39話 自衛隊西方への大遠征。発動!輸送艦隊護衛大作戦・・・・・・なのです! 9



 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月1日・午前9時15分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・アルガス公国・アーダマ州・アルガス公国首都・公都・リガ・ミリィー・ディーナ市・ラーデイァシュ城・公王執務室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



早朝、アルガス公国の公王の執務室へと呼ばれた二人の若き王子が居た。



 1人はカミュ・ファーミラ。


 アルガス公国の第一王子でイケメンで物静かで内政面に優れて居る。



だが、優しい性格が故に不正に対しての叱責に関しては、激しい感情爆発させる一面も有ると言う。


 決して、キレ易い訳では無いが、感情が激しい一面を見せるのは、その真面目な性格から来ていた。


 もう一人は、ジュデオ・ファーミラ。アルガス公国の第二王子で、熱血感と猪突猛進的な腕っ節が立っていて、戦に長けていた。


 その二人が、父であるブレックス・ファーミラ公王に呼ばれて、朝から執務室に訪れていた。



 二人は、ブレックスを前にして先ずは挨拶をした。



「父上、お早う御座います。」



「よう、親父殿。」



真面目なカミュに対して、態度が全然、王族らしくないジュデオ。


 乳母の手によって自由にのびのびと育てられたのが災いして居る様だ。


 そんなジュデオは、これでも軍の兵士や各地の市街の警備隊等からは、かなりの人気を得ていた。本人も政治に向いていないと納得して居る。




「来たか・・・・・」



そんな事は、日常的な風景なので、父親であるブレックスや城内の者も、特に気にしていない。



 此処は武勇的な気風が残る騎士の王国。未だ騎士が国の根幹たる戦力で、アルガス騎士団と言えば、このユーラシナ大陸全土に名の知れた軍勢でも在るのだ。


 かと言って文官の立場が決して悪い訳ではない。この国の武人が有る意味「脳筋」「戦バカ」な人達が多い様で、600年間もの間、帝国と戦を続けて居るせいも有る様だった。


 アルガス公国内の主な産業は、各種鉱山から収入と農業・水運業での貿易によって栄えていた。



 工業と言えば、鎧に剣等の武具を作れる程度。


 魔道戦艦はオローシャ帝国で購入し、魔導機兵はダバード・ロード王国から購入して居る。



 その何方の兵器も、少数の輸入に留まって居て、この国は機械化が立ち遅れている古い国でも有った。


 航空戦力としての竜騎士航空部隊が扱うワイバーンも、国内で700騎程度でしかない。



 アースティア大戦末期の戦史に措いて、アルガス公国は日本国で開かれた東京サミットに参加すると言う事は、軍事改革の分水路に立って居ると言えた。


 それに加えて、稀代の騎士団長と呼ばれた各軍団長等は、日本国の自衛隊と共に戦ったブラキュリオス湖畔紛争で、その進んだ軍備と戦術に感銘を受けた事が切っ掛けと成り、近代軍への道を歩み始めたと、後に書かれる歴史書には記されて居る。



 その切っ掛けと成る話が、これから始まろうとして居た。



「今日どの様な事でお呼びでしょうか?」



「ふむ、明後日、ニホン国の海軍艦隊が、我が国のグラダマ市の港に入港する予定だ。」



「ニホン国?」



「そう言えば最近、港で兵士や警備隊と城内の大臣の奴らが頻りに、その名を口にして居る噂話を聞くな。」



「ああ、そう言えばお前達には、まだ詳しくは言ってなかったな。」


「未確認の情報故に、正確な情報が入ったのは先月の中旬だった。お前達二人は、それぞれ国内の仕事を回って居るお陰で、城内に居なかったな。」


「二ホン国は、今かに2ヶ月前に東方の海に出現した異界からの転移して来た島国だ。」



「転移国家ですか?確か古の昔に存在しと言う話を歴史の授業で聞きた覚えが有ります。」


「へっ?そうだっけ?」


「ジュデオ、お前と言う奴は・・・・・・・・」


 脳筋で単純な性格のジュデオはちょっとだけ勉学を疎かにして居た。


 その事を改めて呆れるブレックス公王。


 反対に兄のカミュは、キチンと勉学に勤しんで居るが、身体的に弟に劣って居てた。



 戦時なら弟が王位に向いて居るが、今は戦乱の世とは言え、政務の類で戦費を捻出せねば、国が立ち行かなく成ってしまうだろう。


 そんな凸凹の兄弟の二人に期待を寄せる次世代の国内の在り方を問うと言う意見の動きとして、王位を兄のカミュにし、頑丈で武勇に長けている弟のジュデオを何らかの地位に就けて、前線での指揮をと言う声が国内意見として高まって居た。


