第7話 パーティ
「メリークリスマース! 」
「「「「「めりーくりすまーす! 」」」」」
俺の掛け声に港に集まった住人たちは手に持ったビールやシャンパン、そしてジュースなどを掲げて乾杯をした。
今日のこのパーティのために、俺は5日前から皆に準備させていた。
ここには島の住民とエルフの森から遊びに来た人たちも含め、およそ4千人ほどが集まっている。
もう港中テーブルと酒と食べ物だらけだ。調理場として使っている建物は戦場になっているよ。
竜の肉も大盤振る舞いで、その価値を知っている者たちは大興奮だった。
ちなみにここにいる者全てがクリスマスの意味をよくわかっていない。
確か神様だったか神の使徒様だったか覚えてないが、その人が降臨した日だったと思う。
いいんだよ、日本人はお祭り好きだしな。帝国の奴隷だった者たちは、帝国の記念日にちょっと良い物を食べれるくらいだったみたいだからさ。みんなが楽しめればなんでもいいだ。
ここには警備隊の人間も全員いる。島の警備はオリビアが連れてきた兵士にやらせてる。
港にいても獣人が何千人もいたら落ち着かないだろうしな。喜んで受けてくれたよ。
パーティが始まると参加者がそれぞれプレゼントを渡したり渡されたりを始めた。
3日前にクリスマスがどういうイベントか獣人の男たちに説明して、金を持たせて街に買い物に行かせたからな。エルフの男はいいんだ。あんな気の長いやつらは片想いの子をニートたちに取られればいい。淡白すぎだろアイツら。
女の子たちはティナが資金を渡して買い物に行かせてたな。もしかして逆告白もあるか!? それはさすがにないか。
俺もティナとリズとシーナにそれぞれプレゼントを渡し、ティナたちからもそれぞれもらった。
家の管理をしてくれているニーナやレミアたちにもしっかりと渡したよ。これは日々のお礼だからお返しはいらないよと言ってね。凄く喜んでくれてた。
ティナたちからプレゼントをもらって俺も嬉しかったしな。いいよなこういうの。
なにが入っているか開けるのは帰ってからのお楽しみだな。ちなみに俺はニーナたちにはおしゃれな時計をあげて、ティナたちには下着とアクセサリーを買った。
ただ、シーナだけは前から欲しがっていた鎖付きのチョーカーだ。きっと喜んでくれるだろう。
いいんだ。俺はシーナの全てを受け入れたんだ。これでいいんだ。
俺が鎖を持ってどこにシーナと散歩に行こうかなと考えていると、三田や鈴木がカチンコチンになってそれぞれの想い人にプレゼントを渡しに行く姿が目に映った。
お? 年長組のポメリは嬉しそうだな。尻尾をパタパタ振って顔を真っ赤にしてる。それを三田が萌え死にそうな顔で見てる。髪を中分けにして優等生ぶっておいてロリコンだもんな……マジで手を出すなら帝国の成人年齢である16まで待てよと言っておかないとな。
鈴木のお相手の虎人族のララはビックリしてるな。まあ帝国の奴隷で施設にいたら、プレゼントなんてもらったことないのかもな。おお!? お礼か? 抱きしめられて頬擦りされてる。あっ! 鈴木のやつ身体強化スキル使った! D+とC+のランクの壁はまだまだ厚そうだ。種族的な基本身体能力の差もあるしな。
なんかミシミシいってるけど大丈夫かな鈴木……顔は嬉しそうだな。口からなんか泡みたいなのが見えるけど。
ん? あれは田辺じゃないか? オイオイオイ! あ、あいつダークエルフ狙いだったのか!? あの野郎ずっと好きな子は秘密ですとかいっておいてエルフスキーだったのかよ! 俺を見て自信をつけやがったな? ティナが田辺はイケメンだって言ってたもんな。あのゴツイ顔のどこがイケメンか俺には分からんが。
オイオイ……グラスを持ってダークエルフと2人でこの屋外会場から離れていくよ。
やっぱイケメンなのか。なにげに固いとこを攻めた田辺が最速で彼女作りそうだな。アイツやるな。
俺が田辺と寄り添い歩くダークエルフを見ていると、それぞれ知り合いに挨拶しに回っていたティナたちがやってきた。
「コウ、なんのお祝いの日かわかわないけど、愛する人にプレゼントを渡す日だなんていい風習ね。エルフの皆は人族のイケメンの男の子たちからプレゼントをもらって喜んでいたわ。渡す相手がいない子も、女の子同士で渡しあったりして楽しそうだったわ」
ティナが楽しそうにそう言うと、リズとシーナもそうそうって相槌を打っていた。
「そうだね。だから多くの国に普及したんじゃないかな。恋人と一緒に過ごす日でもあり、家族と一緒に過ごす日でもある。この日のために好きな子に告白する男の子も多いしね」
「てことはよ? コウもあたしたちと出会う前は告白したのか? 」
「学生の頃にね。めでたく玉砕してシングルベルを送ったよ。ははは……」
この時期は女の子もクリスマスを意識して成功率が高いはずなんだ。なのに……くっ……苦い思い出だぜ。
「コ、コウさんには兎がいますから! えっちなティナさんも夜も肉食のリズさんもいます! 」
「ちょ、ちょっとシーナ! みんながいるところでなんてこと言うのよ! 」
「シーナ! 誰が肉食だ誰が! あたしは夜は尽くすんだ。毎回コウは大満足してるって言ってるんだぜ! だいたいシーナなんか尻や腹に落書きされて喜んでんじゃねえか! このドM! 」
ちょ、ちょっと……エルフや獣人のみんながニヤニヤして見てるって!
