治水(1)

「ね……ねえ……JRの久留米駅の状況、どうなってるの?」

『えっと……かなり……マズい……』

 苹采さんからは……そう云う返事が返って来た。

 ようやく応援と合流出来た。

 鳥栖方面から3人。

 瀾ちゃんのに似た強化服パワードスーツを着た2m近い身長の人……。またしても親類なのに今日初めて会ったけど、私の伯父さん……父さんのお兄さんらしい。

 猿を連れた女の人。

 ライダースーツの中年の男の人。

 そして……瀾ちゃんと同じ位の体格の女の人。……ただし……。

『あはは……日本に二〜三〇人しか居ない、あんたの同類が、ここに3人、少し離れた所に2人か……』

『る……瑠璃ちゃん……どうなるのこれから?』

『だから、言ったでしょ。ちょっとした怪獣大戦争だって』

 鳥栖方面から来た3人の最後の1人は……あたしと同じ「神の力」の持ち主だ。

 そして、大牟田方面からも2人。

 2人とも……微妙にタイプは違うけど大男。

 1人は……身長一九〇㎝超えで、もう1人は……身長は一八五㎝ぐらいだけど……横幅は異様に大きい。

 そして2人とも……これまた、あたしと同じ「神の力」の持ち主。

「久し振りだな……『竜神のお姫様』」

 大牟田方面から来た2人の内、背の高い方がそう言った。

『こっちは、会いたくなっかった……』

『瑠璃ちゃん、知ってるの?』

『ウチと同じ……「神を支配する神」の一匹。ウチからすると親類みたいなモノだけど……大昔に……ウチと姉さん達の「巫女」と、こいつの「依代」がトラブってから……仲が悪くなったのよ』

『誰? 何の神様?』

「あれだ」

 その人は、上の方を指差した。

「えっ?」

『ウチと姉さん達が……全世界の水神・竜神を好きに支配出来るように……こいつは……全世界のあらゆる「天候に関する神」を自由に支配出来る』

「『ヒーロー』としてのコードネームは『インドラ』だ。俺の『神』は……あんたの『神』と同じく『神を支配する神』『地球全土が守備範囲の神』なんで……様々な名で呼ばれてきた。ゼウス、トール、フヘディー・メルゲン、マルドゥク……だが、一番気に入ってる名は……コードネームと同じ『インドラ』だ」

「で……どうする? こっちの連中と……新しい『護国軍鬼』なら……この状況で……どう行動すると思う?」

 小柄な女の人が……あたしの伯父さんに、そう聞いた。

「相手が押し付けてきた今のルールでは……ゲームに勝てないなら、そのルールを無効化しようとするだろう。命を賭けてでもな……」

「なるほど……あんた達とは違うようだな……」

「あいつには……俺達に無いモノが有る。自分には才能が無いと思っているあいつが……それでも俺達を超えようとして磨いてきたモノが……悪知恵だ」

「知恵とは……自分の身を護る為のもの……じゃないのか? あんたの言う通りなら……それは本当に『悪知恵』と呼べるのか?」

 ちょっと待って……瀾ちゃんは……何をしようとしてるんだ?

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