「ジュデオ、歴史の授業を聞いて居なかったのか?」


「その昔、この世界には、数多の国が異界より現れ、この世界に元々有った国々と争ったり、交流したりしながら今に至って居るとの話だ。」


「それが如何かしたのか?」


「分からないのか?父上は、二ホン国なる国の出現は、この世界に新たな動きと嵐を招き、災いなのか?福音なのか?を図りかねて居ると仰りたいのだぞ。」



「そうだ。この件は扱いを慎重にせねば成らない案件なのだ。」

 


「でもなぁ・・・・転移国家云々は兎も角、海軍艦隊が来るくらいで大げさだな。」


「それ位の事が、如何かしたのかよ?」


「別に帝国以外の中立国や友好国に同盟国なんかの海軍の艦隊が、素通りしたり、補給に立ち寄るのは珍しい話じゃねぇだろう。なぁ、兄貴。」




「察するに、何か特別な艦隊なのですか父上?」




「口で説明するよりも、これを見た方が早い。」



差し出されたのは、またまた、例の分厚い日本紹介冊子、通称「カタログ」であった。



「これは・・・・・・」



「スゲェ・・・・・・」



二人は、写真付の絵図の解説の本を手に取り開き、読み進めて行くと、開いた口が塞がらない内容であった。



「これがニホンなる異界から転移して来たと言う国なのですか、父上?」



「ああ、そうだ。明後日わしはニホン艦隊の将校に、お忍びで挨拶に行ってくる。二人にはその間、留守を暫く頼みたい。」




「親父、でもよぉ、南の方がキナ臭いって聞くぜ。あっ!?まさか・・・・・・・それでなのか?」




「その手の事柄に関しては、相変わらず勘が良いな。」



「それだけは余計だっーのっ!帝国がレジェンダリア諸島周辺に軍を展開配備し始めてるってもっぱら話だ。」



「今はクリスに探らせている最中だ。奴なら最悪の場合、敵を引き付けられる。」



「あの物は、妹とアリスと違って、例の妙な天賦の才の力のお陰で、とことん目立つ。しかも相手から見えなくても彼女と彼女に関わりの有るモノに敵愾心を持った者達を自然と引き寄せられる摩訶不思議な星の元に生まれた者だ。」


「それが修練の末に身に着けた能力では無く。体質的な性質なのが厄介だが、大人に成るに連れて、釣られて来る者のレベルが段々と上がって来て居る。」



「そう、姉妹の体質が発覚したのは、あの時であったな。」



 ブレックスは遠い目をして語り出した。



「最初は只の不運な娘かと思って居ったが、試しに頑丈な檻の中に放り込んで、草原に放置すると、不思議な事に猛獣がぞろぞろと現れた。」



この王様、何気にお茶目な酷い事をしているし、クリスとはクリスティーナ・マケッンジーと言う女の子で、アルガス公国軍の少佐で、ヘスティア遊撃騎士団の団長にして魔法騎士をして居る18歳の女騎士。



一際目立つ体質で・・・・・・・誤解と分かり辛いと言う人達の為に敢えて言おう、これは特別な能力では無いのだ。


 クリスには双子の妹が居る。アリスティア・レックスと言い、今は名前が指す通りにレックス家に養子に出されている。


 その理由として、母方の妹には、子宝に恵まれず子供がいないと言うので、哀れに思った姉夫婦は、妹夫婦の家に6歳で養子に出されて居た。



そのアリスは生れながらにして、影がとても薄く、生まれた先の病院から母親ともに退院する時に、何故か置き去りにされると言う珍事が起きた。


 その時は、両親達のうっかり忘れたのだろうと思った二人は、暫くは双子姉妹の特異な体質に気がつく事が無かった。


 気が付いたのは、定期的に行われるシベリナ諸国会議が、コヨミ皇国の皇都の星都市で行われた際に、クリス達の両親も護衛として星都市へと赴いた時の事であった。



 紅葉が物珍しい銀髪と金髪の姉妹を見つけた時であった。



その横には、まだまだ、恥かしがりやで前髪をたらして素顔を隠していたリナ。


 紅葉がアセリナ王国の在コヨミ皇国大使館の端っこにある巨木の枝で居眠りをしていたハンナを丸でカブトムシかクワガタ獲りをする感覚で、木に蹴りを入れて落とす言う暴挙をして捕まえた玩具・・・・では無くお友達にしたアセリア族の頭の可笑しな子、ハンナ。


