181話 前哨戦っ!激闘っ!第3万次シュバルツバルド平原戦争 1

アースティア暦1000年・5月10日・午後14時10分頃・ユーラシナ大陸・ユールッハ地方・西方ユールッハ地方・アルビオン島・リユッセル北欧同盟勢力圏・盟主国家・アルビオン王国・アルビオン本島・イングラード地方・イングラード地方所属地方・ロンデニュウム地方・デムルズ川河口部・聖騎士王都ロンデニュウム市・キャメロッティーナ城麓付近・聖騎士王都ロンデニュウム市アルビオン王国政府官庁街・アルビオン王国外務卿大臣・カデレイカ・ルィビィルドン・ガウェイン・マイホーク官庁邸宅・ルィビィルドン・ガウェインマイホーク卿家屋敷にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 さて、今回の話は少しはがり時間を戻さねばならない。


この異世界アースティアで起きた新たな異変である異世界からの異界国家群が、転移災害によって、このアースティア世界に現れてしまった。



 その第一報は、ユーラシナ大陸の西果ての遠くに在るユールッハ地方にも、1月ちょっとほど遅れて、ようやくユールッハ地方の各国に、その情報が入って来て居た。




 ユールッハ地方と言う地域は、幾度もこのアースティア世界に措いて、戦乱の中心地であり、講和や休戦に、国家統廃合等を繰り返して国境線と絵地図を変化させて来た歴史が有るのは、地球世界で言えばヨーロッパ地方に当たると言えるだろう。



 そのユールッハ地方は、600年もの長きに渡り、大きな大戦争と成って居るアースティア大戦が勃発した地域であり、その始まりの時期は、アースティア暦400年である。



 その年以来、このユールッハ地方を始めとする世界各地では、戦乱が途絶える事無く続いて居る。


 特にユールッハ地方は、その南部一帯にローラーナ帝国の本土であるローラーナ半島が在る為、南北を挟んで激しい戦争が続いて居た。


 ローラーナ帝国の本土であるローラーナ半島の在る其処から、ローラーナ帝国は、カリフア大陸を始めとする西へ東へ南へと軍を進め、支配地域を拡大させ続けて行き、遂には広大な国土と属国に加え、従属同盟国が軒を連ねる勢力圏を築き上げるのに至って居た。


 因みにカリフア大陸とは、アフリカ大陸と酷似して居る巨大な大陸の事で在り、ローラーナ帝国・第二方面軍・カリフア大陸方面制圧軍・第二方面軍総司令官・キシリアーナ・ザルビッシュ少将が統治して居る地域の事である。


 その任務は文字通りのローラーナ帝国直轄領の統治及び属国・従属同盟国の管理統治と成って居る。 


 ローラーナ帝国に取って、アースティア世界征服制覇と言う目的を達成させる為の重要な資源供給地であり、人的資源・食料資源・各種素材資源・兵器工業工房所在地・海洋資源等々と言った具合に、様々な税収入に七割がこの地から得て居る事に成る。


 しかしながら、植民地支配の様なやり方なので、実態経済との乖離が激しい部分が在るらしく。


 アースティア大戦末期では、日本国を中心としたアースティア国際平和維持連合に加盟する経済圏。


 地球海洋諸国連合同・シベリナ王国連合・リユッセル北欧同盟・ミンフィル王国東南諸国同盟・デモニュクス帝国・魔族連合・アセニア亜人連合同盟・色竜部人族自治領域連合などの国々による巨大な市場経済が本格的に活性化した事によりローラーナ帝国による西方バルバッサ帝国同盟を中心としたローラーナ帝国社会一強搾取主義経済圏は敗退。


 逆に地球海洋諸国連合同によって自由資本主義経済圏によって市場経済の物流網品の逆流入の流れが次第に大きくなって行き、極端なインフレとデフォルトへと追い込まれて経済破綻を引き起こしてしまう事に成る。




