54話 第二次龍雲海沖海戦 11

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前9時03分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・日本国・東シナ海近海域及びローラーナ帝国領・シャッポロ州・龍雲海沖近海域付近・ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊との連合艦隊・第一陣先鋒艦隊・ドラグナー皇国軍・レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺艦隊・侵攻中海域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  



その頃、ヴァロニカはと言うと・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 日米合同連合艦隊による迎撃作戦に措いて、膨大な数を誇るミサイル攻撃を受けてしまったドラグナー皇国軍・レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺艦隊は、未だ被弾を受けて居ない艦隊を南東方向へと転進させつつ、レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団単身による反撃を考えるヴァロニカは、反撃の一手と成る作戦を思案中であった。


(敵は真正面から鉄槍を撃ち込んで来た。)


(だがしかし、本当に真正面から来て居るのか?)


(後方から伝え聞く第一外征艦隊共の伝令官からの情報を聞く限り、多数の方向から攻撃を受けて居ると聞く。)



(二ホンの陰に紅葉の影が見え隠れして居るのは確かだ。)


(紅葉は二ホンと接触して居る。これは確実な事だ。アレは曲がりなりにもコヨミ皇国の星読みの巫女だ。)


(だったら星読みの力で二ホンと接触し、第一外征艦隊の侵攻や二ホンとローラーナ帝国との軍事衝突を予見して居も不思議は無い。)


(それならば・・・・この私の考えて居る事などはお見通しの筈だ。)


(その証拠に、第二派以降の攻撃に手加減が加えられて居る。)


(大方の所は、我がドラグナー皇国を何れ味方に付けたいと言う思惑があるのだろう。)


(ドラグナー皇国軍を指揮って居るのは、この私とミリアル兄上だ。)


(この戦で、二ホンとの国力と軍事力の差を見せ付けた上で、交渉材料とする積りなのだろう。)


(ふっ!生意気にも紅葉、貴様はこの私の事を随分と安く見積もってくれたなっ!!!)


(・・・・と成れば、この戦に措いての作戦を打ち立て居る小賢しい二ホンの将校共が、裏で暗躍する紅葉の提案を受けて動いて居るとすれば・・・・・・・・・・・・二ホン海軍艦隊の本隊艦隊が居ると場所は・・・・・・・・・・・・)


 ヴァロニカは、思案する中で、護衛艦隊の本隊艦隊の一を一発で言い当て見せると、後世の歴史書に書かれて居る。


「・・・・・・・・読めた。恐らく敵は北東方向に、本隊艦隊が在るな。」



 長年の戦場での感と武人として天性の嗅覚が彼女にそう告げていた。



「殿下?」


「一体、如何言ったお考えから、その答えを?」


「紅葉の奴が二ホン海軍に我らの戦法や巫女姫の力で読まれて居るとすれば、合点が行く。」


「其れならば、真正面に囮と攻勢艦隊、多方面からの攪乱攻撃。其れ等に乗じて、我らを混乱させて一番に討ち入り易い海域地点は何処か?」


「それは第一外征艦隊の本隊が居る後方の真横に当たり、一番に近いと見られる地点・・・・・北東部に在る海域だろう。」


「それも我らの索敵に引っ掛からないほど、かなり遠い地点からの奇襲攻撃。」


「流石ですっ!やはり殿下は戦の達人ですね。」


「世辞は良い。その戦上手は10年前にシベ帝戦争で失敗して居る。私は只の武人に過ぎんと言う事は嫌と言う程に通関させられた。」


「だから子旅の戦も甘くはしない。」


「二ホン海軍へ逆奇襲攻撃を仕掛けるぞっ!!」


「随伴する部隊の数は?」


「多く無くて良い。連中には紅葉が見て居ると見るべきだ。だから少数精鋭で向かう」



「ユウリーンっ!!!まだ動ける精鋭を集めてくれっ!!!」



「我が艦隊は、このまま母国へ帰還しろっ!」



「宜しいのですか?精鋭部隊は直ぐに揃えられますが、レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団の空挺艦隊を丸ごと撤退すると成ると、帝国の奴らに勘繰りを・・・・・・・・」