 そのハンナをそのまま連れ回し、行きたくない嫌だと泣き叫ぶハンナを彼女が能力を使って、ハンナが姉に対しての隠し事を暴露すると言う殺し文句で脅して、そのままお友達にした。(俗にお供達とも言う。紅葉曰く、面白そうな子だったからと後に語って居た。)


 貴族商人の令嬢であり、街中でハンナを庇った形で出会ったシェスカーナ・フローレイティアこと、通称シェスカ。


 出会った瞬間に紅葉敵だと認識した紅葉と同属嫌悪の塊と目した相手たるアルビィーヤ・サークラ・レアモンこと、通称アルビィ。


 この頃、姉妹たちは一緒に出会い、供に遊んで居た。


 勿論、最恐の姉達もで、その妹たるリナとハンナそれにアルビィが、紅葉達と遊ぶようなると、その関係の友達も妹同然と見なしてオモチャの人形の様に扱われながら供に可愛がられて居た。



ある日、隠れっこ(日本の隠れんぼと同じ)をしている時の話である。



「じゃ、誰がオーガ役やるの?」と紅葉が言う



 この場合のオーガ役とは、日本で言う所の鬼役である。逃げたり隠れたりするの役の事は、何故か冒険者とこの世界の子供達の間で呼ばれていた。


 これをもし、日本人のオタクが聞いたら、ゴブリンと戦う冒険者達が登場する某作品を思い起こし、この世界の子供達は、何と残酷な設定をするのだろうと思うかも知れない。



「く、くれ、紅葉っ!貴女じゃ、力のせいで全部みんなの居場所が分かるからだめだってぇ~~~~っ!!」



外で遊ぶのは嫌いじゃないが、ちょっとだけ口が悪く、人見知りが激しかったリナ。


 紅葉のお陰で、大分、友達が増えて行って居た。



「そうだぞーっ!何時もの卑怯な手口は皆の迷惑であるぞ皇女紅葉っ!」



其処に頭の可笑しな天使が、空気を読まずに(読めない)発言して居た。



「キッ。」



 紅葉は普段から友達に特別扱いしないでと言って居る。


 なので空気を読まない頭の可笑しな天使にキッと睨んだ。



「ひいいぃっ!!ガタガタブルブル!!ガタガタブルブル。!!」




「ハンナ~っ!!」



「はっ!はいっ!!!」



ハンナは恐怖の余り声を強張らせる。


 ハンナは、その可笑しな性格と言動から強気な雰囲気と口調で話して居るが、実はとっても良い子で・・・・と言うか単に虚勢を張って居るだで、とても気が弱かった。



「貴女はとっても良い子よね。」



「そっ、そうでしゅっ!」



 あっ、噛んだ。



「だったら城の外では、皇女は止めてってっ!何時も言ってるでしょう?」



「は、はははっ!はいっ!紅葉しゃんっ!!!」



ハンナが普段から言いなれている紅葉と彼女を呼んでいた筈なのに、今は涙目で怖がっている上に舌を噛んでしまって居た。



「まぁ、良いか。」



釈然としないが、取り敢えず紅葉は引き下がった。



これ以上はハンナのトラウマを増やすだけで、一切得など無いからだ。



「私は紅葉と勝負さえできれば良いんだが。」



アルビィは何か付け紅葉と張り合っていた。



 二人は会って直ぐに仲良くなったと大人達は思って居たが、実は二人は互いに、こう思っていた。


 「敵だっ!!!」と、絶対に反りが合わないと考えていた。



 所謂、喧嘩するほど仲が良い類で、悪友と言う関係を持った奴だった。



「どうせ勝てないし。」



「何だとう?」



「何おう、ぐぐぐぐぐっ。」



「やる気?うぬぬぬつ。」



 何だかんだで喧嘩して居るのか、じゃれているのか分からない二人だった。



「二人ともやめなさいっ!ほらっ、アルビィってばっ!」



「そうだよ、紅ちゃんもぉぉっ。」



「「だってコイツがっ!!!」」



居るよねーっ!!こう言う時だけ気が有ってハモる人って、そして、止めに入る双子のクリスとアリス、こう言う時に喧嘩で抑える役目を何時しか双子の役割りと成って居たのだった。



