53話 第二次龍雲海沖海戦 10


アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前8時40分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・日本国・東シナ海近海域及びローラーナ帝国領・シャッポロ州・龍雲海沖近海域付近・ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊・第4陣・総旗艦・魔導空挺戦艦ザージェント・ギワザン・ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊集結地点にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  



日本国政府が、交援省が主導する特殊国外地派遣遠征有事法、略称名は特征要請事案法。


 通称名は特征法の名の下にした委託された国防実力行使に措いて命じられた海上自衛隊は、東シナ海近海域で警戒監視中であった航空護衛艦あかぎを中心とした護衛艦隊に属する航空護衛艦の各艦からは、空自航空隊が発艦し始めた頃の事である。



 ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊を中心としたドラグナー皇国軍・レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺艦隊と連合をした帝国艦隊は、彼らがまだ知らないローラーナ帝国と日本の国境線である龍雲海と東シナ海の中間地点に来ていた。


 陸海空から成る魔導艦艇を合わせて2000隻、総軍勢12万人を乗り込ませて居る大艦隊を率いて日本国領海を突き進み、日本国本土の位置を探るべく威力偵察を主目的とする大侵攻作戦を開始する。


 第一外征艦隊の本隊艦隊では、総旗艦・魔導空挺戦艦ザージェント・ギワザンの艦橋内に在る第一外征艦隊・総司令官席に居座るギワザンが順調な航海をして居た。


 彼は常に飛竜5騎による偵察哨戒を欠かさず居た。



 そのお陰で日本艦隊や警備船艦隊に、かち合う事も無い事に、有る意味、拍子抜けをして居た。



「ニホンとはこんな物か?この龍雲海で、彼の国と戦い。敗北した連中は、何を恐れて居たのだ?」



ギワザンは龍雲海沖海戦でアディーレ・グレッサ辺境侯爵艦隊司令官(少将)が率いる辺境地方艦隊たるユローラーナ帝国海軍東洋方面艦隊・第120艦隊が日本海軍艦隊と戦って破れたのは、


 ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方の果ての海域に在る未開地域と言う地に、日本国と言う見聞きをした事が無く。


 ローラーナ帝国が、まだ戦った事が無かった日本海軍内には、このアースティア世界先進諸国が有する様な大艦隊が存在するのだろうと想像して居た。



 しかも警備網も厳重で、日本国本土に辿り着くには、相当数の軍艦や警備船から成る警戒監視中の警備体制が幾つも在り、艦艇保有数が在るのだろうと、勝手な想像すらして居た。


 何せ、彼を含めて現地密偵以外の人間は、日本の軍艦や警備船を見て居ないのであるからだ。


 写真が無い世界では写生で、その姿を本国に知らせるのが常なのだが、絵心を体得して居る密偵を教育するのも大変なもので、潜入先では、中々そう言った人物が居ないのも現場の現状だった。



 だからローラーナ帝国の者らは、日本に付いての時間は、伝言と書類でしか知らないのだった。



「ギワザン閣下。」



「何用か?」



伝令官がギワザンに最新の報告を伝えにきた。



 遠征軍での報告は、細かく逐一知らせに来る事に成って居る。



「はっ!!周辺偵察に出ていた飛竜隊からの報告ですっ!!北東の方角に雨雲が確認されました。」



「何?時化て船が荒れるのは面倒だな。」


「何も危険性が高い嵐の中へと突っ込む必要もあるまい。有能な指揮官ならば、嵐を避けるのが定石だっ!!」


「二ホン海軍の司令官でも同じであろう。」


「このまま東進を続けよ。嵐を避けると全艦隊に伝えよ。」



「はっ!!」



「全く、詰まらん些事だ。」



ギワザンは、面倒な嵐に悪態を付いていた。


 この世界では、嵐で船が転覆などの事故を成るべく避けたがるのが常だった。



 それに飼いならした飛竜は、雨を嫌がる個体が多く居るのである。


 下位竜種の一つである飛竜と呼ばれて居るワイバーンは小柄なので、他の種類の竜と違って、本能的に雷雨を避ける性格をして居た。



 特に海軍の海上戦では飛竜が使い辛い雷雨の中は、帝国軍に取って嫌な気象条件の戦場だった。


 この軍事常識の意識での違いが、彼らに不幸な災いを齎す事に成ろうとは、運命とは何んと残酷な事なのであろうか?