ユウリーンは、心配そうに聞き返す。


 第一外征艦隊司令長官であるギワザンに、帝国への謀反や勘気を被るのではないかと思ったからだった。



「構わんっ!!!それでも何かを言ってくるようならば、私の名を出せっ!!!」


「先陣部隊を率いるヴァロニカが、ニホンの兵器の奇襲攻撃で、特定不明の攻撃を受けて、損耗し居るから前線から分散しながら、撤退するしか無いと判断して居るとな。」



「ふっ!!それに・・・・・このまま、義妹たる紅葉から一泡を吹かせられたままでは、この義姉たる私の格好が付かんしなっ!!!」とギラギラと目を輝かせるヴァロニカは、一噛みをして来た紅葉に対して、本気で闘志を燃やしたく成ったらしい。



 逆らう事を恐れていた義妹たる紅葉が、義姉たるヴァロニカへ噛み付いて来たのだ。


これほどまでに嬉しい事は在ろうかとね。



「ははっ!!了解しました。私に残存部隊を任せて、ご存分に・・・・・・・」




ヴァロニカは、自身の直属の配下とアイリーとコレットらの配下で、無事な者を引き連れて東へと転進して行くのであった。



ユウリーンは、空挺魔導戦艦レビアナを中心としたレッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺魔導艦隊の各艦の艦首をゆっくりと南西方向へと向けながら、出発地である母国首都のニューサリヴァン港へと撤退を始めて行く。




 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前9時12分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・日本国・東シナ海近海域及びローラーナ帝国領・シャッポロ州・龍雲海沖近海域付近・ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊・第2陣・ローラーナ帝国海軍・第一外征艦隊・第一艦隊・第一艦隊旗艦・海上鋼鉄戦艦ザージェント・マモーハンズ及び進軍海域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  


アースティア世界でも指折りの最強を誇るレッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺魔導艦隊が、日米合同艦隊の奇襲攻撃を交えた攪乱攻撃を受けた事により、撤退して行く。



 その様子を後ろから悠々と眺め見て居たローラーナ帝国海軍・第一外征艦隊・第一艦隊司令長官であるネーレイ・マモー・ハンズ大佐は、レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団が奇襲を受けて撤退するとのと報告を受けるが、余りにも早い撤退に不満感から苛立ち、物凄くヴァロニカを罵る。



「はんっ!!血染めの鋼鉄姫将軍とも在ろう者がっ!!全く以って不甲斐無いねっ!!」



「まぁ、盾の役目は十分に果たして貰えたさねっ!!」



ネーレイは、二ホン海軍からの奇襲攻撃を受けた自分の艦隊の残存数を改めて確認すると、その被害は比較的に少なかったらしい事が分かった。


 如何やらヴァロニカの放ったヴァロスカリブレイカーが、ネーレイ艦隊を狙って居たミサイルを防いだらしい。


 ヴァロニカからすれば、思わぬ誤算から身の保身にも繋がったミサイル迎撃であった様だ。


 この事は後日改めて報告を受ける筈だが、ひょっとしたら彼女は、苦笑するかも知れない。



 ヴァロニカは次なる一手を打つべく独自の行動に移り、指揮下に在る本隊艦隊は祖国へと引き上げて行く。



 それでもローラーナ帝国海軍・第一外征艦隊の先鋒でもある第二陣である第一艦隊たるネーレイ艦隊は、多少の混乱をしつつも、更に前進を続けるのであった。




アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前9時13分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・日本国・東シナ海近海域及びローラーナ帝国領・シャッポロ州・龍雲海沖近海域付近・ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊・第4陣・総旗艦・魔導空挺戦艦ザージェント・ギワザン・ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊 侵攻中海域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  



  一方のギワザン艦隊には、ミサイルが50発ほどが届いていた。程なくしてニホン軍の奇襲の報せが届くのである。



「申し上げますっ!!先ほど先鋒隊、レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺魔導艦隊司令長官であるヴァロニカ殿と第一艦隊司令長官であるネーレイ様たちからの伝令ですっ!!」


