86話 激闘!レジェンダリア諸島 カントルナ砦近郊上陸撤退戦  (グリクス地方奇襲戦 2)

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月5日・午後16時00分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖畔・アルガス公国・モンブラン州・モンブラン州都・ファン・ブランク市・アルガス公国軍・駐屯居城要塞・アナハインム城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 



 この日、夕方にアルガス公国軍と日本国自衛隊との会議が、アナハインム城内の大会議室にて召集される事と成った。


会議の議題は、南部のユーラシナ大陸・シベリナ中央地方のグリクス地方の帝国戦力に対して、どう戦うかだった。



 アルガス公国軍の最近の偵察で得た情報は、以下の通りと成って居る


 空挺戦艦20隻 空挺竜母艦20隻 空挺重巡洋艦15隻 空挺巡洋艦30隻 空挺駆逐艦60隻 空挺帆船戦艦が200 魔導陸上戦艦30隻 魔導陸上揚陸艦50隻、帆船戦艦300 帆船輸送艦500



 グリクス地方軍団側の全兵力は、凡そ40万人程度と成っていた。


 そして、グリクス地方軍団と帝国軍をこれまで阻んでいたのはブラキュリオス湖と言う湖の広さであり、船が中々揃わなかった事に有る。


 

「以上がグリクス地方に措けるグリクス地方軍団と帝国軍の実情です。」


 クリスが凡その内訳を言い終える。


「兵力が40万人か・・・・・」


「地球時代では考えられんっ!!やり口が丸でソ連軍や人民解放軍の様だっ!!兵力等の軍事力が出鱈目過ぎるぞっ!!」



 置鮎一佐と井上一佐の二人は、帝国軍の兵力の多さに改めて恐怖する。


 その例えにソ連軍や人民解放軍の例えわ上げるのは、80年以上も前の戦争で、肉弾戦・・・・・所謂、近代的な武器は使えども、兵力の数に任せて攻め立てると言うやり方で、旧大日本帝国軍よりも凄惨な戦い方をして居たとも言える。


 旧日本軍の方は勝てない戦と出鱈目で作成とも思えないやり方で、無駄な兵力を損なって居たが、ソ連軍や人民解放軍等の組織は、補給路と補給物資がしっかりとして居たが、退き返せば死ぬぞと脅されて仕方なく前進するしか無い戦いを強いられて居た。


 それが第二次世界大戦と朝鮮戦争での出来事である。



「ローラーナ帝国は、軍備拡張と増強の為に必要な兵隊の徴兵には、手段を選んで居ません。」


「それに、これまでの戦争に措いて、向かう所敵無しな状態が続き、一方的な敗戦が殆んど無いせいなのと、彼の国の600年間を掛けて築き上げた広大な国土と人口の多さから次々と兵隊が送り込まれてしまいます。」


「それに加えて、ローラーナ帝国の標的とされた国々に、ローラーナ帝国軍に攻め込まれば、このアースティア世界に現存するどの様な国々であっても、手が付けられません。」


「兵力で敵を圧倒するか・・・・・・・・」


「とても厄介ですね。」


 二人は、先にも述べて居たが、ローラーナ帝国軍の戦争でのやり口である二つの軍組織を思い浮かべる。


「やはり話を聞く限り、ローラーナ帝国軍と言うのは、昔のソ連軍や人民解放軍の兵力が可愛く見えるやり口だな。」


「ああ、彼のソ連と人民解放軍だって、此処まで兵力を有して居ない。」


 