 そんな大陸であるカリフア大陸と言う一つの大陸を手にしたローラーナ帝国の野望は、それだけでは収まらなかった。


 其処からユールッハ地方の北部、アルヌクズ山脈を挟んで北側地域一帯の事をアースティア世界諸国一般的には、北欧と呼ばれている地域の国々が点在して居た。


 その北欧の国々は600年もの間、ローラーナ帝国に負けまいと頑強に抵抗を続けて居る土地である。



 さて、ユールッハ地方に付いての簡単な話は此処までにして、話は元に戻す事にする。


 リユッセル北欧同盟の盟主国であるアルビオン王国は、アースティア世界に措いて、騎士達の王国と言われ、決まった家柄が代々続いている王家の存在して居ない極めて珍しい国家体制制度を取って居る国である。


 その制度とは、円卓聖法具成る武器がこの国は存在して居り、その武器に選ばれし者だけが、この国の中枢のを担う人材と成る掟、法律と定められて居た。


 その中で王位に付く権利を得られると言う武具である聖剣エクスカリバー。


 まぁ、地球世界でも良くありがちな、あの聖剣みたいな力を秘めた魔法の聖剣である。


 オタクの方々に例えて解説する場合は、彼の聖杯戦争とか言う現代ファンタジー作品に登場する聖騎士王が持って居る剣みたいだと言えば分かるかも知れない。


 大地を切り裂き、天空の彼方を貫いて行く閃光の光剣。


 この聖剣を手にした者は、呼んで字のごとく、そのまんまの聖騎士王と呼ばれて居た。


 だが、その選定基準は曖昧で、どんな人物が呼ばれ選ばれるのかは、何時も不明なのだが、アルビオン王国を守る為の心技体の強さを持って居るか、居ないか等々と言った心を持ち合わせて居る事を基本とし、性格をは加味されて居ないが悪人が選ばれる事も無い。




 選定された人物が、何らかの理由で不適合と判断されるまで、その傍らに有り続けて居るのだ。



 当代の聖騎士王は、リリアルカーデ・アルタイル・アーサー・ペンドランゴン。親しい者は、リリィと呼んで居る。


 彼女は、かつて傭兵として両親と共に諸国を周って居た。


 現在の歳の頃は17歳で、歴代の中でも一番に若いと言われて居る女性聖騎士王であった。


 本当の名はリリアルカーデ・アルタイルと後半の名は、聖騎士王と成ると自動的に継がされる慣習的なこのアルビオン王国の王として苗字であり、王位を指して居る名でも在るのだ。


 普段から口数の少ない無口である口下手な性格で、戦場から戦場へと渡り歩く生活を続けて居た為か、人付き合いが苦手らしく、とても感情表現は苦手で不器用であった。



 その上、真面目な頑固である性格で、請け負った仕事は最後まで遣り通す、戦闘狂い。


 登場シーンには、トランペットの演奏でチャラララ~とか言うBGMがバックに流れてしまうかも知れない。


ぶっちゃけ必殺仕事人と言った感じの剣術バカなのだ。



 因みに聖騎士王と言うのは、聖剣エクスカリバーに選ばれたアルビオン王国の騎士王の事で、その選定基準は曖昧で、どんな人物が呼ばれ選ばれるのかは、何時も不明なのだが、アルビオン王国を守る為の心技体の強さを持って居るか、居ないか等々と言った心を持ち合わせて居る事を基本とし、性格をは加味されて居ないが悪人が選ばれる事も無い。



 選定された人物が、何らかの理由で不適合と判断されるまで、その傍らに有り続けて居るらしい。


 主人が適任者でなく成るったり、引退を考えたりと言った代替わりする際は、必ずアルビオン王国・聖王都ロンデニュウム市内の聖剣エクスカリバー円卓神殿に聖剣エクスカリバーが台座へと戻り、これはと言う人物を呼び出すまで待機をする事に成る。