「ヴァロニカ殿の艦隊が、ニホン軍の奇襲攻撃に遭い撤退を開始しました。」



「何っ?!で敵の攻撃方法は?位置は?」



「全て不明との事です。」



「何とっ!!言う事だっ!!」



「ですが閣下、ニホン軍は兼ねてからローラーナ帝国海軍・東洋方面艦隊・第120艦隊の生き残りが申す通りに、飛翔する鉄の槍が飛んで来たとの事です。」



「今はまだ、情報が錯綜して居りますが、ヴァロニカ殿が一部の空飛ぶ槍を撃ち払ったとの事の情報も入って来て居ります。」



「それは吉報だっ!!」



「これで未知の兵器を有すると噂を聞く、ニホン軍とて無敵ではない証明であるぞっ!!!」



「ニホン軍は、この真正面に居る筈だっ!直ちに第一外征艦隊に所属する全竜空母隊から、全飛竜航空隊を発艦させよっ!!!」



「はっ!!直ちにっ!!全飛竜航空隊を発艦させますっ!!」



伝令官が命令を伝える為に去って行くと、ギワザンの横に居る副官が、そっと耳打ちする。



「ギワザン閣下・・・・・我ら本隊も、万が一の為に、ニホン軍の奇襲に備えては如何でしょうか?」



「その心配は有るまい。相対するニホン軍の数は、我らに劣ると見た。」


「そうでなければ、遠距離からの奇襲攻撃なんぞ仕掛けるまいて、数で押し切りれば、空飛ぶ鉄槍や敵の航空隊すら、何も出来なく成ると言うもの。」


「戦艦による艦隊決戦に持ち込めば、砲塔の数と威力の高さが物を言う。」


「遠距離攻撃に頼って居る臆病者どもの海軍なんぞ一捻りにしてくれるわっ!!」



「前進を続けよっ!敵艦隊の懐へと素早く飛び込み、奴らが打てる手立てが少なく成った所を一気に畳みかけるのだっ!!」」


「少数精鋭と思われる二ホン海軍を討ち破りっ!!その先にの目の前には日本領の島が在る筈だっ!」


「上手くすれば、我が艦隊だけで二ホン国を落とせるやも知れんっ!!」



「はぁ、ですか・・・・・・・」



「貴様の忠言は心に留めて置く。今は敵と勝利を逃さない事に専念せよ。」



「はっ!!出来すぎた真似をしましたっ!!」



「良い、良い。」


「時として、そう言った事を言って貰わねばな。私は良い部下に恵まれた物だ。」



 ギワザンは副官の忠言を言った事を誉めていた。


 此処でもし、索敵をもう少しだけして居れば、抵抗がチョッとだけマシに成ったかも知れないのである。



 焼け石に水にしかならないが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前9時13分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本国・日本国領海・東シナ海近海域・日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊「南雲護衛隊群」集結地点にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊と日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊らが開戦をしてから約一時間が経ちつつある。


 その戦闘状況は、日本の自衛隊側が圧倒的な優勢と成って居た。


 その支援攻撃を行って居た米海軍は、ミサイル攻撃の弾幕を打ち尽くし、退避行動を取って艦隊を南進させて太平洋側へと移動して行った。



 それに釣られて、ローラーナ帝国・第一外征艦隊の100隻から成る竜母から、600騎以上もの飛竜航空隊が全騎発艦して、 ギワザン達がニホン軍の予想想定して居る地点へと向って、命令を受けた竜騎士隊の者達らは飛び立って行く。