「報告します。」



 今度は別の伝令官からの報告である。



「北東方向に、群島在りです。」



その報告にギワザンは興味を示した。


 待ちに待った日本国の領土ではないかと思ったからだ。



「ほう、それが日本領か?」



「いえ、偵察ワイバーン部隊の報告では、如何やら無人島の様です。」


「空中から見た限りでは、その島の全てには、人は一人も居りませんでした。」



「分かった。下がれ。ご苦労だった。」



「まぁ、良い。事が片付いたら帝国領として報告をし、開拓すれば良いだけだ。」



又もや期待外れだとして、彼はガッカリしたと言う感じに成った。



 先にも述べたが、この時点で ローラーナ軍の軍事常識に措ける事が原因で、彼は幾つかの重大なミスを犯してしてしまって居た。


 一つ目は、日本は既に帝国の動きを丸見えだったと言う事。


 二つ目は、自分達がして来た戦争の常識に囚われて居たと言う事。


 三つ目は、より一層、しっかりとした偵察・・・・・特に荒れた天気の雲の下を偵察しなかった事。


 詰まりは、索敵を怠ったと言う事である。


かつての地球では第二次世界大戦でのミッドウェイの戦いで、日本帝国海軍は、嵐の下を索敵を怠った為に、アメリカ海軍に奇襲を掛けれらた前例が有る。



 しかも、日本海軍は二度もアメリカ海軍の艦隊がいる雲の上から偵察をしたが、嵐の下の索敵と言う重要な事を無視して、常識に囚われた作戦行動を取った為に敗北。


 これが大日本帝国の連戦敗北のスタートだったと言う事は、後世の歴史家には、良く知られて居る出来事なのである。




両者が衝突まで、後10分前くらいである。



アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前8時50分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・日本国・東シナ海近海域及びローラーナ帝国領・シャッポロ州・龍雲海沖近海域付近・ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊との連合艦隊・第一陣先鋒艦隊・ドラグナー皇国軍・レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺艦隊・侵攻中海域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  




 時刻日時・アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前8時50分頃のこと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



一方のヴァロニカが率いるレッドブラッドアイゼン聖龍騎士団艦隊は、ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊の本隊から先行10キロ先海域を飛行航行して居た。



 その後続には、第二陣であるネーレイ・マモー・ハンズ率いる第一外征艦隊の第一艦隊が後に続いてヴァロニカ達の手柄を掻っ攫おうと虎視眈々と狙って居た。



 既にヴァロニカ達の聖龍騎士達は聖竜に騎乗して、大空へと発艦し、飛び立っていた。



「ヴァロニカさま、全騎士隊が出揃いました。しかし、まだ早いのでは?」




「・・・・・・いやっ!何か可笑しい・・・・・そんな気がするんだ・・・・・・・」



「それは単なる取り越し苦労では?」と副官であるユウリーン・キルカが、答えた時だった。



「来たっ!!」とヴァロニカ。



「???」



迫り来る何かに反応したのは、ヴァロニカが最初だった。



 流石はアースティア随一の武の達人の一人と数えられる人物と言えるだろう。



 東の水平線の彼方から飛んで来る150発ものミサイルが、彼女達へと向って来ていた。



「あっ!?あれはっ!?」



「ユウリーンっ!!!何をして居るっ!!!ニホン軍が仕掛けて来たぞっ!!!」



「はっ?!えっ!?げっっ!げっ迎撃よーいっ!!!」



 チュドーンッ!!ドッカ―ンッ!!と言う爆発音が、その海域を飛行して居たレッドブラッドアイゼン聖龍騎士団艦隊全体に響き渡る。



「駆逐艦ガルダナス被弾っ!!!」



「ジレル隊っ!!ドイレン隊っ!!グレル隊っ!!が撃ち落とされましたっ!!」



「巡洋艦ワルキュロスも中破ですっ!!」



「くそっ!!早すぎるっ!!」



ユウリーンが、迎撃を叫ぼうとした時には、見慣れない飛翔する巨大な鉄の槍群は、レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団艦隊に所属する艦艇と騎士団員らを被弾させて、負傷者を多数出してしまう。