 また、聖騎士王と成った人物は、アーサー・ペンドランゴンと言う姓名がアルビオン王国中央行政府から送られ、半ば強制的に名乗るのが慣習と成って居る。


 その名の由来は、アルビオン王国の建国史の中で、聖剣エクスカリバーに選ばれ、アルビオン島を統一平定し、外敵を討ち破った初代国王の苗字から来て居る。


 それと聖剣エクスカリバーに付いても触れて置く。


 聖剣エクスカリバーは、白銀に輝く刀身を持ち、普段は何処にでも有る様な普通の剣にしか見えないが、選ばれし者が扱うと光が輝き、どんな物でも受け止め切り裂くと言う。


 中でもライトカリバーブレイダーは、30キロ先の敵を光の閃光剣で一撃切り裂き吹き飛ばすと言う。


 聖剣エクスカリバーの鞘は、持ち主の傷を一瞬で癒し、どんな魔法や物理攻撃を防いでしまう効果を持っており、声高らかに叫んで呼び出せば、どの様な場所にでも現れるらしい。


 その選定基準は曖昧で、どんな人物が呼ばれ選ばれるのかは、何時も不明なのだが、アルビオン王国を守る為の心技体の強さを持って居るか、居ないか等々と言った心を持ち合わせて居る事を基本とし、性格をは加味されて居ないが悪人が選ばれる事も無い。



 選定された人物が、何らかの理由で不適合と判断されるまで、その傍らに有り続けて居るらしい。




 そんな由来が在るエクスカリバーと聖騎士王と言う名前。


 近年では、リリィの前に聖騎士王と成って居た先代のアルビオン聖騎士王だった人物は男性で、少し前の戦で負った怪我が重く。


 アルビオン王国を統治して、守って行く事が困難に成ったと聖剣エクスカリバーに判断されしまう。


 其処で彼の剣は、新たな主と成る者が居ないかを見極める間だけ、円卓神殿と呼ばれる神殿へと鎮座した。


 この円卓神殿はアルビオン王国内の各地に円を描く様に点在する円卓騎士領と呼ばれる円卓騎士に選ばれた物が治める直轄領地内に在る主都に、築かれて居る神殿のこと。


 代替わりする際の円卓聖法具は、その内部の各武具専用の台座へと収まり、其処で次なる主が現れる事を静に、その時を待つのである。



 そして、2年前。アルビオン王国の傭兵として戦って居た時に、たった1人でローラーナ帝国軍の魔導機兵を相手に、生身の姿で30機もの機体を次々と真っ二つや切り刻んだり、3枚おろしにしたりと凶悪な強さを見せ付けた。



 その事が聖剣エクスカリバーの選定基準の琴線に触れたらしく、リリィは戦場からアルビオン王国・聖王都ロンデニュウム市内の聖剣エクスカリバー円卓神殿へと召喚されてしまう。