 今の所は第一外征艦隊から成るローラーナ帝国軍は、彼の輪っかを付けた猿が出て来る昔話の様に、釈迦(日本国政府)の掌の上と言った感じの状況下であった。




一方の航空護衛艦を飛び立って居た空自航空隊の60機の航空隊は、監視衛星と哨戒機の情報から得て居た第一外征艦隊本隊の位置へと驀進中であった。



 その空自航空隊の先鋒隊を勤めるのは、バイパーゼロ (VIPER ZERO)の異名持つF―2Aタイプ型支援戦闘が、完全爆装状態で飛行して居た。


 随伴するF―15J戦闘機も同じく、完全武装で飛行して居る。



 これは空自創設以来の完全爆装状態での出動であった。



「少々時化が酷いな・・・・帝国艦隊の様子は?」



発艦前には雨は上がり、曇り空で波は少しだけ荒れて居る。



 戦闘機の発艦には厳しいかも知れないが、日本の周辺海域は、特に荒れた海が多い事でも有名な地域である。


 何せ、遣唐使・遣隋使等の大陸通信使での往来も商船貿易も命がけと言われた時代以前から厳しい環境下に在る日本国周辺海域。



 航空護衛艦を中心とした空母機動部隊の創設に当たり、そうした海上での訓練を米海軍の教官の厳しい訓練に、空自隊員と海自隊員は堪えて今日に至っていた。



 その厳しい訓練結果は、今その実を結ぼうとして居た。




「はい。今は陽動してくれて居る米軍艦隊に、その敵艦隊の多くの航空隊と随伴する艦艇らが、囮に喰い付いた形で引き付けられて居ます。」




「南雲司令官っ!!米海軍のロイガー司令官から入電ですっ!!」



「大喰らいの大魚は、餌に喰らい付いた。我らは此れより大魚を釣り上げるべく行動を開始する。との事です。」




「皮肉っているが、確かに獲物の手の内が、分かって居る釣りをほど、楽なもの無いな。」 



南雲一佐は、ロイガー司令官からの通信のジョークめいて居た台詞を苦笑していた。



「後10分で、敵本隊艦隊と会敵予定です。第一波と成るのは、第一航空隊、第二航空隊。そして、第四航空隊が突入します。」




 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前9時25分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・日本国・日本国領海・東シナ海近海域・日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊「南雲護衛隊群」集結地点にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊の中核たる空母機動部隊。


 その中心と成る護衛艦の航空護衛艦あかぎとしょうほう・ほうしょうらは、あかぎを中心に据え、しょうほう・ほうしょうらが左右に分かれる形で艦隊陣形を組んで居た。


 その航空護衛艦へと出向して居る空自航空隊は、F―2A支援戦闘機を先手として、真っ黒な低気圧の下を突き進んで居た。


 雨も振り付けている海の上では、波も時化で荒れて居る。



 日本政府は、紅葉からアースティア世界に関する色々な情報を聞いて居た。


 その中には、この世界の海軍の運用常識として、荒れた海では、滅多に戦をしないらしいとの事である。



 何でも、飛竜は雨や雷を本能的に嫌がるらしい。



 体格の良い竜種は気にしないらしいが、大量に戦艦と飛竜を投入するローラーナ帝国海軍を始めとする海軍や水軍らは、自然災害等で在らて居る場所へとわざわざ突っ込んで上に、無理をして戦って自滅するのを特に避ける傾向が有ると言うのだった。



そんな事情を踏まえた作戦を防衛省は考えて、気象庁の予報を巧みに利用した作戦を立て居る。



 予め龍雲海の変わり易い天候の動きを予測して、今回の作戦に対応する等は、この異世界の誰もが思い付かない作戦と言えるだろう。



 この異世界では、天候と精霊の動きは、天と自然の采配とも言うくらい天候の動きは読み辛い事なのである。


 監視衛星、防空監視レーダー、気象衛星と気象観測レーダー、何れも我が国のお家芸的な技術力の結晶である。


 ローラーナ帝国軍の目と耳に鼻が全く使えない中で、日本は、彼らの全く気付かれない方法で翻弄して見せていた。


 幾ら帝国や武の達人に魔導師でも、遥か天空の彼方とも言える宇宙空間に在る人工衛星や地平線の彼方に在る陸自監視基地には、気付きもしなし、攻撃の手すらも出せないだろう。




空自航空隊で、第一航空隊を指揮して居る森川知之一佐のF―2A隊は、あかぎから間も無く嵐を抜けると通信が入る。



 彼の視線の彼方の水平線の約3キロ先には、青々としている澄んだ空が広がり、黒い塊に見えるローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊が見えていた。



 F―2AやF―15Jに搭載されているミサイルを持ってすれば、かなり遠くから狙い撃ちが可能なのだが、今回は帝国艦隊の戦艦の数が大過ぎる為に、奇襲による混乱を狙った連続攻撃が主眼である。



