていた。
「貴女よりフラウの方が傷ついているわ。精霊は純粋だから心から謝れば許してくれる。しっかり謝っておきなさいね」
「……わかったわ」
「まあいいでしょう。これで依頼はひとまず完了ね。コウ、どうせサービスするのよね? 」
「まあね。本人が気に病んでいるみたいだしな。それじゃあそこのリリアさんだったか? ついでに騎士の子たちもここに来て」
「え? わ、私でしょうか? 」
「そうだよ。魔帝、どうせ全員やらせるつもりだったんだろ? 」
俺は戸惑うリリアと騎士の子たちを見たあと、何故かティナとメレスロスのやり取りを潤んだ目で見て気持ち悪い顔をした魔帝にそう話しかけた。
「お、おお……まあそうじゃ。宰相がの、魔王は女に甘いからやってくれると言うのでな。ほれ、皆の者。あそこの不細工な男のもとへ行くのじゃ」
「この野郎また人を……チッ、メレスロスが責任を感じてると思うからな。アフターサービスだよ」
「も、もしかしてリリアや皆も治してくれるのですか? 」
俺が魔帝の挑発を堪えていると、メレスが若干強張った声で恐る恐る俺へと聞いてきた。
「ああ、今まで自分だけ治してもらえてて気に病んでたんだろ? 患者の心を楽にするのも治療の内だからな」
どう考えてもメイドや騎士たちの怪我はメレスが原因だろ。だけど貴重な2等級ポーションは、全員を治せるほど手に入らなかったんだろう。自分の精霊が原因で腕や目を失った人たちに囲まれ、自分だけ治してもらえてたなんていったいどんな気持ちでいたんだろうな。想像するだけで病みそうだ。
「ああ……そんな……ど、どうしてそこまでしてくれるのですか? 」
「依頼だからな。それと……」
「それと? 」
「俺は最後はみんなが幸せになるハッピーエンドが好きなんだ」
島の皆のように。どんなに辛い過去があったとしても、それを帳消しにできるくらい最後は幸せになって欲しい。今の俺のように。
「他人の幸せのために? そう…………変わった人」
俺の言葉にメレスは少し驚き、そして俺の目をみつめながらそう言った。
「変な顔と言われるよりいいさ」
「あ……あの時は……」
「ははは、冗談だよ。もう気にしないよ」
「…………その……名前を聞いても? 」
「阿久津 光だ。よろしくなメレスロス」
「アクツ……コウ……アクツ…………メレスよ」
「ん? 」
「メレスと呼んでいいわ」
メレスは背筋を伸ばし、大きく膨らんだ胸を張ってそう言った。
急になぜか偉そうな態度になったが、その顔は心なしか赤みがさしているように見えた。
「そ、そうか。じゃあよろしくなメレス。さて、それじゃあ治療の続きをするかな。メレスはフラウに謝っておいで。ティナが付いてくれるし俺がいるからちゃんと話し合えるはずだ」
「そうするわ……その……ありがとう」
「どういたしまして」
俺は偉そうな態度から一転して、今度は俺から目を逸らしながら感謝の言葉を述べるメレスにそう返し、リリアと騎士たちの集まる壁際へと向かった。
「お待たせ。それじゃあリリアだったね。君から治療するからじっとしててくれ」
「ほ、本当に私たちにもラージヒールを? 」
「俺は魔帝と同じ伝説級ランクだから魔力は多いんだ。それにスキルもある。君たちくらい何十人いたって余裕だ」
「で、伝説級!? 」
俺は驚くリリアをよそに彼女の前に立ち、目の前に鎮座する大きな胸に手を伸ばそうと……するのを必死で押さえ込み、彼女の右肩に手をかざしラージヒールを発動した。
「うぐっ……ああ……う、腕が……ああ……私の……あ……ありがとうございます……これでメレス様のお世話ができます」
「凄いな君は……メレスをよほど慕っているんだね」
俺はメレスの精霊のせいで腕を失ったにもかかわらず、自分のことよりもメレスを第一に考えているこの子を素直に凄いと思った。
赤髪だし魔帝の子のメレスの世話をするくらいだから、どこかの貴族の令嬢だよな。同じ貴族令嬢なのに、コビールのとこの馬鹿女となんでこんなに違うんだ?
「はい……私が幼い頃から妹のように可愛がってくれました」
「そうか……よしっ! もし君の家の人でここで傷付いた人がいたら連れておいで。全員治してあげるから」
「え? いいのですか? その……母が足を……」
「いいよいいよ。騎士の人たちもここにいない人を連れてきてくれ。次に来た時に引退した人を連れてきてもいい。全員治してあげるから」
俺はなんかこのリリアという子の健気さに気分が良くなり、この際だからメレスに関わって傷付いた人を全員治してやることにした。
「あ……ありがとうございます。地球の人族がこんなに優しいだなんて……」
「メレスロスの前でカッコつけたいだけだよ。男なんてこんなもんさ」
「あら? 下心がおありなんですね」
「下心は別として、美人に良く思われたいと思うのは普通だと思うんだよね」
「確かに……それは女も同じですね」
「そういうことさ」
「なるほど。そういうことですか」
「ぷっ……」
「ふふふ……」
俺がくだらないことを言ってると、リリアは小動物のような顔と仕草で小気味良く反応した。俺はそれが面白くてつい笑ってしまった。すると彼女も釣られて笑っていた。
最初は怖い目つきだと思ったけど笑うとめちゃくちゃ可愛いな。オリビアといいリリアといい、魔人なのに……なんだかな〜。
もうとっとと全員を治して帰ろう。俺は早く帰ってこのモヤモヤを、ティナとイチャイチャして発散するんだ。
俺はリリアと話し終えてから騎士たちを次々と治療した。
そしてフラウに謝り終わったのかフラウと話し込んでいるメレスや、仲間たちと喜び合っている騎士たちを置いて、ティナとウンディーネを連れそっと部屋の外に出た。そしてゲートキーで家へと帰ったのだった。
濃い女公爵とかいて色々とあった一日だったけど、とりあえず依頼は完了した。あとは飛空戦艦や飛空宮殿が届くのを待ってる間に、ここに何回か来ればいいだろう。リズやシーナの喜ぶ顔が楽しみだな。
それにしてもいい女だったなメレス。次はゆっくり話したいな。魔帝抜きで。
こうして桜島の戦力を大幅に拡充する兵器と、俺と恋人たちの別荘となる飛空宮殿をタダで手に入れることに成功したのだった。
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