外伝13話 オペレーション・イツクシマ作戦計画

 アースティア暦 1000年・西暦2030年・ 6月5日・午後16時35分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本列島・日本国・九州島地方・福岡市東側郊外地域・神部町・異世界国家交流総合支援省・大臣執務室交にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 



 ダバ派遣艦隊のダバード・ロード王国への派遣目的は、技術改良をする為に、日本へと譲渡が決まった魔導機兵の受領と表向きは成って居る。


 だが、その真の目的は、反帝国を掲げる国家元首達や中立国の国家元首達が、国交開設等を含む国家間交渉を目的とした国際会議への参加をする為に、秘密裏に日本へと訪問して来ると言うものだった。


 日本での開催をすると言う事態と成った経緯は、ダバード・ロード王国のアーヤ女王の提案と、異界からの転移国家との国交開設をする事に有り、その彼らを敵対国の暗殺や軍勢での襲撃と言う暴挙から守るには、日本と言う一番に安全な地域での開催が絶対に必要な条件と成って居た。


「ふーん、置鮎さん。これは・・・・色々面白そうな手口ですね。」


「いやー、これなら僕も実際に見てみたい位だ。」


「そうかい?その反応を見たらお世辞では無さそうだし、第二次龍雲海沖海戦って呼ばれている戦いの作戦の意見監修した君が、そう言うのなら安心だ。」



 竜史は異世界関連の創作作品の知識に深く。


 日本本土近海での海上防衛に置いての参考意見の監修をも行って居た。


 まぁ、オタクの目線からの素人意見だが、大学の先生やら軍事評論家、果てはSF作品の手がける作家など著名人とアメリカ軍の将校に自衛隊幹部を加えた作戦会議。


 その会議には、交援省が掻き集めた情報と紅葉の能力とコネクション経由で得た情報を併せた意見を述べて、彼の第二次龍雲海沖海戦を見事に防いで見せたのだ。


 勿論、プロの働きが大半だったが、時限式魚雷や海上包囲奇襲に、ローラーナ帝国の日本本土の位置が、凡その位置が特定されて居たと言う手口の看破など、素人だがバカには出きない一面が有る事は、各所からまぐれかも知れないが、無視すらも出きないと言われて居た。


「それで、これって厳島の戦いをベースにしてますよね。」


「ああ、地形的に似て居たからな、そのまんま盗作する様な事はして居ない。」


「作戦参考程度にだ。それに派遣隊の中には、広島出身者や呉所属の連中も居る。」

「大軍に小勢でと成ると、必然的に織田信長の桶狭間の奇襲や毛利元就の厳島の戦い。」


「北条氏康の川越夜戦に島津軍の釣り野伏と、我が国は、少数精鋭で状況を一変させて来た戦史に事欠かない。」


「そうですね。もっと前なら、足利尊氏やら楠木正成やら、もっと古ければ義経に吉備真備と小狡い手口を使う武将や軍略家は多く居ますからね。」


 色々と著名な将の人物を挙げて行くが、正に今が歴史、その時が来たと言うべき時だろう。


「小西さんも、この作戦に付いて、どうお考えですか?」


「俺の方もこれで良いと思う。」


「後続艦隊を待っての反転攻勢・・・しかし、これは本当に痛い。」


「そうですね。西方でのローラーナ帝国軍の偶発的と言える戦闘続き、色々と備える為に援軍を送った筈が・・・その肝心の援軍が襲われるとは・・・・」」


「ああ、ブラキュリオス湖での情勢を鑑みての急造の派遣艦隊だったが、十分な自衛体制は有った筈た。」


「神谷や池田さんらが間に合ったのもツイて居ると言えたが、ローラーナ帝国軍が我々も把握して居ない未知の兵器群が投入されるとはなぁ・・・・・・・」


「何れにしても、置鮎さん。」


「この戦いは、此処からが山場です。」


「万が一に備えて、ガイダル島派遣隊のF-4部隊にスクランブル体制を取らせて置きましょう。」


「ですね、小西さん。」


「任せる。どの道、福岡や大陸基地でないと正確な連絡手段が無いのが現状だ。」


「この世界にやって来たから撃ち上げた人工衛星も、地球世界とは違って、思う様な運用も難しいし、其処から西へと向うと監視衛星は範囲外と成って居る地域も多く成る。」


「この星を周回している監視通信衛星は、ある程度の時間が来ないと直接通話すら難しいと来て居る。」


「何でも地球の様には行きませんね。」


「それではお二人供、この作戦計画。送った通りで良いですね?」


 モニターやパソコンを繋ぎ合わせての画像中継通信越しに大臣の二人は頷く。


「それでは。」


 敬礼をして通信を切ろうとする置鮎一佐。


 それを慌てて一言を言おうと竜史は声を掛けた。


「あっ?!待ってください。」


「折角ですので、正式な作戦名を決めましょうよ。」


「それとですね。ヘリ部隊にでも選別を送りましょうか、味方の援軍の時にでも使って下さい。」


「使うかどうかは、井上さんにでも決めて貰えば結構ですので・・・・・・」


「作戦名に選別?」


 置鮎一佐は、画面に映る竜史が何やら悪戯を考えて居る様な顔立ちをして居た事に、気が付き、嫌な予感がして居た。


「作戦名は、今思い付いた奴で、至ってシンプルな名前です。オペレーション・イツクシマとでも名付けましょう。」


「そのまんまじゃないか。」


「良いんですよ。歴史書に載るなら、これくらい簡単な名前の方が、我々も後世の人達も覚え易い。」


「良いんじゃないか。」


「ええっ!!小西さんまで~っ!!・・・・・」


「その方が報道で使うのに説明し易いし、第二次龍雲海沖海戦の時の様に、覚え易い名前が在ると政府としても非常に助かるんだよ。」



「それに名前は付いて居る事が大事だと言うしな。」


 そう、この時に付けられた作戦名が、この世界の戦史書にある言葉を生み出すのだ。


 イツクシマ作戦の奇跡と。




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