175話 新たなる嵐の前触れ 3

シベリナ王国連合の中で最も西の外れの国、それがオローシャ帝国。


この国は過去二度に亘る古代大戦を生き抜いて、近隣の国と合併統合して出来た国家である。


 第二次古代大戦である巨人戦争または巨神戦争とも呼ばれる大戦争で使われた、古代兵器の生き残りを多く保有して居る。


 この世界で多くの国が、古代大戦時に生き残った古代兵器や何らかの理由で地中等に埋れてしまった古代兵器の技術解析を行い。


 魔導技術に転用または応用して作られた魔導戦艦や空挺魔導戦艦等を各国では、凌ぎを削り合う様にして造り続けて居る。


さて、何故オローシャ帝国が古代兵器の多くを保有して居るかと言うと、この話は大変に長くなる。


 先ずは、この世界の成り立ちに付いて説明して行こうと思う。


 そして、魔導戦艦を含めた魔導兵器が異常発達して居るのが、どうしてなのかを・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 この世界の総称はアースティアと言う。


  この世界は1400年前までは、この世界には文明らしい文明が殆んど存在せず、都市国家程度の国が世界各地に点在して居た。


 また、亜人族を含めた全ての人類は、まだまだ、狩猟を中心とした生活か、初期の農耕生活を始めたばかりで、物々交換が経済の主流であった時代。



 其処に世界各地で大規模な時空地震が起こり、様々な異世界から種族・国家・島や大陸、それに人工物が現れたのである。



 特にユーラシナ大陸の西方に位置するユールッハ地方には、魔法文明が現れ、時を同じくして現れたのが、地球文明で言えば西暦2000年代くらいまでの科学文明を持った国家群が、魔法文明国家群と隣り合わせの鮨詰め状態で転移して来てしまって居た。


 この他には、この世界とは別の他所の世界のエルフ・ドーワーフ・人魚・竜・獣人などの多くの亜人種が部族の集落から国家単位で、太平洋を中心に世界中に散らばる様に転移して来て居る。


 リユッセル北欧同盟と呼ばれるユールッハ地方の北側の国々、アルビオン王国、ガリア帝国、ヒスパニア皇国、オーランタ商業都市連合国、デボン王国、コーランド王国、スカジナビア王国、ホムル王国、レイオス皇国の各国等は1400年経った、今でも続いて居る長い歴史ある国家であった。



 紀元前暦400前のこと。


 多くの国々は、100年掛けて周辺の調査と友好を築こうとしたが、残念ながら簡単には友好関係の構築に至らず、転移での混乱の中で、隣国との不信感からユールッハ地方を中心に戦争が始まってしまう。



 第一次転移国家郡による戦争、創世戦争と呼ばれて居る戦争は、実に200年もの間に亘って続いしまうアースティア世界初の世界大戦でもあった。


 白龍族(後のドラグリア白龍大帝国の皇族の一族)を始めとする全世界各地の上位の竜族は人族との戦争で、人族の繁殖力と文明と言う力の凄さを知り、それを取り入れようと竜族の膨大な魔力を操る力を使って肉体を強化と変化をを決める。



 人化変身の能力を得ると、人族との交流を始めて行く。


 他の人と交流の少なく陸上での暮らしや、人から離れすぎた容姿を持った亜人族達は、何らかの別の方法で人化変身の方法を取得し、人族の土地へと偵察と交流を始めて行くに至る。


