186話 前哨戦っ!激闘っ!第3万次シュバルツバルド平原戦争 6

アースティア暦1000年・6月20日・午前9時45分頃・ユーラシナ大陸・ユールッハ地方・ユールッハ地方中央部・リユッセル北欧同盟勢力圏・コーランド王国南部・リユッセル北欧同盟及びローラーナ帝国との激突戦線・ユールッハ地方中央戦線・シュバルツバルド平原とシュバルツバルド森林一帯にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 ガリア帝国の東部、ブルゴーニャ平原で戦いが始まったとのほぼ同時刻。


 コーランド王国南部・シュバルツバルド平原及びシュバルツバルド森林でも激闘が始まって居た。


同じくユールッハ地方の両勢力の国境線を超えた付近を中心とした各所の地域で両軍が激突して居た。


 緒戦での戦いは両軍共に、先方部隊たる歩兵大隊と騎兵隊を中心とした軍同士が激突し、互いの駆け引きが続く。


 この間に両軍の本隊は、後詰めの軍を整えて前線へと向かう支度を整えて行く。


 その合間に縫う様にして、両軍の火薬式大砲と魔導式大砲部隊が火を噴いて行く。


ドドッンッ!!ヒユユユユュュュュュューーーーーー・・・・・ドカドカドカッカーンッ!!ドカドカドカッカーンッ!!


ドドッンッ!!ヒユユユユュュュュュューーーーーー・・・・・ドカドカドカッカーンッ!!ドカドカドカッカーンッ!!


ドドッンッ!!ヒユユユユュュュュュューーーーーー・・・・・ドカドカドカッカーンッ!!ドカドカドカッカーンッ!!


ドドッンッ!!ヒユユユユュュュュュューーーーーー・・・・・ドカドカドカッカーンッ!!ドカドカドカッカーンッ!!


ドドッンッ!!ヒユユユユュュュュュューーーーーー・・・・・ドカドカドカッカーンッ!!ドカドカドカッカーンッ!!


ドドッンッ!!ヒユユユユュュュュュューーーーーー・・・・・ドカドカドカッカーンッ!!ドカドカドカッカーンッ!!


ドドッンッ!!ヒユユユユュュュュュューーーーーー・・・・・ドカドカドカッカーンッ!!ドカドカドカッカーンッ!!



「「「「「うわああああぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!」」」」」


「「「「「うおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」」」」」


 


 大砲の着弾による爆発音と将兵の雄叫び声が戦場に木霊して居た。




 午前9時15分。コーランド王国南西部に在るリッチモンド・トラスブール侯爵が治めて居るトラスブール侯爵家領。



 その主都と本拠地であるトラスブール城とトラスブール市に本陣を置いたアルビオン王国軍を主力とする20万人の軍勢が、其処から7キロ先に在るシュバルツバルド森林とその周辺の砦を使いながらローラーナ帝国軍を迎え撃とうして居た。


 アルビオン王国軍の総指揮を執って居るのは、サレン・ペルフルグス・モードレッド・ノッティンガム大将軍。


 アルビオン王国内でサレンに任されている主な仕事は、アルビオン軍の全軍の統括をしており、アルビオン王国領の一つであるノッティンガム地方円卓騎士公爵領の統治をして居る円卓騎士。


 そして、自領地内に在るノッティンガム地方円卓騎士公爵領に在る聖魔槍クラン・レント円卓神殿に鎮座する聖魔槍クラン・レントなる聖魔槍に選ばれた女騎士でも在るのだ。



ノッティンガム地方とノッティンガム地方円卓騎士公爵に付いて・・・・・・


主都・モードレッド・ノッティ市。


 アルビオン島中央南東部にあるノッティンガム地方に在る地方の一つで、ノッティンガム地方円卓騎士公爵領が置かれて居る。


この地方では、様々な陛下の槍歩兵軍団の駐屯地・要塞・砦・城が置かれたアルビオン王国の主力陸軍の要とも言われて居り、海外遠征軍の殆んどが、此処から派遣されて居ると言う。