 自衛隊幹部である二人は、地球史に措ける映像や資料本でしか知らない。


 ある意味、戦争に関わる者達に最も恐れられた肉弾兵力軍を上回る兵力で、敵を押し潰すのが基本的な戦いであった。


 そんな無茶苦茶なやり方をして居るのが、このアースティア世界に措けるローラーナ帝国軍であった。


 それを地球世界史で言えば、半世紀前のソ連軍や人民解放軍と言うのが、似た様な例題として上げらる国軍としての戦い方であった。



「だがテロ組織のISよりはマシだ。」


「ああ、隠れてコソコソされより、軍として撃ち合うなら読み易い。」


「あのー、さっきからソ連軍とかISとか訳が分からないのですが?」


 クリスが置鮎の言ってる事に質問してきた。


「ああ、君達の帝国軍に関する話を聞いて居るとね。俺達の居た世界に在った幾つかの軍組織とか武装組織とかを思い付いてね。」


「人民解放軍は、日本の隣国に有った軍隊でね。」


「80年前くらい前の世界大戦の後の内戦では、大陸の支配権を勝ち取った後に起きた朝鮮戦争と言う戦争で、援兵と証して大軍を送り付けて来た事が有ってね。」


「あの時はアメリカ合衆国軍を中心とした国連軍が苦戦した事が有ったんだよ。」


「それとソ連軍と言うのも似たような物でね。」


「80年前くらい前の世界大戦最中で、ドイツと言う国がソビエト連邦のモスクワと言う首都を目掛けて攻め込み、泡や首都が落とされそうに成って居た時に、後方から温存していた兵力や戦災を逃れる為に、東に移転して有った軍需工場で、生産して居た兵器を大量に送り付けたんだ。」