 その時リリィは「仕事に戻らないと」と困った顔つきをしつつ、ポツリと呟きながら、さっさと神殿を後にして、戦場の在る大陸へと戻ってしまう。



 聖剣エクスカリバーは思った。


 呼び出して主に成ってとラブコールをしたのに、相手にもされず、ガン無視で袖にされたのは、初めてだと・・・・・・・・・・・・・


 その後も、20回もリリィを召喚したが、マイペース過ぎるリリィには、何れも完全にガン無視されてしまう。


 こうなると聖剣エクスカリバーの方も意地になって、リリィが自分を相手にしてくれるまで、必要に呼び付け捲くったが、その相手は無口でマイペースキャラのリリィ。


 気が付くと何時も神殿内に居るので、首を傾げて挙句に、何事も無かったかのように、神殿から出て行っては、さっさと元居た場所へと、そのまま帰ってしまうのだった。



 等々困り果ててしまった伝説の聖剣。


 最後は聖剣エクスカリバー自らリリィの元へと向かい。


 もう、何でも言う事を聞くし、お願いもするから使ってと言わんばかりに光り輝き、自身を見せ付けた。


 だが、その時のリリィが聖剣エクスカリバーを手に取った理由が、愛用して居た剣が古くなってしまった為に、ポッキリと折れてしまって居たからである。


 聖剣エクスカリバーを手にしたリリィは、新しく買うのもめんどくさい何て思って居て、幸運にも剣が目の前に現れた。


 ラッキーと思ってフワフワ浮かぶ聖剣エクスカリバーを手にしたのである。



 その後はと言うと、アルビオン王国内では、聖剣エクスカリバーが新たな王を迎えに行ったと思い。


 暫らくの間は、聖剣エクスカリバーの好きにさせて置こうと、戻って来るのを待って居たのだが・・・・・・・・・・何時に成っても帰って来ない事に驚愕した。



 それもそうである。


 アルビオン王国の至宝にして、国家の法であり根幹たる聖剣エクスカリバーが行方不明と成った事で、アルビオン王国は上へ下への大騒ぎ。


 三か月くらい掛けて、国内はもちろんの事。


 周辺国家へと聖剣エクスカリバー捜査網を拡大させて行く。



 その大捜索網の末に、対帝国線の最前線で賞金稼ぎをして居たリリィを見付けると、強制的にアルビオン王国へと連れ帰り、聖騎士王として戴冠させたのである。



 それから2年、リリィは不平と不満が大いに有るが、政務は円卓騎士と成って居る閣僚や官僚に丸投げで良いから、せめて判子とサイン、戦だけの仕事はしてくれとアルビオン王国の円卓騎士の面々と政府関係者は、彼女に懇願した上で、この国で過ごす事を強制させたのであった。


 その後のエクスカリバーは、リリィも紅葉達との交流の中で知り合った竜史に懐いた事で、アースティア大戦後にアルビオン王国の聖騎士王を退位を表明。


 周りが止めるのも聞かずに日本へと行ってしまう。


 この時にアルビオン王国の地に伝わる王位を選ぶと言う伝説の聖なる聖剣であるエクスカリバーも返却されたのだが、当のエクスカリバー本人は、絶対にリリィの側を離れないと頑なに成り、リリィの後を追って日本に言ってしまう。


 困り果てたアルビオン王国政府は、仕方なくエクスカリバーのレプリカを作って、アルビオン王国の儀礼式典の時に使う様に成った。


 未来では高見家本邸屋敷の南側向かいに在るアースティア大戦高見家英雄資料館に展示され、リリィの死後も主とその子孫達を守るんだと日本に居座り続けて居ると言う。


 そのエクスカリバーだが、強引に持ち帰ると必ず定位置に戻る頑固な聖剣として知られ、アースティアレジェンドブックと言うギネスブックと似たような記録紙内に、忠義ある頑固な剣として登録されて居る事に成るのは、ちょっと先のお話。




 序でに言うと、リリィの近況を知って居る親友は、シェスカくらいだろう。


 それ以外では、交流が途絶えてしまって居た関係で、リナの奴と同様に音信不通と成ってしまって居た。



 そのシェスカは、偶々聖王都ロンデニュウム市の支社事務所に立ち寄って居た際に、これま偶々市内を商談する為に各所の商会へと向かって居る所に、見慣れた顔を見つけたので声を掛けたのが、リリィの消息が分かった切っ掛けになってしまったのだった。



 さて、話はアルビオン王国の王都である聖騎士王都ロンデニュウム市へと移る事にする。


 聖騎士王都ロンデニュウム市と言うのは、グロスタージヤッシャー地方のコッツウォルターズ丘陵地帯に水源を起点とする全長346キロメートルのデムルズ川の河口部と北西部に在る小高い山のキャメロッティーナ城を利用した都市づくりを起点とした人口300万人の城塞都市である。


 聖騎士王都ロンデニュウム市はデムルズ川の河口部と北西部に在る小高い山のキャメロッティーナ城を囲い込む様にして、それらをぐるりと城壁で囲み、鉄壁の守りを保ちながらも地区ごとの区割りごとに都市に住まう者達が分けられて居る。


 デムルズ川の河口部に在るロンデニュウム港は、漁業と商船貿易商で賑わって居る湾岸都市で在り、アルビオン王国の在るアルビオン島とエリンランド島とユールッハ地方と繋ぐ海の玄関口と成って居る。


 アルビオン王国統治下に置かれて居るアルビオン島は、西部のウェールグルズ地方・北部のスコッチランド地方・南部のイングラード地方・東部のノンフォーグ地方の4地方を中心に、各所騎士領主達が各爵位ごとに治めて居る。

 