 中らなかった残りの槍も、後方の艦隊目掛けて突き進んで行くのをヴァロニカ達は見送ってしまって居た。



 時に西暦2030年6月3日。


 異世界共通暦・アースティア暦1000年・6月3日・午前8時50分頃のこと。


 後世の歴史書には、第二次龍雲海沖海戦が始まった瞬間だったと記されて居る。


 


 これが日本国とローラーナ帝国との本格的な戦争が始まった瞬間であった。



「姫殿下ーっ!!第1中隊と第1空挺艦隊は、まだ無事ですっ!!ですが・・・・・・・」



「・・・・・第二と第三がやられたか?くっ!」



 ユウリーンの戦況報告に、ヴァロニカは苦痛の顔して居た。


 彼女達の判断ミスでは無いが、敵にしてやれたらしい事は、ハッキリとして居る。



「直ぐにっ!!」



「回避行動は、取らせています姫殿下っ!!アイリーとコレットも、それ位は分かって居るでしょう。」



「総員っ!!直ぐに撤退行動をしつつ立て直すぞっ!!!初手から敵にしてやられたっ!!」


「この戦の主導権は、完全に二ホン国とやらの手のひらだったっ!!」


「回避行動っ!!展開を急げっ!!」


「はっ!!!」



すると其処へ更に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「飛行鉄槍の第二波が来ますっ!!!」



今度は別の騎士団の誰かが、ミサイルの来襲を叫び、報告を上げて来て居た。



「かっ、回避いいいいぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーっ!!!」と各隊が叫んだ時だった。




 レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団艦隊を狙って居たと思わしきミサイル第二波は、何故かその場を通り過ぎて行く。



「通り過ぎた?」



ヴァロニカは直ぐに攻撃の意図を見抜いて見せた。



「そうかっ!!紅葉の仕業か?」



「コヨミ皇国・第一皇女殿下が・・・・ですか?」


「しかし、何故です?裏切り者も同然の我らに対して・・・・・・・・」



ユウリーンは、敵対国であるコヨミ皇国の紅葉の手心が分からなかった。


 其処へ、ミサイルの第三波が向って来ていた



「私達への温情らしい。それに未だに彼女は、このわたしが怖いらしいな。」



「その証拠にな・・・・・・・はっ!」



 聖龍の騎首の方向をミサイルに向けた。



「さぁっ!!行こうかっ!!レッドアイゼンっ!!」



「グルルルッ!!」



 レッドアイゼンは、主たるヴァロニカが何をしようとしているが分かる様である。



「我が義妹に、タダで情けを掛けられたとを有っては、敵にも味方にも何を言われるか分かった物ではないっ!!」



「ドラグフュージョンっ!!!」



『説明しようっ!!ドラグフュージョンとは聖龍を龍鎧器ドラグアーマーとして合身する時に唱える発動キー呪文の事であるっ!!』


『聖龍騎士達は、これを唱えると彼のコンバットスーツを装着しているスペースポリスマンと同等の速度で、その合身を完了するのであるっ!!』



ヴァロニカは、真紅の鎧を身に着けると、魔法剣シルヴァロスを鞘から抜き出すと魔法力を剣に集中させ始めた。



 その間にもミサイルは10発が彼女に側を通り過ぎ様として、向って来ていた。



「ふっ!やらせるかっ!!滅殺っ!!!ヴァロスっ、カリブレイカああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!」




