第7話 竜の来訪



 村の長としての勉強をしたり、パートナー選びに難航したりしながら毎日を過ごしていると、獣使いの里の中が慌ただしくなりました。


 普段は家の中でじっとしているんですが、里の皆に落ち着く様になだめている長のすがたを発見。

 私は長について行きながら、何が起こったのか確かめ用と思いました。


 その途中で、騒いでる人の一人に出会います。

 近所のお兄さんです。


 お兄さんは、お猿さんのパートナーと一緒に慌てながら「いててっ!」「ウキッ!」ドスン……と、屋根から転がり落ちていました。

 それを見て、私はただ事じゃないと判断しました。


 お兄さんのパートナーのお猿さんは、平衡感覚がかなり良かったはずです。

 何大抵の事では、足を踏み外したりしないはずでした。


「何があったんですか?」

「空から竜が、里の外に、何十年に一度だ? とんでもない」


 かなり慌てていたので、意味が分かりにくかったんですが、「屋根の上で空を見てたら竜が降って来るのが見えて、転げ落ちてしまった」、「竜は里の外に降り立ったようだ」、「これは珍しい事で、とんでもない事だ」、と言いたかったようです。


 近所のお兄さんは、たまに働くのをなまけて屋根でさぼっているので、罰が当たったのでしょう。

 重症じゃないようなので、パートナーのお猿さんの怪我を案じながら「あなたのうっかりしたご主人様をお願いね」と声をかけて、その場から離れました。


 私は、先に行ってしまった長も向かったはずの、里の外へ足を進めます。


 獣使いの里を覆う柵を超えて、見張りの人達に挨拶しながら向かうと、外にはそこには大勢の人が集まっていて、その人の壁の向こうに傷ついた竜が倒れているのが見えました。



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