ニート組の奴らは刺すような視線を送ってきてるし!
「ふえええ……ドMじゃないですぅ。コウさんに激しく求めてもらいたいだけですぅ」
シーナが俺の腕を抱きリズに堂々と言い返した。
「ポーションも飲まないでお風呂で真っ赤になったお尻が痛い痛いって、それはもう嬉しそうに言ってるじゃない。ドMにしか見えないわよ」
そこにティナが恥ずかしい思いをさせられた報復にと、両腕を組みながら追撃を仕掛ける。
ニートたち以外からの視線も痛くなってきた。
「あれは愛の証ですぅ。あの痛みがコウさんの愛を思い起こさせてくれるんですぅ。ティナさんだってお昼は執務室でしょっちゅうコウさんとイチャイチャしてるじゃないですか〜。多分私とリズさんよりコウさんとえっちなことをした数は多いですぅ。階段とかでなんてえっちですぅ」
しかしシーナは恍惚とした表情で俺を見上げ、そしてティナに悪戯っ子のような目を向けて反撃をした。
「そ、それはコウが求めてくるのよ。私が欲しいって、愛し合ってるんだからその求めに応じるのは当たり前よ。普通よ普通」
「え? 」
俺はティナが一瞬なにを言ってるのかわからなかった。
「な、なによコウ! そうでしょ!? 」
「あ、ああ……俺が悪いんだ俺が……うん」
おかしいなぁ。ティナはしょっちゅうブラウスの胸もとをはだけさせたり、俺の太ももを撫でたり耳を噛んだりしてシグナルを送ってきてたと思うんだけどな。
「あははは! いいじゃねえかシーナ。そのぶん家じゃあたしたちがコウと一緒にいる時間が長いんだしよ。でもギルドが始動したら、サブマスのあたしもコウに昼間から求められちまうかもな。まったく身体が休む間もないぜ。コウの彼女ってのも大変だよな」
リズが頬が緩むのを必死に抑えながら、両手のひらを上に向けて肩をすくめている。
まあいつもの照れ隠しだ。耳もピクピクしてるしな。
《 強くなろう……強くなって阿久津さんをシバこう 》
視線が殺気になったな……まあ来年のクリスマスには俺の味方が増えてるだろう。
沖田は来年もそっち側っぽいけどな。なんたってエルフにとっては普通の顔だからな。沖田の進む道は険しい。
「ガハハハ! アクツさんもお盛んだなおいっ! 俺もあの場所でずっといた女と一緒になることにしたからよ! プレゼントってのは……その……なんちゅーか生まれて初めて女にやったが、あんなに喜んでくれるもんなんだな。もっといい物を買ってやればよかったぜ。まあデビルバスターズでしっかり稼いでよ、んでいいもん食わしてやるさ」
警備隊隊長からデビルバスターズに転向したレオンが、ガラにもなく照れながら俺にそう言って肩を叩いてきた。施設は女性が気に入った相手がいれば、その人とだけってのもできたみたいだしな。
「何をあげたかじゃないさ、貰った側はプレゼントを渡したい相手と思ってもらえたことが嬉しいんだ。レオンには期待してるから頑張ってくれよな」
「おうよ! いつか必ず上級ダンジョンを攻略してやるぜ! 」
レオンはそう言ってリズにも挨拶をしてから、呑んで騒いでる仲間たちの輪に戻っていった。
会場を見ると買い物に行かせた獣人の男たちが、女の子と2人で話す姿がチラホラ目に入った。復讐達成組は身内だけで集まって談笑している。
それにレオンのほかにも上手くいった奴も結構いそうだ。さっき狼人族の女性に殴られてた奴がいたけどな。プレゼントのチョイス失敗したか? 何を渡したんだろ? まあ女の子はたくさんいるんだ。またいい子が見つかるさ。