 それから200年が経ってお互いの国力がある程度疲弊して来ると、戦争は休戦してしまう。


 後に各国家は国境決め、講和に至った。


 世界の名前と世界暦は現地人から聞いた名前を元にアースティアと呼称する事と決まったのだった。


 その後世界は100年掛けて平和が続く。


 復興の目処が経った年を平和復興記念元年として、各国が共同声明で世界共通年号である世界暦アースティア1年としたアースティア暦を制定し、採用して居る。


 しかし、その平和は束の間に過ぎなかった。


 新たな戦乱の嵐である第2次の国家転移が起こる。


 今度は超文明を持った宇宙人や宇宙文明を持った勢力の転移が起こる。


 その転移災害で、巨大なロボットや宇宙戦艦や各種巨大戦艦、軌道要塞に宇宙コロニーや小惑星基地。


 巨人型の宇宙人が転移して来て、地上や宇宙での大規模な戦争と成ってしまう。


 旧文明も必死に抵抗したり、又は新文明と手を組んだりするが、その争いは地上の国や大地の多大な被害などお構いなしに、転移した宇宙文明勢力は戦争を300年間も続けた。


 その結果、各勢力が国力と軍事力や兵力を約7割を失い、大半の技術と文化と文物が失われる事と成った。


 地表の60パーセントが焼かれ、転移して来た宇宙の施設の大半が機能不全に陥る。


 これが後の人々等に巨人戦争と呼ばれた、この世界での文明世紀末とさえ揶揄されて居る戦いの結末で、アースティア暦300年の出来事であった。



 この戦争の結果、科学文明勢力は技師や学者、兵力の多くを失ってしまう。


 国体の維持が難しくなり、旧文明(第1次転移国家郡)と新文明(第2次転移国家文明郡)の統廃合が行われ、多くの新国家が生まれたり、亜人族や他種族連合の小勢力による新国家が生まれて行く事と成った。

 


 オローシャ正統王国(第1次転移国家郡)とアース世界連合国(第2次転移国家文明郡)が合併し、帝国議会制国家であるオローシャ帝国を建国。


 ダバード王国(第1次転移国家郡)とロード・コスモ資本星間連合(第2次転移国家文明郡)が合併し、ダバード・ロード王国建国。


 この時にダバード王国のシュチュ―ド王族とロード・コスモ資本連合の代表であるロード家の当主が結婚して新王家として再出発して行く事に成った。


 ドラグリア白龍大帝国が建国され、白龍族を中心に竜人族へと肉体が進化が完了し、白竜人族と名乗る。


 その人口が人間族に負けない位に成って出きた竜人族最大の国家となる。


 その他に色の付いて居る龍人族の各部族も何らかの国家か、それに近い自治地域を名乗り、繁栄を極めて行く。


 それらの龍人族の総称を色龍人勢力と呼ばれ、独自の強大な力を持った勢力として畏れ、敬われる存在として歩んで行くのであった。


 その後、残って居る科学と魔法技術を使って世界中の自然と国の復興を100年掛けて行う。


 更に巨人戦争から50年が経つ。


 この頃には宇宙に有ったコロニー、宇宙基地、小惑星基地の維持が難しく成って居た。


 更に空に浮かぶ浮遊島郡、人口浮遊要塞の一部が海や人里から離れた場所へと落下してしまう。


 それらを保有して居た各国は、全ての同施設の破棄を決定する。


 この時代で次第に宇宙での活動技術が失われて行き、人々から宇宙での活動記録が次第に忘れ去れて行く。


 その年の終わりに、アースティアの南方の海上に、突如として次元ゲートが開かれる。


 其処から邪神と言う精神生命体が現われて同地方は大混乱に陥る。


 同時に邪神に操られた異界の異種族である魔族と異界より魔大陸の国家であるデモニュクス帝国が南の海上に現われ、ユールッハ地方の南側に位置するカリフア大陸を挟んで大戦争になり、一時ユールッハ地方にも魔族軍勢に攻められる。



 アースティア暦 350年 邪神戦争 



 45年も続いた邪神戦争を終結させたのは、ローラーナ王国の若き騎士の青年であったギルバート・メリッシュである。


 後に彼は邪神を倒し、ローラーナ王国の姫を娶ってギルバート・メリッシュ・ローラーナとなる。


 そして、彼と共に邪神討伐を成し遂げるべく世界各地からカリフア大陸で転戦、世界連合軍は遂に魔大陸に攻め込む。


 邪神を次元ゲートの内側へと追い払い。巨大な魔法結界とゲート封印装置でゲートを閉じて戦争を終結せさたのだった。


 デモニュクス帝国は邪神から解放され、同国とアースティア世界の各国との講和と成る。



 この戦い関わった者達は、それぞれ故郷へと戻り、同地の復興と発展に尽力した。



アースティア暦395年 邪神戦争が終結する。



 その五年後・・・・・・事実は不明だが、アースティア暦1000年の今現在に措いても不明だが、邪神戦争後にギルバート・メリッシュ・ローラーナは、突如として、その人格を豹変させ、戦争ばかりする人物と成ってしまった。



