ライラがともっちと買い出しに行く話

@rairahura

第1話

「ライラ ちょっといいかい?」

今はいたずらを考えてるから忙しいって断ろうとした ら

「いたずらを考えてるなら暇だよね 今日は買い出しを頼みたいんだ」

「買い出しぃ?」

何を隠そうあたしは今まで「買い物」をしたことがない

貨幣を渡して物を手に入れたことがないってわけじゃない ただいまいちものの質と値段のつり合いがわかんねーから今までは持ってる金全部渡して必要な分だけとってもらってた

「今日はみんな手が空いてなくてね 今回は急ぎじゃないんだけどいずれ同じようなことがあったときのためにライラにも買い物を頼めるようになっておきたいんだ」

この金全部店のやつに渡して来たらいいわけだ

「あ お金を適当に渡して来たらだめだよ?商店の中でできるだけ安いやつを選んでくるんだ」

「そんなこと言われてもあたし値段とかわかんねー」

「さすがに一人で行かせたりはしないよ,,,そうだな ともちなら手伝ってくれるだろうし彼女に監督役をしてもらうように頼んでおくから頑張ってきてね?」


敬愛する()マスター様のご命令とあっちゃ断ることはできないから仕方なく買い出しに初挑戦することにした 買うものは「シャインアップル」の良くて安いやつを「10個」

頑張るしかねーから出発する 待ち合わせ場所にいたともっちはとてつもなく不服そうな顔をしてたけど


マーケットは今日も店が大量にひしめいてて人もたくさんいてやっぱり楽しい

ついついあっちこっち目が移ってそっちに行きそうになるけどその度にともちに引っ張られる

「あまり、うろちょろするな ただでさえ気乗りしていないんだ。こういう日はさっさと買って帰るに限る 離れずに着いてくるんだな」

確かにちゃんと買えないと大目玉をくらいそうだから目的のものだけ探さないと

とはいえこれだけ人がいるところで人と行動したことがないあたしはすぐともちを見失っちまった 匂いも混じっちまって辿ることもできない

さて ともちを探すのが先か「シャインアップル10個」探すのが先か


とか考えてたらデブの商人に話しかけられる

「おーい!そちらのお嬢さん!なにかお探しでしょうか?」

「なんだよ?あたしは「シャインアップルを10個」買わないといけねーんだ」間違えるといけないから指示されたことを機械的に繰り返す

「そちらの商品でしたらうちでも取り扱いがございますよ!さあさあこちらへ」

まああるってんならいいだろう 安いかどうかはさっぱりだけどともっちがいれば問題ないだろう・・・ともっちは?


「ところでライラ今日は何を買う予定....」

振り返るとライラがいなくなっている 着いて来いと言ったろうに

「・・・まるでウルフパップの散歩だな...」

頭を抱えている暇はない 

リオンに任されたからな

騙される前に見つけなければ


「このお金で10個買わなきゃいけねーんだけど」

「そうはおっしゃいますがねえ,,,うちの商品は他と比べ物にならないほど良い品でございまして これだと全てお渡しいただいても5個,,,そうですねえせいぜい6個といったところでしょうか」

「んじゃあいらねーや 10個買えって言われてるから」

「お待ちください,,,ここだけの話ですがね このマーケットでは確かにその料金でシャインアップルを10個買うことはできる店はございます しかしそのような所で売っているようなものは粗悪も粗悪!ろくでもない物をお買い上げになってお客様が後悔することを見過ごすわけにはいきません」

商人がそう言うならそうなんだろうか?

「今なら勉強させていただきましてお手持ちの金額で7個にさせていただきますよ いかがでしょうか?」

ぺらぺら喋る人はあんまり経験がないから結構圧倒されて何言ってるかよくわからない でもなんかよさそうなこと言ってそうだし7個でいいのかな?10個はだめらしいって正直に言えばリオンも怒らないかも?


「やっと見つけたと思ったら,,,よくもまぁこんな胡散臭い店で...ライラこれは詐欺というものだぞ 覚えておけ」

明らかにイライラした口調でともっちが割り込んできた 詐欺なんだ?

「お連れ様でございますか?滅相もないことを こちらの商品は全て品質にあった適正な価格でございますよ!」

「ふむ、確かに...良いものは混じっているようだな

詐欺と決めつけて悪かったよ」

「そうでしょうとも!」

「だがあいにく手持ちがなくてね これとこれと ああ後それも頂こうか」

商人の顔色が悪くなっていく なんか嫌なことでもあったんだろうか

「その値段では十分な数を揃えられないからな 仕方ないから足りない分は他の店の「ろくでもない」もので都合をつけるとしよう」

「,,,あ あのお客様?も もしかして同業の方ですか?」

「いや違うが、どうかしたか?「良い物が売れる」世の常だろう?いい勉強になったな。」

ぼけーっと眺めてる間に話は終わったらしい ともっちはシャインアップルを3個だけ取って金を渡してた


帰る途中にある普通のお店で足りない分のシャインアップルをともっちの監視下で買った 聞いた値段と同じ分の金を渡すっていうのは初めてだから緊張したけどどうやら問題なく買えたみたいだ

7個のシャインアップルは変なにおいしないしさっきのやつが言ってた粗悪なものとは思えなかった


「これは粗悪な品?」

「ライラはどう思う?」

「変なにおいはしねーしそこまで悪いもんではないと思うんだけどな」

「鋭いじゃないか この辺りのシャインアップルにそこまで悪いものなど存在しない さっきのデブが言っていたことは全くの嘘だ」

「え じゃあじゃああいつが持ってたやつは?」

「ほとんどそこらで買えるものと似たようなものだ 

これくらいは見分けられるようになっておけ」

「でもお前3個買ってたろ?あれはすっげーいっぱい金渡してたけどいいのかよ」

「ほとんどと言ったろう わずかにだがあの中には確かに良い品も混じっていたさ あのアホデブが言った値段では安すぎるほどのものがな おそらくその良い品を見せて騙してから実際は普通のものを渡すという手口だったんだろう よくある方法だ 今回は私がいたから未遂で済んだが」

そんな手間かけてまで金が欲しいもんなんだな 人ってのは

まあこれから先も騙されっぱなしは癪だし良いもんくらいはわかってた方がいいんだろうな

「まあ今回は大目に見てやろう 勘か知らんが実際買ってはいないからな。そう気落ちするな 居心地が悪いし街中なんだ変な目で見られるだろう」

「良い品ってのの見分け方を知りたいんだけど」

「なぜ私が」嫌そうなめんどくさそうな顔をしてともっちが返す

「私の「監督役」なんだろ?」

ともっちは驚いような顔をした後少し笑って

「少しは言うじゃないか シャインアップルくらいなら教えてやろう 他のものはジジーにでも聞け」

「はーい」

さっき買ったばっかりのシャインアップルを出してともっち先生の講義が始まった

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