 エリンランド島も似た様に各所騎士領主達が各爵位ごとに治めて居る体制を取って居る。



 その様相は剣と魔法のファンタジー世界と中世ヨーロッパの城塞を掛け合わせ科の様な街並みが広がり、敷地面積は地球世界のイギリスはロンドン市と酷似して居ると訪問した日本国大使を始めとする地球世界転移諸国らは口々に言う事に成るのは少し先のお話。



 そのアルビオン王国と聖騎士王都ロンデニュウム市の中心地であるキャメロッティーナ城は、聖剣エクスカリバーに選ばれし、聖騎士王と成った物だけが城の主と成り、住まう事が許されるキャメロッティーナ城は、聖王都ロンデニュウム市の北西に小高い山が在る。



 その全体が城として使われて居り、白く白銀の輝く城は、西に数キロ離れて居る港からでも十分にその美しさを堪能が出きるほどである。



 

 この聖騎士王都ロンデニュウム市内の官庁街の一角の一つたる政府関係者と官僚官庁職員の居住区内にて、円卓騎士メンバーである二人とリリィが集まり、東方の情勢の変化に付いての話で集まって居た。

 


 リリィの他のメンバーは、この国の宰相にして、エルリン・ベルマレスト・マーリン・ウェールルーズこと、通称エーリン。


 彼女はアルビオン王国宰相卿大臣にして、アルビオン王国随一の魔導師にして、聖魔杖マーリンロッド成る魔法杖に選ばれ女魔導師で、常に魔法杖を手に持って居る円卓騎士の一人と成って居る人物。


 円卓会議に措いて、聖魔杖マーリンロッドと言う円卓聖法具に選ばれし者は、必ず智謀力の高さを持って居る事から、アルビオン王国宰相卿大臣の地位に就いて・・・・ある意味、代々のウェールルーズ地方円卓騎士公爵領主を含めた、エーリンらに丸投げされて居るかも知れないが、しっかりとした舵取りを取って居た才人でもある。


  夢遊幻影のエーリンと称される人物であり、その見姿の顔立ちは幼く見え、その背丈は160くらいで、何時も何時も眠そうにして居るが、実は本当に寝ている事が多く。



 その実寝ながら会話が成り立つから尚も性質が悪いと言う物も多い。


 眠りながら魔法戦闘したり、政務をしていしているお陰で、二つ名として眠りのエーリンと言う不名誉な通り名を持って居た。



 そんな彼女が所有して居る聖魔杖マーリンロッドは、あらゆる分野の魔術を駆使する事が出来ると言う円卓聖法具の事で、その用途は所持者によると言う。


 あらゆる分野の魔術を使える事から七色聖魔杖と呼ばれる事も有ると言う。




 アルビオン王国の外務卿大臣は、カデレイカ・ルィビィルドン・ガウェイン・マイホークこと、通称名はレリカと言う。



 この国の南部東方のマイホーク地方に住まう代々続く由緒ある騎士家系のお嬢様で、円卓騎士の1人。


 彼女が持って居る円卓聖法具の名は、聖魔法大剣ガラディーン。


 マイホーク地方に鎮座する聖魔法大剣ガラディーン円卓神殿に安置されて居り、その姿形は人の背丈程のあるノコギリの様な姿をした大剣で、別名は斬艦剣と呼ばれる大剣。


 その威力とは、どんな堅い装甲や巨体であっても切り裂く事が出きる大剣である。



 これら3人が、聖王都ロンデニュウム市内に有る代々ルィビィルドン家が使用して来たマイホーク卿屋敷たるレリカの客室に集まり、ユーラシナ大陸東方地方であるシベリナ地方の異変に付いて話し合って居た。



 レリカの家は600年以上も続く、聖魔法大剣ガラディーンに選ばれ続けており、決まって外務大臣である外務卿と呼ばれている地位の人間を100人以上も出して来た、アルビオン王国きっての騎士の名家である。



 この国では貴族制度は無いが、騎士が中心と成って治めて居る国で、何がしかの勲功か試験で、下から上へと成り上がりで出世して行く仕組みが出来上がって居る。


 中でも円卓聖法具で選ばれた人物は、政府閣僚にして、地方州長官をも兼務しており、騎士制度の最高位である円卓騎士公爵領主に成れる事は、この国では大変に名誉な事とされて居る地位であった。