そして・・・・・・アースティア暦600年。


 この年にローラーナ王国は、国体体制を帝政へと移行させ、国名をローラーナ帝国に改名し、アースティア世界に争いが絶えないのは国家・部族・民族がバラバラで多すぎるからだと言う理由や気に入らないと言う特に理由も無くと言った感じに、ローラーナ帝国によるアースティア世界武力統一平定を目的としたローラーナ世界統一覇権戦争を開始させ、手始めにローラーナ帝国近くに在った周辺国へと侵攻を開始する。




 ギルバートに関する記録が時代が経つに連れて、ローラーナ帝国とその周辺諸外国から戦争開始などを含めて、その本当の理由や動機が徐々に分からなく成って行く。


 

アースティア暦 600年 帝国世界統一覇権戦争開始



 同年 遠方の小国家と部族集落らは独立と統一戦争が始まる。



 頭の可笑しな翼人族で有名なアセリナ族達は、アセリナ王国を建国。


 アセリナ族は、部族同士の力比べによる代表戦で部族代表決める事に成る。


 国家代表戦で初代国家代表に成ったのは、邪神戦争で世界を救った英雄の1人である聖天騎士ヨハネ・ハーネストが、初代総騎士団長となり事実上の国家代表と成る。


 この後、彼女達は聖天使を自称する様に成って行った。


 邪神戦争の英雄の1人、聖龍族のレビアナ・サリバンが、シベリナ地方南部のドラグナー地方へと帰郷し、戦争などで荒れた故郷の人間族と聖龍族の為に尽力して回る。


 同地ではまだ、国家の体を成して居ない。


 シベリナ地方の大半は、幾つかの地域を除いて未開拓の蛮地であった。


 同地方の人間族の長であるザナーク・レアモンと聖龍族のレビアナ・サリバンの二人は、種族の垣根を越えて結婚し、ドラグナー皇国(おうこく)を建国した。


 そして聖龍族は、人型へと転じる事に成功を果たした、この世界でも2番目に多い竜人族の種族と成ったのであった。


 ローラーナ帝国による世界統一覇権戦争開始から100年が経ち、アースティア暦500年 ローラーナ帝国は、ユールッハ地方の東部へと侵攻する。


 形勢不利と悟ったラクロアナ王国は、ローラーナ帝国との戦争を避ける為に、東の果てであるシベリナの無主の土地たる現在のシベリナ地方東北部に撤退し、国を移転させた上で、王国を再建する。


 同じくユールッハ地方東部に在ったアルガス王国もユールッハ地方の東部で、帝国と決戦を挑むも、国王が討たれてしまい。


 追撃を逃れ、国家再建を果たす為に、東部地域へと国を移転を決める。


 アルガス王国の王位継承を継いだのは、同時代の国王の弟の一族であるファーミラ公爵家一族。


 ダバード・ロード王国も、ローラーナ帝国との戦いに備えて、北へと首都や主要都市を移して行く。南部領の旧ロード・コスモ資本連合国領土の各地に要塞を多数築く。


 シベリナ地方に古くから在る国家であるコヨミ皇国、シャッポロ王国、大夏王国らは、戦火を逃れる為に、シベリナ地方へと逃げて来た国家らを不憫に思って献身的に支援する。


 その後、シベリナ地方の各地の国々は同盟組む事を決定し、シベリナ地方王国連合同盟条約を結ぶ。


 同盟代表国に、頭の可笑しな亜人族であるアセリナ族の国アセリナ王国の3代目の総騎士団長が選出される。


 どうも代表を決めるのに、揉めに揉めた挙句の果ての末に、傀儡に成り易い上に、煽てられ誰にも流され難い性格のアセリナ族にする事を各国は、裏で取り決めたらしい。


 こうしてシベリナ連合同盟は、アセリナ王国を同盟代表国とし、アルガス公国、ラクロアナ王国、ダバード・ロード王国、コヨミ皇国、ドラグリア白龍大帝国、オローシャ帝国、ドラグナー皇国、シャッポロ王国、大夏王国の10カ国で構成される。