 また、優れた穀倉地帯と畜産業が盛んな土地柄で在る事から、アルビオン王国の麦関係作物と食肉、それに肥料の4割が此処からの生産だと言われて居ると言う。



聖魔槍クラン・レント


 エクスカリバーと似た様な能力を持って居て、槍先から魔導集束光線砲が撃ち放つ事が出来る聖魔槍のこと。


 聖魔槍クラン・レントは、国軍組織を率いる大器と成る様な人物が選ぶ事から、必ずアルビオン王国大将軍に任命される事に成って居る。


 特に槍術と槍兵軍団に優れて居る人物が選ばれる傾向が強いとされて居る。


モードレッド鉄血騎士団


 聖魔槍クラン・レントに選ばれし人物が率いる事に成って居るノッティンガム地方円卓騎士公爵領の騎士団の事で、同時にアルビオン王国大将軍にも任命される事に成って居る。


アルビオン王国大将軍


 聖魔槍クラン・レントに選ばれし人物が任命される事に成って居るアルビオン王国の司令官たる大将軍職のこと。


 サレン・ペルフルグス・モードレッド・ノッティンガム大将軍に付いての大まかな解説である。



 そんなサレンと言う人物に付いてだが、洗濯胸板でデコぱっちの額が特に目立つショートのポニーティルが特徴的で、その事をネタにして揶揄って遊ぶ円卓騎士は多い。


 聖なる魔槍と言われるクラン・レントを用いて、長槍隊中心のモードレッド鉄血騎士団を率いて居た。


「申し上げますっ!!!」


「ガウェイン斬鉄騎士団、敵の先方の横っ腹を付いて壊走させまして御座います。」


「ガウェイン卿は、7機の魔導機兵を討ち取り、続いて重騎竜トリプトドンを20騎討ち取りました。」


「報告ご苦労。相変わらず、あのお嬢様は、顔に似合わず剛腕な戦いぶりですね。」


 レリカの所持している聖魔法大剣ガラディーンは、人の背丈程のあるノコギリの様な姿をした大剣で、別名斬艦剣と呼ばれる大剣。


その威力とは、どんな堅い装甲や巨体であっても切り裂く事が出きる大剣である。



 それを剣の力を借りて居るとは言え、楽々と振り回して大きな巨体である魔導機兵や竜種を真っ二つにしてしまう姿は圧巻の姿と言えた。


 しかもアルビオン王国でも指折りの名家のお嬢様にして、商家と騎士の二足の草鞋生業をもして居る家柄でもあるのだ。


 そして、スタイル抜群にして、見た目通りのお上品な美女でも有るのだから、良く見知った者達からは、涼しい顔して戦場の中で敵をぶった切って行く光景を呆れ物が言えなく成る程に、末恐ろしいとまで言われて居る。



「申し上げますっ!ローラーナ帝国軍の速竜ディプロドン大隊が右側側面より現れました。」


「レリカの外側を取る気か?それなら・・・・」


「サレン大将軍閣下っ!!!申し上げますっ!!!」


「ガラハド卿の率いるガラハド氷雪魔剣騎士団。ランスロット卿の率いるランスロット黒竜近衛騎士団が前進を開始。」


「あの二人ったら、また勝手に・・・・と言いたいが、戦局を見て上で直感で動いたな。」



 各円卓騎士団は、それぞれ独立した指揮権を持って居る。


 采配を待って動く事も軍人としても騎士としても求められる事だが、それぞれが何らかの特異能力とスキルワークを持ったエキスパートでも有るのだ。


 だが、問題なのは性格にそれぞれ難的な部分は有るものの、結束力と連携力を持ち合わせて居る。



 先の述べた二人は、敵の動きに合わせて先手を打った動きでも有ったのだった。



 案の定、ガラハド氷雪魔剣騎士団は、団長であるアイラがアイス・カリバーンで敵の速竜ディプロドン大隊を凍らせ、その背後に控えて居た重装騎士達と供に、リンダが率いるランスロット黒竜近衛騎士団・速竜ディプロドン騎士団から成る騎兵竜隊を突撃させて襲い掛かった。


 やられる前にやり返す、そんな素早い判断が出きる円卓騎士である二人ならではの戦いぶりであった。


「あっ、そう言えばリリィは何所に居るの?」


「リリィ様ですか・・・・・確か・・・・・」



 戦況の変わり行く情勢の指揮に忙殺されていたサレンは、ふと自国の総大将であるリリィの事を思い出した。


 何せ、アルビオン王国先陣軍を慣例的に担うガラハド氷雪魔剣騎士団と聖騎士王護衛軍であるランスロット黒竜近衛騎士団を置き去りにして、最前線の彼方にまで突っ込んで行く。


