(2)
「えっ⁉何で
突如として、ボク達を囲んでいる敵(多分)の更に向こう、丁度、この世界の久留米市役所の正面出入口の辺りに別の世界…多分、ボクの世界との
「い……いえ、貴方の世界の竜神の巫女が、預かったモノを返すと……」
「返すって何を?」
「それが判らないんです。何度聞いても、要領を得なくて……」
「へっ?」
「どうなってる?」
敵(多分)のリーダーらしい太陽神の巫女(ボクたちの世界に似た能力を持ってたのが居たので、多分)も事態を把握してないようだ。
「コ事務官?ミリセントはどこだ?まだ間に合うのか?」
やっぱり、
「通信リンク検出、モード自動……接続。ん?え?何だよコレ?」
モニタに表示されてるのは、異常事態を示す警告。
ボクの「鎧」に搭載されてる無線データ通信機と同じ
「どうなってるんだよ?キミは誰だ?」
ボクは四号鬼の戦士に聞く。
「聞きたいのは私の方だ。何故、貴方がこちらにも存在している?」
答える四号鬼の戦士。ちなみに日本語。
「え?キミはボクを知ってるの?」
「何を言っている?私は貴方の弟子で、貴方は私の師匠の1人だ」
「ちょっと待って、もう、訳が判んないよ」
「そうそう、何で、ボクが2人居るの?あと、何で、
四号鬼に続いて、
「おかしいなぁ……時間がズレてる?」
と、もう1人のボク。
「だから、ホントに、どうなってんだよ⁉」
ボクは更に訳が判んなくなって叫んだ。え〜っと、ボクってのは、
「理屈は間違っていなかったが、目的の時間に行くには何回かやり直す必要が有るようだな……」
妙に落ち着いた声で、そう
「おい、何の冗談だ⁉」
敵(多分)の1人が、そう
「知らないよ‼」
「知らないよ‼」
ボクとボクが同時に叫ぶ。
「おい、え〜っと、何て呼べばいいんだ?まぁ、いいや。おい、ボク。こっちの時間で、今はいつ?」
もう1人のボク。
「こっちの世界に来てから、1時間経ってないぐらいだよ‼」
「
そう
「おそらく、平行世界同士を接続する際の不確定性に『アーリマン』が消滅した影響が重なった事による純粋な偶然だろうが……」
今度は四号鬼(くどいけど、こいつはボクを知ってるらしいが、ボクはこいつを知らない)。
「なに?まさか……」
「そう、ボクはキミから見た未来のキミ……いや待て、変な事が起きたから、現在進行形で平行世界が分岐してる最中なのか?まぁいいや、ともかく、ボクは概ね未来っぽいナニかにおけるキミで、キミはボクにとって、だいたい、過去っぽいナニかにおけるボクだ」
「ちょっと待って、不安になって来たけど、ボクは、ちゃんと、ボクの時代に帰れるの?帰ったら、紀元前百万年だったりしない?」
「ボクは、無事、元の時間に帰れた。つまり、恐竜のガジくん達と超古代人が同じ時代に仲良く共存してたかどうかは確認出来なかった」
「恐竜のガジくん?紀元前百万年?恐竜が滅んだのは、もう一桁ほど古い時代ですよね?貴方の世界では、ジャワ原人や北京原人が居た時代まで恐竜が生き残っていたんですか?」
チャユが「訳が判らない」と言いたげな口調で、そう
「いや、『ガジくん』ってのは、ボクの世界で、昔、放送されてたアニメのキャラで、向こうのボクは冗談を
「アニメって何ですか?」
「え〜っと、あぁ、こっちの世界では、アニメは有ったとしても呼び名が違うのか……ええっと、何と説明すればいいか……」
「ともかく、キミが元の世界に帰る場合、ちゃんと本来の時間に戻れるかは見当も付かない。でも、この状況だと、帰る為の
もう1人のボクは、冷静な口調で、そう説明した。
「わ……判った。じゃあ、何か有益な情報が有ったら教えて。まさか、未来の情報を教えると、ややこしくなるとか言わないよね?」
「ごめん、これ以上、ややこしくすると、何が起きるか判んないから、一旦、帰るよ」
「そう言わずに、何か教えてよ」
「1つ思い付いたけど、やだ」
「何で?」
「クサいセリフだから言いたくない」
「いや、キミがどんな事
とりあえず、ボクの正面に居る敵(多分)のリーダーらしい
「判った、じゃあ
何だよ、それ。ボクだったら、そんなセリフ恥かしくて口に出せないけど、でも、そのセリフを
「おい、自分で『キミがどんな事
「ごめん、ごめん、ごめん。でも、1つだけ聞いていい?」
「何を聞くかは、大体、予想が付くけど、質問だけは許そう」
「その
「もういい、あとは自分で何とかしろ。アホだった頃のボクを信じたボクがバカだった」
そう
その時、四号鬼の背中に見えたものは……待て、どうなってる?あの「四号鬼」の中身が、ボクと同じ「強化兵士」だとしても……明らかにオーバースペックだ。おそらく、ボクたち「強化兵士」を凌ぐ身体能力の持ち主か、かなり強力な
「あ、そうだ。とっても、とっても、とっても、とっても大事な事だけは教えてやるよ。ボクの世界では作られなかったけど、今、こっちの世界には存在しているあるモノを、確実に手に入れろ」
もう1人のボクは、こっちを振り向いて、そう
「何をだよ?」
「『キャプテン・アメリカ』のBlu−ray。3部作で、主演はクリス・エヴァンス」
待て、何で、この世界にBlu−rayが有るんだよ?ボク以外に他の平行世界から、この世界に入り込んだ誰かが持ち込んだのか?それ以上の超大問題だけど、ファンタスティック・フォーのヒューマン・トーチを演じたチャラ男が主演の「キャプテン・アメリカ」って、どう云う事だよ?
「何で、それを手に入れる必要が有るの?」
「もし、手に入れないと、確実に、キミの人生は悪い方に大きく歪む。つまり、キミはアホのままだ。あ、ついでに、こっちの世界では、ボクたちの世界では廃れたアナログ・コンピュータが面白い発達をしてるみたいなんで、余裕が有ったら、そっちも調べとけ」
もう一人のボクは、そう
訳が判んないが、でも、1つ言える事が有る。あいつは、間違いなくボクだ。
「待てよ、じゃ、クリストファー・ノーランの『ダークナイト』の続篇が作られた世界も有るのか?」
「あ〜、それは観ない方がいい」
「へぇ〜、そうなんだ、ありがと」
さっき、「
『余剰エネルギー放出』
そしてボクは宙を舞った。
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