 それなので、ギリギリまで自衛隊側の攻撃を知られる訳には、行かないのであった。



「目標地点に到達したっ!!各機に告ぐっ!!攻撃開始っ!!」



「了解っ!!攻撃開始っ!!」



「第一航空隊・森川よりあかぎへっ!!我ら第一航空隊は、敵本隊艦隊の奇襲に成功せりっ!!繰り返す、我ら航空隊は奇襲に成功せりっ!!」



「「「FOX1っ!!!」」」



そのシーンとは正にっ!!トラトラと無電を打つと言うべきシーンであった。


 森川一佐は、敵艦隊へと突入すると同時に、あかぎに通信を入れる。


 突入の報せを終えると、彼は部下と共に一斉に第一外征艦隊へと対艦ミサイルを撃ち放つ。



 初弾攻撃は、F―2Aの対艦ミサイル30発による攻撃である。



 「ゴオオオオオオオオオォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーッ!!」と言う轟音を響かせて飛び立つミサイルは、ロックオンされて居る目標へと飛んで行くのであった。




「くっ、空挺艦竜母ドレイク被弾っ!!大破っ!!」



「空挺艦竜母ルフト轟沈っ!!!」



「空挺艦竜母ビシヨッドも同じくっ!!」



「ああっ!!空挺艦竜母ショッドも・・・・・」



「こっ!!ここっ!!今度はっ!!空挺艦竜母ウェルポンがああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」



「何だっ!!何が起こって居るっ?!」



「ダダダダダダダダダッ!!!」と言う発砲音を響かせて居る魔導機関砲で、飛来する敵航空隊に応戦する帝国だが、その中をあっさりとF―2Aは駆け抜けて行く。



ドッカーーーーンッ!!



F―2Aがミサイルを放った攻撃が炸裂すると、これまで無敵を誇って居たローラーナ帝国軍が体験した事も無い爆発が周囲に響き渡る。



 更にミサイルを撃ち尽くしたF―2Aは、第一外征艦隊へと再突撃し、20ミリバルカン砲を撃ち、無誘導爆弾を次々と落として行った。



 又も奇襲を受けた第一外征艦隊は、無残にも墜落か沈没をするしか無かったのであった。



「何とっ!?」



ギワザンは、乗船して居る艦隊旗艦である空挺戦艦ザージェント・ギワザンの艦橋の目の前を我が物で、擦れ違う青い物体を彼はその目で見て居た。



 真っ青な機体に、赤丸が描き塗られて居る飛行物体である。





「まさか・・・・・あれが噂に聞く、ニホン軍の鉄竜か?」




次々と轟沈と大破の報告が、艦橋内へと駆けて入って来る伝令官等に由って、己が耳に耳ダコが出来るのか?と言わんばかりに寄せられて来る。



 青い鉄竜は、散々第一外征艦隊本隊に所属する空挺艦竜母を屠り叩いて行くと、反転しながら東の空へと立ち去って行った。




「こちら森川。敵の海上空母、空中空母70撃沈。一時補給の為、帰投する。」




「了解。引継ぎは、第二波航空隊が行う。」




森川一佐が率いるF―2A隊は、通信を終えると、燃料弾薬等の補給の為に、母艦たる航空護衛艦へと帰投して行ったのである。


 この戦いの引継ぎは、辻村耕次一佐が率いるF―15J隊である。



 他にも沖縄の空自第9航空団、那覇基地所属の101小隊、202小隊、303小隊、404小隊、505小隊、606小隊などF‐15J戦闘機30機。


 その後に続くのは、F‐2戦闘機隊20機が出撃を開始した所だった。


 この隊には、空中給油機を3機を付けて向って居る。



 防衛省は徹底的に敵空母を叩いて、それらを母艦として居る飛竜航空隊を空母に帰えれない様にすると言う、実に意地の悪い事をして居た。



まさか、絶対無敵の空母を真っ先に潰す等と言う、この世界でも非常識な戦術を取って居るのだ。


 まぁ、この戦術は、先の大戦での失敗の経験と体験談から来る戦術なのだが、敵に取っては、青天の霹靂と言うべき事態だっただろう。



 ギワザンを始めとする帝国将校等は・・・・・今、神出鬼没の自衛隊からの攻撃のせいで、大混乱の中に陥るのであった。

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