 ルィビィルドン家は、聖魔法大剣ガラディーンに選ばれ続けて居る事を誇りとして居るが、何時聖魔法大剣ガラディーンから選考外に成っても良いようにと、先祖代々家業として貿易商船商会であるルィビィルドン貿易商船商会を経営して居る。


 ルィビィルドン貿易商船商会は、マイホーク地方円卓騎士公爵領の主都・ガウェイン・ノリッチ市に本拠地を置きつつ、本社は聖騎士王都ロンデニュウム市に在るアルビオン王国の最大の貿易船商会である。


 ルィビィルドン家の先祖は、何時でも聖騎士王都のマイホーク地方円卓騎士公爵・聖騎士王都ロンデニュウム市屋敷やマイホーク地方円卓騎士公爵館城であるガウェイン・ノリッチ城などを何時でも空け渡せる様にして置きなさいと、子々孫々に言い聞かせて来た歴史があった。


 シェスカの実家であるフローレイティア侯爵家の運営して居るフローレイティア輸送商船商会ともに、先祖代々フローレイティア侯爵家と共々商売を通じての交流が深い家でもある。


 そんな関係で外交や商売に非常に強い家柄でもあるの理由から、聖魔法大剣ガラディーンに選ばれ続けて居るのだとも噂されて居た。


 レリカらは、お茶会形式の小会議に措いても遥か東方諸国の情勢に付いての話し合いを始めた。


「ユーラシナ大陸の東方地方である東シベリナ地方で、この世界を一変させる程の大きく変わった動きが有ったらしいですわ。」


「・・・・・・・・」


 リリィは興味の無い話は、トコトン興味を示す事は無いのだった。


 何処の誰が何を話そうが、興味がそそられないと、何を聞いて居ても首を傾げるばかりで、何のことやらサッパリと思って居た。


 今のこの席でのリリィは、非常に詰まらないと無口で訴えながら紅茶を啜りつつ、あまーいケーキやジャムで味付けしたスコーンを食べて居た。


「ぐぅぐう・・・・・・」


 宰相エーリンは、相変わらず、マイペースに、こっくりこっくりと寝扱けて居る。


「はぁ・・・・・・最初から分かって居ましたけど、この二人を相手に、今アースティア世界で起こって居る世界情勢の話をして差し上げるのは、聖書を馬に読み聞かせるのと同意義で、本当に疲れますわ。」とレリカは、日本のことわざに在る様な馬の耳に念仏と同意義語を言いながら二人のやる気の無さに呆れてしまって居た。


 因みにそのことわざと言うのは、ウマの耳に聖書の説法と言う。


 ユールッハ地方が発祥地とされて居ると言うアースティア世界のことわざの一つで、意味は馬の耳に念仏と同じ意味。


 馬に聖書の説法を説いても無駄であると言う意味で、何を言っても無駄な事を指して居る。



「エーリンさん、エーリンさん。起きて下さいまし、エーリンさん。」


「おおっ!?すみません。昨夜も色々と仕事が・・・・ぐぅぐぅぐぅ・・・」


 レリカに無理やり起こされたエーリンは、その目を覚ますが、再び眠り扱けてしまう。


「言ってる側から、寝ないで下さいましっ!!」


「おおっと、起きて居ます。起きて居ますから、どうぞお話を続けて構いませんよ。」


 これで本当に眠りながら聞えて居るのだから、なお性質が悪いわっ!


