132話 激闘!セイジョン・ローグリア攻城戦 9

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月17日・午前9時35分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア城南正門前戦線・セイジョン・ローグリア城南正門前戦線陣地にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 パンパンッ!パンパンッ!パパパパンッ!パンパンッ!パンパンッ!パパパパンッ!


 パンパンッ!パンパンッ!パパパパンッ!パンパンッ!パンパンッ!パパパパンッ!



ズダダダダダタダダダッ!!!ズダダダダダタダダダッ!!!


ズダダダダダタダダダッ!!!ズダダダダダタダダダッ!!!


 激しい銃声が戦場を駆け巡り鳴り響く。


 セイジョン・ローグリア城南正門前戦線陣地を守ろうと、僅か10名程の手勢と小銃や機関銃に無反動砲を片手に奮戦する自衛官達。


それでも敵の数は少ないが、生身の人間からすれば、とても巨大で倒すのに手間取る相手である。



「くそっ、手が足りないか・・・・・・・」


「火力の威力だけは、此方が有利です。」


「ですが、パワーと大きさだけは、どうにも成りません。」


「小隊長っ!此処は戦車隊か戦闘ヘリの援護要請をすべきです。」


「小隊長っ!井上一佐からです。」


「間も無く支援が来てくれるそうです。それまで踏ん張れと・・・・・・・」


「「「「おおっ!!」」」」


「・・・と言ってもな。良く見ろっ!」


「此処に向けて7機もやって来て居るんだぞっ!」


 援軍が来訪するとの報せに、歓喜する隊員達。


 だが、明らかに敵を一気に倒すのには、火力不足だった。


 敵は火砲を持って居ないロボット兵器だが、生身の人間を相手に近接して暴れられたら脅威である。


 進撃する魔導機兵は、防御に徹する自衛隊員とアルガス軍の騎士や兵士等に対して、徐々に迫っていた。


「くそっ!!41番機が殺られたか?」


「隊長殿、敵は500人程度で、見た事も無い武器を使って居ますが、その使い手は少数です。」


「数で押し切れば、オバム大佐殿が更なる軍を増派し、討ち破れる機会が得られると思われます。」


「そうだっ!!怯む事こそ愚策。」


「生き残った魔導機兵4番中隊に告げる。」


「城内の中に攻め入れば、勝利は我が方の物ぞっ!」



「魔導機兵4番中隊っ!前進突撃っ!」


「掛かれっ!掛かれっ!掛かれっ!掛かれえええぇぇぇーーーーーーーーっ!!!」



「「「「「うおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーっ!!!」」」」」



 グリクス地方軍団東部中央方面隊の魔導機兵4番中隊は、部隊の士気が落ちかけて居たが、中隊長の鼓舞のお陰で士気を持ち直し、再びサナダ丸の南部防衛陣地へと攻め入る。


「くそっ!士気が回復して来やがった。」


「此処は仕方が無い。撤退を・・・・・・」


「先ずは、ご挨拶のサンダーボールうううううぅぅぅぅぅーーーーーーっ!!!」


 リナの撃ち放ったサンダーボールは、魔導機兵4番中隊の43番機イースト・エンペラルの左腕の肩部分に命中する。



 撃たれた搭乗者は、衝撃でクラクラとして居た。


「うぐっ!?なっ、何だ今のはっ!?」

 

 サンダーボールを受け喰らった搭乗者は、爆炎と煙が晴れて攻撃された方角へと目をやる。


「あっ、あれは?」


 小隊長をして居る自衛隊員は、リナの放ったサンダーボール方向と向けられる。


 すると、其処には無駄に大きなバストとデカイ態度をした女が立っていた。


「あっちゃー、外れたか。それに肩に穴が開いただけ?」


 リナは残念そうに言う。


 此処に来るまでの間、通信機での戦場内のやり取りを聞いて居たので、間接の隙間が弱点と聞いて、自分でも試して見たが、僅かに外れて、肩の装甲アーマー部分に命中してしまう。