 リナはオロオロとしていて、ハンナは前に言われた引っ込んでいろと言う紅葉とアルビィの怒鳴り声を思い出して、忍者カエル宇宙人みたいな感じに陥り、トラウマスイッチがオンに成ってガタガタブルブルと震えていた。



「こらっ!」



「あいたっ!もうっ!シェスカっ!」



「ううっ、くう~っ!」



 紅葉とアルビィは軽くシェスカに叩かれた。



「早くしないと一緒に遊べる時間が無くなるぞっ!さっさとオーガを決めないと。」



「じゃさ、紅葉は最後にオーガをやるって事で、制限時間を付けて逃げ切ってたら、冒険者チームの勝ちにすれば、良いじゃないか?」


「その逆は紅葉が最後まで残ってたら、時間制限付けるって事でどう?」



「良いわよ。」



紅葉は承諾した。


 こうでもしないと大抵の遊びが、紅葉のチートな力のせいで、遊べないのである。


 シェスカは、親友達のメンバーの中でも、姉達を除いた中で最年長であり、纏め役でもある。



「最初はわたしがオーガやるから隠れと良いわよ。」




「「「「「「おおおぉぉぉーーーーっ。」」」」」」



メンバーが一斉に隠れるとシェスカが100を数えた。


 この世界で子供がやる遊びなど日本の子供達がやる遊びとそう変わりない。


 ただ、この世界の子供達との違いは、ゲーム機やカードゲーム等の玩具の類が無いだけで、この世界では、主に身体を使った遊びが子供達の主流であった。



「ひゃーくっと、さぁーてっと。何所に行ったんだ?」



 開始から4分、これが双子の運命を決めた瞬間だった。



「あーっ!クリスみいぃぃ-ー付けたっとっ!!」



「ええーっ!!何でよっ!!」



「あれええぇぇーっ?どうしてだろう?」




シェスカは何故か直感でクリスと呼んでしまって居た。



 それからハンナ、リナと見つけていった。


 あの悪友二人はと言うと・・・・・・・・・・・・・・・・




「何でここに居るのよ?」




「そっちこそっ!!」




仲良く同じ茂みに隠れて居るのに気付かず、同時に見つかって居た。



 そして、シェスカに、同時に見つかる直前に気が付いて喧嘩を始めてしまって居たりして居たのだった。


 肝心の紅葉の巫女の力はと言うと、彼女自身が気が散って居たらしく、発動条件を満たして居なかった為に、見つかる羽目となった。



 そして、アリスはと言うと・・・・・・・・・・・・・・




「よしっ、これで全員ね。」




シェスカが、その場を見渡して全員を見付けたと確認をして居た。



 

「所で皆よっ!誰か忘れてないかっ?」とハンナが珍しくまともな事を発言をして居た。



「そんなの居たっけ?」とアルビィ。



「ええっと、居たかな?」とリナ。



「それよりも時間が勿体無いわ。」と紅葉。



「次のオーガは最初に見つかった奴な。」




クリスが次のオーガをする事に成った。



 一方その頃、人生の岐路をこんなしょうもない事で、自分の体質が姉共々発覚する事に成ろうとは・・・・・・・・・・



「う~ん、まだ来ないな?」



アリスが発見されたのは、夜に成って親達や各国の護衛部隊の捜索班が組まれて1時間が経ってからである。


 アリスは、うえ~ん、うえ~んと泣いて居たらしい。


 紅葉達は、それぞれの両親らに怒られたが、アリスの事は最後まで忘れて分からず、全く気付かなかったと言い。


 翌日にみんなで集まってどうしてなのかを検証した。


 その結果、毎回、隠れっこなど遊びをした場合、何故か高確率でクリスが最初に見つかり、アリスが見つかり難いと言う事が分かったのである。



それを親達に報告すると、双子姉妹の母国の公王であるブレックスは試しに双子に対して実験を試みた。


 その結果、クリスは腹を空かした肉食の獣が集まったり、集団で逃げ回らせると必ず付け狙われる事が発覚した。



 一方の妹のアリスは全く気付かれないと言う事が判明したのである。



今ままで二人の体質に気付かなかったのは体質の力が弱かったからたと、体質を検証した魔導師や学者など研究者は言って居た。


 二人は大きく成長するに連れて、その体質の力が強く発現するとも警告をして居た。


 この事実を知った多くの大人達は、物珍しい体質だなぁ~としか思って居なかったのである。












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