 同年、南西の亜人国家達は、激しさを増すユールッハ地方の戦争に巻き込まれまいとアセニア亜人連合同盟を設立し、種族としての種の保存を最優先とする決定を決定。


 ローラーナの影響が及ぶユーラシナ大陸・カリフア大陸等の各地域からの全面脱出を決定し、全世界に向けて、完全な中立を宣言する。

 

アースティア暦600年


 レビアナ・サリバン・レアモンは、ドラグナー皇国内の聖竜人族・聖龍族と人間族の関係が、帝国との戦争問題や聖龍族達の能力と騎乗の便利さから、次第に彼らを道具の扱いする様になり、互いに齟齬が生まれ二つの種族は争う様になる。


 聖龍族の能力の一つに人間と融合合身と言う物がある。


 ドラグナー皇国は建国以前に人間の異性のパートナーとコンビを組んで仕事をするのが珍しくない。


 特に身を守る為に共に死力を尽くす事が当たり前と成って居た。


 レビアナが初代国皇と婚姻したのを機に、国内では多くのパートナーが結婚して行った。


 しかし、時が経つに連れて、最初の頃の気持ちを人間族達は忘れる様に成って行き、聖竜人族達と聖龍族達の能力と騎乗の便利さから、道具扱いとしての考えが根付いて行く。


 その結果、レビアナはドラグナー皇国南部のドラグナー山脈に結界を張り巡らし、聖龍族の同胞を全てを引き連れて、その姿を隠す事にしたのであった。


 聖龍族が姿を消す事によってドラグナー皇国内で善良で対等な付き合いをしていた人々は、自分達まで罰を受ける様な事をしないで欲しいと、ドラグナー山脈の麓に神殿を立ててレビアナに祈りを捧げた。


 すると、神殿の中にレビアナの幻影が人々の前に現れた。


 彼女は連れ去った同胞の中で人間との番と成った者と、その子供の中に竜化が出きる、又はその可能性を秘めた子供達とは、もう会わせられないと言った。


 しかし、神殿で選定の儀式を終えて選ばれた者にだけ聖龍と言う人の姿をしない下位の聖龍族のとの誓いの契約を認めると伝えた。


 こうしてこの国では聖龍、セイント・ドラゴンと契約した騎士、聖龍騎士の制度とその身分が生まれた。



 レビアナが約束を忘れた人間族達に対しての最後の情けと言われて居る。


 ちなみに契約は下位の聖龍族だけと成って居るが、運がよければ人化できる最上位種と契約が出来ると言われて居るらしいが、それを成し遂げた者は未だに居ないのであった。


 そして、聖竜人族と聖龍族との本当の絆と約束の事は、今だ果たされて居ないし、次第に忘れ去って行くのであった。



 アースティア暦800年



 

 この年のローラーナ帝国は、瞬く間にシベリナ地方南部とユーラシナ大陸の中央諸国を制圧、続いてシャッポロ王国も征服し同国は滅亡する。


 大夏王国は西方の平原地方を失い、パイプ・ライン大河沿いの山脈地帯の定軍山地方を残して引き篭もる様に成る。


 以来、同国は他国との交流が殆んど無くなってしまう事に成った。


 その後、ローラーナ帝国は東部と南部の大国と取り引き的な同盟を組みつつ、従属国家を含む国家郡と西方バルバッサ帝国同盟を結成し、益々その勢力の拡大を広げて行き、留まる事が無いのだった。



アースティア暦990年




 この年、ローラーナ帝国は、ドラグナー皇国に100万人もの軍勢を送り込み、同地を降服させ、ローラーナ帝国に従属させた。



アースティア暦1000年 



 日本国と同じ世界から多くの地域と国家や軍勢が転移して来る。後の歴史に第3次転移国家群と呼ばれる地域。



 但し、デモニュクス帝国を含めると4度目になるが、転移災害でこの世界に来た訳では無いので、そんな理由からこの世界の歴史学者さん達はカウントする積もりは無いらしい。



 此処までが、大まかなこの世界での歴史の流れとなって居る。

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