どうしてもこの桜島に来る獣人たちは女性が多くなる。帝国で奴隷を解放された貴族の家にいた子たちは、帝国が住む場所と生活を保証してくれるとは言っても不安だからだ。さあもう自由だよと放り出されても、女の身で1人で生きていくにも生きていく方法がわからないらしい。
これはリズとシーナがこうなるだろうと予想してくれていたから、桜島に来るように魔導通信や手紙を使い桜島にいる獣人たちにより連絡させた。そのうえ帝国中の街に人を送ったりして声を掛けさせていた。
その甲斐あって多くの獣人女性がこの桜島にやってきた。あっという間に男女比が3:7になったよ。
家は建てても建てても足りないほどで、島の東にもある学校や公共施設に寝床を用意して共同生活を送ってもらっている。食糧は材料を渡して彼女たちに作らせているから、手間はない。彼女たちの食費もこの島に入る時に、総督府が帝国から支給される生活保護費の半分を天引きすることに了承してもらっているから大丈夫だ。
足らなくなったら帝国からBランク以下の使用済み魔石も仕入れてるから、それを滅魔で魔力を補充して売ればいい。宰相の爺さんが必ずダンジョン内でやってくれとうるさかったけど。
しかしこのスキルは戦闘用スキルかと思ってたら錬金術だったんだな。
俺はこの後も恋人たちと壇上で芸を始めた獣人たちや、森から持ってきたのか楽器を演奏するエルフたちを観て楽しんだ。
そして日付が変わる前にパーティはお開きにして、二次会は各自勝手にやるように言った。
それから俺は厨房の獣人のおっちゃんやおばちゃんに感謝の言葉を伝え、高級酒をそれぞれに渡してから恋人たちとニーナにレミアたちを連れて家へと帰った。
帰り道でニーナたちは凄く楽しかったとニコニコしてたな。定期的に理由をつけてまたパーティをやるかな。
家ではみんなで温泉に入ろうとしてたら、ニーナに羊人族のレミア、そして狸人族のポメラと鼠人族チルがプレゼントのお礼に背中を流してくれると言ってくれた。
俺は恥ずかしいからと断わろうとしたが、リズとシーナがどんどん段取りをしていってあっという間に俺は素っ裸にされて、顔を真っ赤にしているニーナやレミアたちに順に背中を流してもらった。
俺はなぜか下着姿の彼女たちを見ないように見ないようにと、悪魔棒が力を得ないよう必死に堪えていた。が、その努力虚しく鏡に映る彼女たちをガン見していた。
彼女たちも顔を真っ赤にしながら俺の悪魔棒をガン見していた。
くっ……ニーナはさすが兎人族だなあと数年でシーナ化間違いなしだ……レミアの巨乳もやばい……ポーラはちっこいのに胸だけ大きいというアンバランスがまた……チルのツルペタだけが癒しだな。
その後ニーナたちが浴場を去ったあと、隣で俺を見てずっと笑っていた恋人たちに俺は復讐を行なったのだった。
浴場の脱衣所から複数の視線があるのに気付かず……
浴場で欲情して恋人たちを悦ばせてしまったあとは、なぜか食堂に未だに顔を真っ赤にして話しこんでいたニーナたちにおやすみを言い、ティナたちと俺の部屋でお互いのプレゼントを見せ合いっこをした。
俺のプレゼントにみんな顔を赤くしながらも喜んでくれたよ。ちょっと下着は際どいのが多かったのは認める。全部Tバックだしな。
シーナのなんて隠さなきゃいけない部分に全部穴が空いてるし。もう下着じゃないよな。
そのあとは下着のファッションショーをやって、またムラムラした俺は3人と一緒に性なる夜を過ごした。 そりゃあもう精力剤を飲んで朝まで恋人たちと愛し合ったよ。
クリスマスだもの。そりゃあね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます