124話 激闘!セイジョン・ローグリア攻城戦 1
アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月17日・午前4時30分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア城東側付近・マルダ平原にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
マルダ平原の戦いの始まりは、その日の午前4時半頃、唐突に報せが届いた。
陸自ダバ派遣隊・第一偵察隊・第一オートバイ小隊長の川崎1尉は、シベ連合軍との共同で、定期偵察哨戒任務に出た時である。
今夜は初夏で有るとは言え、湖のど真ん中のせいか水の精霊ウンディーネと風の精霊シルフが多く居るらしく、互いの存在が反応し合ってブラキュリオス湖に濃い霧を出して居た。
ユーラシナ大陸中央部の東部地域に位置して居るブラキュリオス湖。
比較的その気候は、日本に近く、穏やかな四季で有るのだが、時より精霊達が悪戯の様に動き回る事が有る故、アースティア世界の航海士達の頭を良く悩ませて居ると言う。
この様にして、この異世界アースティア特有の気象現象に付いて、気象庁に勤める気象予報士達とその他の職員達等は、摩訶不思議な現象に対して頭を悩ませてるらしい。
日本国と転移国家群の国内は、どう言う訳か本来の気候のままである。
しかし、それ以外の土地に付いては、全く別の現象が有るらしいと大陸各地の本国を持つ各国大使からの聞き取り調査で判明して居たのであった。
本来の自然現象と、その土地に住まう精霊が起こす、摩訶不思議な気象現象。
謎は深まるばかりだと気象庁の職員や文科省の職員らは、学者達を交えて、ポツリと愚痴を溢して居たのであった。
さて、陸自ダバ派遣隊・第一偵察隊・第一オートバイ小隊は、まだ、朝陽が登って居ない暗がりの平原の中を、川神重工グループのカワカミモータース社製(現実の実際の物は、カワサキモータース)のオフロードバイクを自衛隊向け使用に改造した、バイクのエンジン音を響かせながら、悪路も難無く走行させつつも、その道なき道を突き進んで居た。
この異世界の広い大陸の悪路での使用は、地球世界に措いて、世界有数のバイク王国でもある日本技術力の真価を示して居た。
この広い大地で、好き勝手に走れると聞いたら、多くのバイク乗り達らは、大喜びするに違いないだろう。
偵察隊の隊員達は、日本の山野でも難なく使える様に設計されて居るバイクは、異世界の大地でも快調な走りと、ご機嫌の良いエンジンを響かせ風と一体と成って駆け抜けて行く。
「隊長。」
「そっちは?」
「いえ、まだです。」
「此方も。」
「はぁ~、敵さんも、そろそろ動きを見せて、攻め動いて来ても良い頃合いの筈なんだがな。」
第一オートバイ小隊長の川崎1尉は、渋い顔付きで、敵影を捕らえられずに居る事を苦々しい思いで焦って居た。
「ええ、昨晩のP-1哨戒機改の上空からの偵察報告では、グリクス地方軍団に動きが有るとの事でした。」
「それを踏まえて地上での偵察哨戒を厳にして居るんだがな・・・・・・」
「そろそろ引き上げますか?」
「この酷く濃い霧ですし・・・・・・」
「うっかり敵と遭遇するのも面倒ですしね。」
部下の1人が敵との鉢合わせを恐れて、撤退を進言する。
偵察での遭遇線は命懸け処か、死その物と成ってしまう恐れが有るし、多勢に無勢。
敵勢を見付けられないのなら、早めにスタコラサッサとするのが、偵察活動の常道と言えるだろう。
「精霊だったか?全くゲームとか、ファンタジーラノベじゃ有るまいし。」
「隊長、此処はそのファンタジー世界ですよ。」
「ああっ?!そう言えば、そうだったな。」
「それにしても精霊と言う奴は、その存在は厄介なのか、気にするだけ無駄なのか。」
「その土地の生息数に由っては、豊かな自然を示して居るのだとも言われて居るのだそうです。」
「でも、一番に厄介なのが、気紛れな感覚で、その土地の気象現象に対して、無邪気に干渉してしまう存在だとも聞いて居ます。」
「ゲームとかだったら、無害なのと強力な召喚攻撃に成るんですけどね。」
「ははっ、全くだっ!その姿は見え難いらしいがな。」
「これ以上の霧の中での偵察は危険だから、この辺りでそろそろ引き上げるぞっ!」
「了解です。」
川崎1尉等は、雑談を交えた会話を終えると、直ぐに引き上げを決めた。
それから5分たった時である。川崎1尉は、遠くから不意に妙な足音を微かに耳にした。
「止まれ・・・・・・」
真剣な顔立ちでバイクを止める川崎1尉。
「如何しました?」
「直ぐにエンジンを切れっ!」
部下達は慌ててエンジンを切る。そして、直ぐにバイクを茂みに倒して地面に伏せる。
すると、彼からして北へ500メートルほど先と思われる位置にボンヤリと松明や魔導式ランプの光が目に入る。
「あれは・・・・・」
「恐らく・・・ビンゴだ。」
「でも此処からだと霧のせいで、ハッキリと姿が見えませんね。」
「察するに敵は、移動中の様です。」
「ふははっ、こいつは傑作だっ!」
「如何やら、この濃い霧のせいで、敵軍の一部を通り越して居たらしいな。」
「それはそれで、笑えませんけどね。」
川崎1尉の部下達は、軽く笑って居る隊長に対して、自分達がゾッとする状況で偵察活動をして居た事を知って恐怖した。
鉢合わせして居ない事が、正に奇跡で有るのだから・・・・・・・・・・
「まぁ、良い。」
「規模に付いての確認は、相手が大軍な上に近付くのは、危険だから、これは無理だな。」
「それなら凡その場所と向って居る先を伝えれば、良いと思います。」
「そうだな。」
「そろそろ下がりましょう。どの道、敵は大軍です。」
「分かってる。」
「良いか、ゆっくり下がれ、ゆっくりだ。ゆっくりと下がるぞっ!」
「ある程度、離れたら、直ぐにトンズラするぞっ!」
敵を発見した川崎1尉達は、セイジョン・ローグリア城から15キロ離れた真東の地点で発見したと報告し、無事に偵察から帰還したのである。
同じ頃、アルガス軍の騎馬隊や陸自ダバ派遣隊・第二偵察隊・第二オートバイ隊等も北側と南側からも西進するグリクス地方軍団の地上部隊を確認したとの報告が入る。
日シベ合同作戦軍上層部は、グリクス地方軍団の動きに付いてに関して、如何やら日シベ合同作戦軍の本拠であるセイジョン・ローグリア城へと真っ直ぐに突き進み、日シベ合同作戦軍を包囲殲滅しようと目論んだ形での行軍だと推察されたと判断した。
この報告を聞いた日シベ合同作戦軍の総司令官である置鮎一佐は、全軍に戦闘準備と迎撃体制に移行する命令を下した。
アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月17日・午前8時37分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア城郊外・グリクス地方軍団・レジェンダリア諸島遠征軍・野戦司令部・グリクス地方軍団・グリクス地方艦隊総旗艦ドッコス・ギアレス級空挺戦艦オクト・ガレオンにて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
セイジョン・ローグリア城は、塹壕や迎撃する為の砦には、曲輪に空堀や水掘り、町形式の迷路仕掛けまでと、戦国城マニア推薦の仕掛けが満載なカラクリ屋敷ならぬ、カラクリ城郭と化して居た。
しかも、色々と意地の悪い仕掛けが満載である。
更には、迎撃攻撃に向うであろう自衛隊車両の専用通路までもが整備されて居るので、城内へと突入し、其処から逃げて出て来られるグリクス地方軍団の将兵らは、どれくらい居るだろうか?
また、城の西側には、特科火砲大隊がズラリと大砲並び揃え、敵への砲戦の構えをして居るのである。
前線の榴弾砲とシベ連合の砲台と組み合わせると、味方へのかなりの支援砲撃が可能と成って居る。
霧が晴れて来るのと同時にグリクス地方軍団の首脳陣は、目を見開いて驚く。
グリクス地方軍団の動員される兵力は約30万人だったと、後の歴史書には記されて居る。
後方から更なる予備兵力を投じ、傷病してしまった将兵を入れ替えての出撃にして、彼らの意地を賭けた総攻撃を仕掛け様として居た。
「むむっ?!最早これは、只の城では無い。」
「恐ろしく精巧にして、そして、小さく簡略的に増築改築した立派な要塞だ。」
ガミトフはグリクス地方軍団・グリクス地方艦隊総旗艦であり、自身の専用旗艦でもあるドッコス・ギアレス級空挺戦艦オクト・ガレオンの外部艦橋から望遠鏡と偵察隊を使い地上の様子に付いてを言う。
そして、彼は思った。
この城塞は、そう簡単に攻め落とせないと。
「馬鹿なっ!たった一週間くらいの間に、こんな物が出来上がる筈も無い。」
「それに、こんな城郭をした設計は、見た事が無いぞ!」
オバム大佐も驚きを隠せずに居た。
彼らからすれば、城とは広い土地に城壁を高くして、成るべく多くの兵士を送り込み守らせ、援軍の到着を待つか、補給が切れると言う形での決着が着くのが主流なのである。
目の前に広がるのは、近代と中世の良い所取りをした形の城塞が広がって居た。
それも城内に攻め込まれても戦い易い様に、工夫を凝らした形の物である。
「落ち着くのだ、オバム。」
「わしの秘策の準備が整うまで、我らは目の前の城塞の攻め方を伺うのだ。」
「それでは閣下、我らは如何致しますか?」
「そうだな・・・・・・・」
「戦艦群を前面に押し出しては?」
参謀の1人が意見を言う。
力攻めなら空挺戦艦と陸上戦艦の二種の兵器を押し立てて行きつつ、竜騎士航空隊と共に攻め入れば、城門や城壁、更には各地点を防御する砦や堀すら無視して、敵の全ての守りを関係が無く攻め上がれるだろう。
「定石通り、良い案と言える。だが、芸が無いな。」
「と言いますと?」
「敵もその事に関しては、百も承知だと言う事だ。」
「全軍の全艦隊で攻め込んだとする。」
「するとニホン軍が全力で、防戦する為に、彼の飛翔する鉄槍を撃ち込んで来るぞっ!」
「それに加えて、二ホン軍が有する超射程の大砲も併せてだっ!」
「それが分かって居るのに、戦艦を蜂の巣にする様な間抜けを晒すのは、愚の骨頂だ。」
「貴官が無能なのでは、無いのは分かって居る。」
「この世界の通常の戦なら、それで事が足りて居るのだ。」
「今回、我がグリクス地方軍団が、アースティア世界に措いて、この戦場で初めて相対する事に成る国軍。それがニホン軍だ。」
「まだ、目の前のニホン軍の規模も詳細も分からない。」
「此処は慎重に事を進めるべきであろう。」
「おおっ、流石はガミトフ閣下。」
「誠に以って、ご慧眼です。」
「実に心が洗われる。実に見事なお考えです。」
「だから、各艦隊をセイジョン・ローグリア城から、こんなにも距離を取って居られたのですね。」
グリクス地方艦隊は、セイジョン・ローグリア城から7キロ離れた地点で、尚且つ地上から150メートルの位置で停止し、双眼鏡や伝令官を用いて、略地図を描いて軍全体の指揮を執る事にして居たのである。
それでも海自護衛艦からすれば、丸見えなのだなので、全く意味の無い事である。
その事を彼らは知る由も無いのであった。
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