「その結果、ソ連軍は地の利と兵器や大兵力の大軍。そして。冬将軍の到来を利用して、ドイツ軍に大勝利したんだ。」


「ISって言うのは、イスラム教の教えを狂信的信じてたり、異教徒弾圧したり、経済的に豊かな国に対して反発している武装集団の事だな。」


「金や兵を集めをするのならば、如何なる手段も辞さなくてね。」


「人を無理やりに兵隊にしたり、まだ未成年の少年兵やら、傭兵を掻き集めるの必死だったしなぁ・・・・・・・・」


「そうそう、勝つためにも、金に成るのならば、どんな手段を用いて、本当に何でもして居たなぁ~」


「誘拐・麻薬、海賊・盗賊・強盗とISと関わりを持とうと各地の組織が躍起に成ってたよな。」


「確か12年くらい前が、組織としてのピークだったよな。」


「あの時は中東を中心に色々と面倒が続いたっけ。」


「世界中の人々が、迷惑なテロ騒動に巻き込まれて居たなぁ・・・・・・・」



 置鮎一佐と井上一佐の二人は懐かしそうに、当に過ぎ去った地球での出来事を語った。


「そちらの世界も色々と厄介ごとが有るのですね。」


「まぁ、そんな感じの出来事が多いから、シンプルな戦い方をするローラーナ帝国は、ある意味、戦いやり易い。」


「でも、それとは別に、此方側の味方がなぁ~・・・・・・」


 一同が兵力の少なさと言う現実がある事に、思わず暗く成ってしまう。


「この地に集まった我が全兵力は、アルガス公国軍だけで6千人程度です。」


「日本軍の方々である自衛隊の総兵力数は、凡そ3500人程度。」


「内2000名ちょっと程度しか陸軍としての兵力が居ないのが心もとないと言えますね。」


「オマケに海軍の方々は、操船する事と白兵戦が出きる程度の戦闘訓練を受けて居るとのこと。」


「我々とは根本的に、戦に関するやり方が、全然違うと思われます。」


 クリスは自衛隊側の説明で、自衛隊の戦力規模の説明を大まかに聞き、彼女なりに自衛隊の戦力分析をして見た、結果での見解を簡潔に述べて居た。


「まぁ、家は少数精鋭で武器と兵器中心の国防隊ですからね。」


「揚陸戦を行う軍隊である筈の陸戦軍ですら、纏まった数の兵力が無い国ですので・・・・・・・・・・」


「12年前にやっと出来上がったばかりの水陸旅団は、ハッキリ言って反撃と領土奪還の専門部隊。」


「攻めに転じる用途に用いる旅団としては、他国に比べて、小さ過ぎますから・・・・・・・・・・」


「まぁ、その事で貴方がた自衛隊の事を不安視する者も少なからず居ますが、此処まで持って来て居る兵器の質と火力的に見れば、万の軍勢を率いて居ると言えます。」


「それに、其処に居る二人も、万の軍勢を相手に一歩も退きのかないとアセリナの聖天使騎士の方々から聞きました。」



 自衛隊の兵力は、ハッキリ言って少数精鋭で武器兵器の性能に頼っている面が有る。


 決して練兵に手を抜いていたり、予算をケチって、人員を削減して居る訳でも無いのだ。


 クリス達の軍隊は、練兵と装備、兵力の多さで戦うが、自衛隊とは少しだけ違うだけなのだ。


 況してや、今回の参戦は全くの予定外である。


 自衛であり護衛でもある陸自部隊の隊員の全てに、数十万の軍隊を如何にかしてくれ等と言うのが、最初から酷な話なのだ。



 だが、我が日本国が誇る自衛隊は、大変に優秀な装備品が揃って居る。


 其処は大きな利点だと言えた。


 後続部隊が駆け付ければ、更に有利な条件が揃う。


 その為に、今はやらなければ成らない戦いが、これから起ころうとして居るのだった。



「まさか、あの雷帝の噂の人物が、リナだったとはな。」


「ああ、その先は言わないで良いわよ。クリス。」


「うん、どうせ・・・何となぁ~く、ロクでもない噂なのは、十分に自覚して居るから・・・・・・・・」


 その噂の話とは、あの胸もデカイが態度も序でにデカイと言う話だ。


 リナは、もう諦めた様な顔をして居たが、この分だと、この後も同様の突っ込みが、有るのだろうと悟って居たのだった。


「音信不通だったとは言え、其処までの実力を持った魔導師に成って居たとはね。」


「いや~色々と有った挙句、荒れに荒れた修行生活の矢先の果てに、身に付けた力だったけど・・・・・・まぁ、何とか生きて行ける程度には成ったわね。」


「我々は、そのリナさんにも、出張って貰いたいのですが。」



 置鮎一佐は、グリクス地方軍団と戦う為に、一計を案じた策を披露する。


「これから説明をする作戦と言うのが、有体に言えば、敵側に侵攻作戦を遅らせる為に、奇襲による遅滞遅延作戦ですね。」


「まぁ、陽動作戦も兼ねて居ますが。」


「それが、妥当でしょう。」


「具体的には、如何するの?」


 クリスも賛同し、リナがその内容に乗り気で居た。


 その手の戦いは、彼女の十八番だからだ。


「はい、護衛艦きりしまとヘリコプター搭載護衛艦いずも、ひゅうがを中心とした護衛艦隊の一隊と、艦内に持って来て居る全てのヘリコプター使用した少数精鋭部隊を編成し、奇襲部隊として、敵地へと奇襲します。」


「ヘリコプター搭載護衛艦・・・・・と言うと、あの水上基地とも言える大きな鉄船を用いて、帝国側陣地へと攻勢を掛けると言うのですか?」


「その通り、闇夜に紛れ、神速を以てして、神出鬼没に敵地への攻撃する。」


「そして、護衛艦きりしまはイージスシステムと言う監視装置を持って居ますので、敵側の動きは逐一分かりますし、護衛艦に配備されて居る偵察専用のヘリも出撃しますので、攻守に万全を期した体制での奇襲作成に成ります。」


「如何でしょうか、お二人とも?」


「決行は?」とリナは、途轍もなく真剣な眼差しで聞き返す。


「準備が整い次第、今夜にでも。」と置鮎一佐は、直ぐ答える。


 アルガス公国軍側の指揮官クラスの騎士達を中心に周囲はざわつく。


「面白いですね。その奇襲作戦、是非ともやりましょう。」



 クリスの一言で、アルガス公国軍側は、この作戦への参加と決行を決断する。


 置鮎一佐の作戦とは、護衛艦きりしまとヘリコプター搭載護衛艦いずも、ひゅうがと搭載されて居る陸自海自の全ヘリ部隊を用いた奇襲作戦であった。


 この場に居た両者は、一致団結してダバ支援艦隊の到着するまでの間、奇襲攻撃によるゲリラ作戦を決行する事と成ったのである。


 後の歴史では、この戦いの事をレジェンダリア諸島・カントルナ砦近郊上陸撤退戦と呼ばれ、置鮎一佐が提案した作戦の事をグリクス地方奇襲作戦または、グリクス地方奇襲戦と呼称されて居る。

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