 赤い閃光が一気に一直線に伸びて行く。


 すると、激しい爆発音を幾つも響かせて、高速で飛行するミサイルらは、一瞬で爆砕されたのであった。



アースティア暦 1000年・西暦2030年・ 6月3日・午前8時53分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・日本列島・日本国・福岡市東側郊外地域・神部町・異世界国家交流総合支援省・交援省防衛監督指令室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 





 それを交援省の地下に在る防衛監督指令室で、自動制御のドローンのカメラを通して、モニター越しに見て居た者達はと言うと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「うっそおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!?」



「いっ、いいっ!!いちっ!!一瞬でミサイルを10発も・・・・・・・・・」



竜史は有りがちなセリフを言いつつ、アニメなどで見慣れたシーンとして捕らえて居たが、交援省のメンバーでこの手の手合いの免疫が付いて居ない者らは、開いた口が塞がらない状態と成って居たのだった。



「我に滅殺できぬ物無し・・・・・」とミサイルが飛んで来た正面方向を睨み付けた。



 それは斬艦刀を有する武神装甲なロボットをモーショントーレースなシステムで操る武人パイロットと全く同じ目をして居た。



「くくくっ、ふはははっ、紅葉さんの言ってた通りだ。正に武神ですね。丸で斬艦刀を振り回す武神装甲ロボットのパイロットの様だっ!!」



「いやはや、只人があの様な力が有るとは・・・・・・・・」



 外務課長の藤原も驚嘆するばかりであった。



交援省の別室では、紅葉が外部のアドバイザーとして戦闘の様子を見ることが許可されており、戦闘の様子をモニターで見て居た。



「流石ですヴァロニカ姉さまっ!!日本が誇る兵器であり、目にも留まらぬ速さで飛行するミサイルを一撃で仕留め、爆砕するとは・・・・・・・・・・・・」



 紅葉は近くの内線電話に手を掛けた。


 何か有れば直通で竜史繋がる様に成って居る。


 彼女も成れた手付きで内線番号を押して行く。



 紅葉も日本を訪れてから結構な月日が経って居る。


 ある程度なら日本人と変わらない生活も出きる様に成って来ても居た。


 好奇心が旺盛で、新し物好きである彼女は、既に何人かの近衛隊員らと一緒に成って、スマホを購入して持って居るし、将来は車などの免許が欲しいとも言って居たりして居た。



「もしもし、竜史。もう、こうなったらヴァロニカ姉さまに対しては手加減しないでっ!!」



「えっ?でも・・・・・・」




「あの人は、今度は本気で、一当てしに来るわよ。祖国と自分達の為にね。」



「ええっ!当初の目論見じゃ、撤退をする筈だったのにっ!?」



「どうやら手心まで分かって居るから、あの人は本気て殺る(やる)らしいわよ。」


「最初の脅し程度じゃ、甘かったわね。御免なさい。」



「同意したは日本政府も僕達も同じです。」


「何れは解放するドラグナー皇国に温情を与え、後の国の復興する人材を生かす事は、今後の為にと・・・・・・ですが、少し甘かったらしい。」と目論見が外れた事に悲痛な表情を浮かべる竜史。


「やはり武人の考える事は、基本が脳筋頭なので、我々には分かり辛いですね。」


「所で本気で戦うのは、あのヴァロニカさんだけで良いんですね?」



「ええ、下手に手加減すると火傷じゃ済まないわよ。」


「本気の義姉さまと戦うと言う事は、生半可な覚悟で居ると、こっちが重症の怪我を負わせられる事に成り兼ねないから・・・・・・・」



「分かりました貴重なご意見です。有り難う御座いました。」



「伊丹さんっ!予定変更ですっ!」



「海自艦隊や他の自衛隊に、ヴァロニカ皇女殿下が向って来たら、全力迎撃ですっ!!!!」



「・・・・・分かりました。」




通信装置の受話器を取った伊丹は、この作戦に参加する全自衛隊に対して、ヴァロニカを全力で迎え撃てと、伝えたのであった。

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