 

 その事に関して、横に居並んだ参謀等に、あの剣術戦闘狂のバカの居場所を常に聞いて置かいなと敵陣深くまで切り込んで行ってしまうからだ。


 そのやり口はに、切り込んだ先の大将首を討ち取ったり、敵艦をぶった切って仕留めたりと言う漫画かアニメのチートキャラの様な出来事を本当にやらかすから面倒な事この上ない。


 ドドッ!!ガッキイイイィィィーーーンッ!!・・・・・・・ドッカアアアァァァーーーーーンッ!!


 数体の魔導機兵が切り刻まれる音が響く。


「ああ、あそこか・・・・・・」


「ですね・・・・・」



 更には、敵のど真ん中。


 聖剣エクスカリバーの閃光が光ると、大きな大爆発が巻き起こる。


 

 キュイイイイィィィィーーーーーンンッ!!・・・・・・・バッシュウウウウウゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーッ!!





ドッカアアアァァァーーーーーンッ!!



「はぁ~、全く。この私が散々に悩み抜いて策を打ち立て、敵をいなして居るって居るのに、あの子は、毎度、毎度。」


「その苦労を一撃で、全部ご破算にして敵を壊滅してくれるわ。」


「あの子が一人居るだけで、入念に練り上げた下準備と段取りが、全部パーなのよっ!ああっ!!もうっ!!!」


 アルビオン騎士団の全軍を統括して居るサレンは、リリィと言うチーターな聖騎士王なせいで、頭を抱えていた。


 滅茶苦茶に強い王が居るのは心強いが、強過ぎるのも有る意味、考え物だと半ば呆れ居た。


 しかも、リリィの奴は無口系の天然な性格をして居るので、言う事を聞かせても無駄である。


 何せ、戦と剣術に関しては天才肌であり、常に自分の超感覚で動いて居るので、他人に間違いを指摘されても、正解までの図式が彼女自身の頭の中で出来上がって居るから、何が不正解なのかが分からないのだ。


「何言ってるの?」って感じで額に?マークが付いてしまう天然ぶり。


 全く天才と言う奴は、どんな人間であれ、出来ない人の気持ちは分かり辛いし、その逆も然りである。



 唯一、リリィに言う事を聞かせる事が出きる人物は、親友にしてリリィの事をおもちゃの様な扱い・・・をして・・・・・可愛がって居る紅葉だけだった




 聖騎士王なんて二つ名はリリィに取って全く無意味な名前である。


 その彼女は宇宙を舞台として駆け巡る映画に登場する光剣の様な音を発する聖剣エクスカリバーが、金色の輝きを放ちながら敵を切り裂いて行く。


 切り裂かれた人や馬に竜達は、綺麗な断面の切り口から血渋きが一滴たりとも噴出さずに倒れて行く。


 その倒れた遺体からドロリと大量の血液が零れて行く。


 グロテスク極まりない光景であるが、そんな光景すらリリィは、お構いなく突き進んでく。


 リリィが言うには血渋きが汚いからバッサリと綺麗に切って居ると言ってるが、どんなやり方をすれば、こんな綺麗な切り口に成るんだろうなぁ・・・・・・


「邪魔をするな。」


「はっ?」


「私の邪魔をするなああああぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」


 何の事だろうと思うローラーナ帝国軍の将兵達。


 突如として敵軍のど真ん中へと突撃して来た物は、聖騎士王リリィ。


 この世界でも指折りの一騎当千の強さを誇る騎士である。


「でりやゃゃああああぁぁぁぁーーーーーーっ!!!」



 キュイイイイィィィィーーーーーンンッ!!・・・・・・・バッシュウウウウウゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーッ!!



 聖剣エクスカリバーの閃光が又も放たれる。


「ぐわああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!?」


ドッカアアアァァァーーーーーンッ!!