「はぁ~、これでは、わたくしがバカみたいですわよ。」と言いつつも、レリカは話を続けた。


「わたくしが所管して居ります。アルビオン王国外交省。」


「その東方地域総局長は、シベリナ地方局支部長から緊急の報せが入り、如何やらアースティア世界に措いて、600年振りに転移災害現象が発生したとの事ですの。」


「その転移現象に巻き込まれて現れたのは、過去の先例にも有る様な国家や地方地域。」


「それに加え、人が乗って居る乗り物の類が転移して居るらしく。初接触に成功したのはコヨミ皇国だそうですわ。」


「そして、その初接触成功の立役者と言うのがコヨミ皇国第一皇女である暦紅葉殿下で在るとの情報も、わたくしの下には入って来て居りますの。」


「紅葉っ!?紅葉っ!?紅葉なの??」



 紅葉の名を聞いたリリィが、突然に興奮して大反応を示した。


 両親に連れられて、東方で行われた反帝国同盟友好諸国・国際会議の護衛で訪れた先では、リリィは紅葉と出会い。


 彼女に良く遊んで貰って居た関係で、とても恩と友情を感じて居たからだった。


 一方の紅葉は、ハンナと同じ、同類の匂いがして居たせいか、子猫をあやすかの様に彼女に接して、楽しんでいる有り様。


 紅葉に取っては、正に面白い二つ目の玩具と言った感じだが、扱いはリリィの方が良かったりする。



「そう言えば、リリィは、あのお方とは幼馴染みでしたわね。」


「うん・・・・・・友達・・・親友・・・・不滅の友情の誓いを立てて居る・・・・・・」


 はにかんだ笑顔を見せつつも、不滅の友情の誓いを立てて居ると言う言葉に関しての部分では、鋭い目付きと冷淡な口調と成って居た。



 それだけ紅葉との絆が大事だと宣言して居るのだ。



「その紅葉様は、今は転移国家最大の国力を有して居るニホン国に滞在して居られるとか。」


「そのニホン国は、転移した早々にローラーナ帝国軍との紛争を起こしたらしいのですわ。」


「その原因は、ニホン船籍の客船が、襲われて居たからだそうですの。」


「ほう・・・・レリカ殿のその口ぶりから察するに、ローラーナ帝国が大敗でもしましたかな?」


「ええ、流石ですわねエーリンさん。その通りですの。」


「ローラーナ帝国の地方軍に所属する地方海軍艦隊でしたが、船数で劣って居たニホン国海軍艦隊とコヨミ皇国水軍の地方艦隊は、打ち合わせもして居なく。半ば無理やりな共闘であった物の。」


「それぞれの理由からニホン客船を守ろうと戦い、ローラーナ帝国地方海軍艦隊に打ち勝ったらしいのです。」


「レリカ殿。貴女が言いたいのは、我がアルビオン王国も、シベリナ連合各国と同じく。この騒動の一件であるニホン国との接触を進めるべきと言いたいですね?」


「ええ、仲介はコヨミ皇国とダバード・ロード王国とオローシャ帝国の3カ国を通しで行う予定で居ますの。」


「エーリンさんに了承さえ頂ければ、このままアルビオン王国外交省で、二ホンとの交渉を進めますけど、どう為さいます?」


「対ローラーナ帝国と戦いで、新たな味方が増えるのは良い事だと思います。」


「ですが、相手は東方の果ての異界国家です。」


「早々、上手い具合に事が運べるとは思えない。」


「我が国も古の大戦で、異界国家と戦い争った経緯を教訓を得て居るので、彼の国に対しての無理な交渉は控えて下さい。」


「焦っては、良い結果には成りませんしね。」


「勿論、分かって居ますわ。彼の国は色々変わって居るらしいですの。」


「国交樹立が叶えば、我が国の国益と成り、延いてはリユッセル北欧同盟と同じく志を供にして居る反帝国同盟諸国に取っても、大きな飛躍にも繋がりますわ。」



 アルビオン王国の政治を動かしている二人は、異界からの転移国家であるニホン国との接触を試みる事を決めた。


「紅葉・・・・元気かな・・・・・」



 話の蚊帳の外に居たリリィは、久々に聞いた友の名前に興奮し、懐かしさに思いを馳せて居た。



 アルビオン王国はこの後、激動の戦いの末に帝国攻略作戦の最終段階に措いて、西側戦線から帝国の最終防衛線を突破し、ローラーナ帝国領本土の一番乗りを果たす事と成るのだ。


 その一番槍を突き付ける事に成るリリィは、その先に有る筈の己の運命の時をまだ知らずに居るのである。

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