「舐めた真似をっ!このアマああああぁぁぁぁーーーーーっ!!!」


 魔導機兵4番中隊の43番機の搭乗者は、リナに仕返しをせんと方向を変えて、剣で真っ二つにしようと斬り掛かった。


「うおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!!」


 ガキイイィィィーーーンと言う魔法付加を掛けられている強靭な盾とイースト・エンペラルの巨大な剣がぶつかり合う音が、戦場に響き渡る。


「おーっ!凄い凄い。話には聞かされて居たけど、本当だったとはね。」


「リナっ!余計な事を言ってないで、コイツにサッサと止めをさせっ!」


 全長30メートル、機体体重の重さ数十トンで、持っている大剣は数トンもあるのだ。


 その魔導機兵の大剣とパワーを受け止めて居るクリス。


 彼女は強化付加魔法や防御付加魔法等のお陰で、この様な芸当が可能と成って居た。


 それでも、今の状況は流石にキツイし、辛いのである。


「はいはい。ライトニングブレイカーっ!!!」


 超近接魔法ライトニングブレイカー。攻撃対象に直に触れて数百万ボルトを直に流し込む雷属性魔法である。


 今はサンダースレイブの様な広域魔法を使える位置ではないので、中近距離魔法技で攻撃をして居るのだ。


「ぐわわわわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!!!」


 魔導機兵4番中隊の43番機は黒焦げに成って倒れて行く。


「43番機、撃破されました。」


「まさか・・・・・・あっ、あっ、あっ、あれが噂の雷帝の魔導師か?」



 討ち取られた魔導機兵4番中隊の43番機の末路を見て、それをやった相手の特徴を良く見ると、噂に聞くリナの特徴と合致して居ると魔導機兵4番中隊長は判断する。



「雷帝ですと?」


「ああ、あれは間違いない。」


「長い髪の金髪に、背丈もバストも態度も間違い無くデカイとの話だ。」


「成るほど、誰でもハッキリと見分けられる程に、分かり易く特徴的な容姿。」



「キレ易く、金品にもがめつく、それに幾多の帝国将兵から骨隋までしゃぶる様にして金品を巻き上げ。」


「着ている衣服すら剥ぎ取り、その辺の町で売り付けて金品に換金して居るローラーナ帝国軍キラーのリナ。」



「一撃で我が帝国のイースト・エンペラルを打ち倒す、化物染みた強さにな納得が行く。」


「そう、あの女が我がローラーナ帝国に取っての死神、破滅を齎すとまで言われている女だ。」


「くそっ、魔女めっ!悪魔めっ!破壊神めっ!!」




「雷光の魔術師に喧嘩を吹っ掛けたら、己の無能を悔やめ。」


「アセリアの頭の可笑しな聖光の天使に、罰を下されたなら自身の愚考を後悔しろっ!」


「ドラグナー皇国のアイアン・ブラッド・プリンセスと戦場で出会ったら、戦神を呪え、白龍大帝に睨まれたのなら逃げられるとは、決して思うなっ!」



「これ等の者達に、鍛えらし、雷帝に出会ったなら人生の終わりと諦めろって噂されて居る女なのだっ!!!」


「噂じゃ、冥界の王だろうと魔王だろうと神だろう、破壊神、古代兵器だろうと、天空の彼方の怪物や異界の魔神王さえ、一撃で滅すると言う。」


「血も涙も感情すら無い冷たい人形の様な冷血女。」


「そんな悪辣な噂の絶えない女魔導師なのさ。」



 何かまーた、若干だけリナの噂の台詞が変ってるし、それに酷い内容も更に微妙に酷い言われようである。



「なぁ、リナ。私も良くないお前の噂を良く耳にして居るが、どれくらい本当の話なんだ?」


「あはははっ・・・・・・」


 リナはクリスの一言と敵の言っている何時もの戯言でキレてしまう。


「クリスよ。それは言ってはイケナイぞっ!」


「ハーンーナーっ・・・・・・・・・」


「ひっ!!」


「ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル・・・・・・・・・」


 リナがキレて居ると気が付いたハンナは真っ青な顔つきに成ると、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブルと震えだす。


「総員撤収っ!急げえええええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!!」



「退避ーっ!!!退避ーっ!!!退避ーっ!!!退避いいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」


「逃げろっ!逃げろおおおおぉぉぉぉーーーーーっ!!!アレに巻き込まれるぞおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!!!」


 日シベ合同作戦軍の皆様は、手馴れた感じで、この後の展開を予想し、悟った陸自小隊長の指示の元で、さっさと撤退を決め込んだらしい。


「アイツ等っ!ぜっていっ殺ろすっ!!!!」



「アンタ達っ!今言った噂云々をあたしの目の前で、言った事を今すぐ地獄で、後悔させてやるうううううぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」



「へっ?」


「何か知らんが、とても不味い気がする。」



「中隊長殿。私も同感であります。」



「・・・・と言うか、サッサと総員撤収しろおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーっ!!!!」



「急げえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!!」



「はいいいいぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーっ!!!」


「うわわわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!!」


 リナの怒りに触れてしまった魔導機兵4番中隊の生き残りの面々は、真っ先に逃げ出す。



 だが、その末路は決して変わる事は無かった。



「ふふふふふふふっ、あはははははっ!!あーはっはっはっ!どうしてこうも、毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回っ!!悪い噂が更に尾ひれが付いて行くのよおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーっ!!!」


「んもううぅぅーーーーーーっ!!!ホンと腹が立つうううううぅぅぅぅぅーーーーーーっ!!!」


 リナの怒りが頂点に達する。


 彼女は膨大な魔力を纏い、その姿を金ピカに光輝いて行く。


 そして、お決まりの魔法を撃ち放つべく、呪文を詠唱し始めた。


「我は風と天と請い願わん、我と汝ら世界の理を操りて、我の前に立ち塞がる全ての愚かなる者共にっ」


リナが呪文を唱え始めると、バチバチと手の平の中で、電撃が光輝いている。


「等しく雷帝の裁きを与えん事をおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」


「サンダースレイィィィブウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっ!!!」


 リナの放つ雷光の捌きの輝きは、魔導機兵4番中隊を包み込んで、ガミトフ・バイマン中将が率いるグリクス地方軍団・レジェンダリア諸島遠征軍の本隊であるグリクス地方軍団東部中央方面隊から400メートル離れた地点を掠めて爆発する。



 この日の戦闘は、これを持って終了したと言う。


 被害が敵であるグリクス地方軍団・レジェンダリア諸島遠征軍本隊から400メートル離れた大爆発であっても、一時的に大きな被害を齎したからである。


 両者は、この戦いで最後に撃ち放たれサンダースレイブの大爆発によって出てしまった被害による事後処理に追われるのであった。

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