「くそっ、これが当代の聖騎士王、聖騎士王リリィの力か?」


「手が付けられんっ!!」


 リリィを前にしたローラーナ帝国軍の軍団長は将兵を鼓舞した。



「だが、怯むなっ!!!」



「ローラーナ帝国の世界制覇の為にいいいいぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」


「ローラーナ帝国バンザーイっ!!」


「ローラーナ帝国バンザーイっ!!」


「ローラーナ帝国バンザーイっ!!」


「ローラーナ帝国バンザーイっ!!」



 一人に対して圧倒的な兵数を持ってするバンザイ突撃で挑むが、そんな事はリリィには無意味。


「邪魔するなっ!貴様らなんかっ!サッサと叩き潰して紅葉に会いに行くんだあああああぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!!!」



 

 キュイイイイィィィィーーーーーンンッ!!・・・・・・・バッシュウウウウウゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーッ!!




「ぐわあああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!?」



 ドッカアアアァァァーーーーーンッ!!


 聖剣エクスカリバーの閃光が再び放たれる。



 理不尽な事だが、雑魚が何百万の軍勢が挑もうとも、聖剣エクスカリバーを手にした聖騎士王リリィとその剣技の前には、脆弱すぎるのであった。


 それにリリィは、この戦いが早く終われば、直ぐにでも東方へと旅立てると聞かされて居た。


 そう、友達に会いに行けるとね。


 そして、また遊んで貰えると言う理由から奮起して居るのだから、そんな理不尽な理由で殺されて行く敵が余りにも可哀そうに成って来た。


 王様と言う椅子に無理やりに縛り付けられて居るリリィは、普段から自分の意志とは関係なく自由を奪われて居るせいで、かなりと言うか相当なストレスが溜まっている。


 そんな訳で、此処でリリィと居合わせた帝国軍の皆様はご愁傷様である。八つ当たり染みたリリィの猛攻の嵐に晒され、命が幾つ有っても足りないだろう。



「魔導機兵を前に出せっ!」



 ドスンッ!ドスンッ!ドスンッ!ドスンッ!と重厚感有る歩き方でリリィを取り囲む魔導機兵達。その数は100機である。



「これで如何にもなるまい。フハハハハハっ!」



 この軍団長は、業と言ってるのか?


 その様な死亡フラグ同然の事を言う奴は、その後・・と言うか、即刻直ぐにでも必ずロクでもない死に方をするのがお約束と言うもの。

 


「・・・・・・・無駄。」


「ふへ?」



 キュイイイイィィィィーーーーーンンッ!!・・・・・・・バッシュウウウウウゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーッ!!





 ドッカアアアァァァーーーーーンッ!!




 聖剣エクスカリバーが光の閃光を撃ち放つと、100機もの魔導機兵らは一瞬で搭乗者と共に粉みじんに消し飛んだ。


 リリィと対峙して居た軍団長は、指揮していた将兵と共に死体すら残さずに消し去られてしまう。


 それを見ていた魔導戦艦隊の司令官は、形振りを構って居られなくなって居た。


「ええいっ!!!」


「こうなったら、魔導戦艦の魔導力集束砲を使うしかないっ!!!」


「高が小娘一人程度の・・・・・対人戦闘にでしょうか?」



「最早、あれは竜人族並みに危険な怪物も同然だ。」


「あれ一人に数万は八つ裂きにされて居るのだぞっ!!!全くっ冗談ではないっ!!!」


「魔導力集束砲の射撃要請の信号旗と信号弾を送れっ!!」


「ははっ!!」


 リリィの猛攻に手間取ってしまったローラーナ帝国軍の将軍は、形振り構わずに、この世界の最新兵器でもある魔導戦艦の魔導力集束砲を撃つ命令を下した。


 魔導戦艦の魔導力集束砲とは、簡単に言えば魔導力をエネルギー源として居る高出力のビーム砲の事である。



 対人戦闘で、しかもたった一人を相手に使う事は、先ずは有り得ない処置であった。


 艦隊旗艦からの信号旗と信号弾を見たローラーナ帝国艦隊の各艦は、魔導力集束砲を撃つべく前進を開始する。



 ゴゴっとと言うエンジンを音ほ響かせて、魔導力集束砲を持った陸空の魔導戦艦隊が現れる。


 陸上魔導戦艦の艦首上部と空挺魔導戦艦の艦首の中央に取り付けられた魔導力集束砲が赤紫色に輝く魔力を充填し始めた。



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