第4章「岐路」
瀾(一)
私は……桜さんの足下に有るガトリング砲を掴んだ。
桜さんの
「……お……おい……」
「不自惜身命」
「火事場の馬鹿力」を出す為の自己暗示キーワード 兼 この「鎧」のリミッター解除キーワードを、再び唱える。
私は佐伯……いや……「赤の竜神」珊瑚と言うべきか……の周囲を回りながらガトリング砲を発射。
佐伯も次々と「氷の壁」を作り出し銃弾を防ぐ。
だが……私がある位置まで来た時……。
氷の壁が消える。私も銃撃を止める。
射線上に居たのは……桜さんだ。
「自分の命は捨てる事が出来ても……仲間の命は捨てる事が出来ない……。根っからの『ヒーロー』みた……」
だが、他人の心が読めるヤツは……何かがおかしいと気付いたようだ。
「余剰エネルギー放出。背中・脚背面。出力最大」
私は……ガトリング砲の銃身を持ち……飛んだ。
ガトリング砲を鈍器代りに使った殴打が……ヤツに届く直前……ヤツの周囲の地面がビビ割れ水が吹き出し……。
氷の壁を作るのは間に合わなかったようだが……水の勢いで打撃が逸れた。
「クソっ‼」
再び私はガトリング砲の銃口をヤツに向けるが……。
「えっ?」
地面は、ヤツの周囲……人1人が立てるだけのスペースを残して……ヒビ割れ……そして……。
アスファルトやコンクリートの下の地面は液状化していた。私と桜さんは……泥水に足を取られてバランスを崩す。
いや……もう……膝の辺りまで泥水に漬かり動く事さえままならない。
「貴方の心は……どうやら……『恐怖』が……死ぬ事や、傷付く事への『恐怖』が欠けているようね……」
ヤツは私を見ながら、そう言った。
「けれど……そんな人間は他にも居る。貴方程度に知恵が回る人間も……貴方程度の強さの人間も……いくらでも居る」
「なら、そいつらをあんたの巫女にすれば良いだろ。力欲しさに、あんたに魂を売る者など、選り取り見取りじゃないのか?」
「けれど……私の予想を裏切る真似をしたのは貴方ぐらいよ……。まだ……少しは時間は有りそうね……。貴方が、何故、特別な存在なのか……理由を調べてみるのも良いかもね……」
「何?」
「あの駅の中に……ざっと7人。貴方の仲間が居るようね……。そいつらを皆殺しにする……。ああ、手加減はしてあげるから、貴方でも、私を阻止するのは不可能じゃないわ」
泥水の一部が凍っていく。ヤツと久留米駅を結ぶ「氷の道」が生まれた。
「ゲーム開始は……私が、あの駅に入ってからよ」
そう言って、ヤツは悠々と「氷の道」の上を歩いていった。
『聞こえた……中々……洒落にならん事態だな』
『俺達を助けようなんて思うんじゃねぇぞ。逃げろ。頭のいいお前の事だ……。それが「最適解」ってヤツだって
続いて「おっちゃん」から通信。
「で……でも……」
『
「フザけないで下さい」
『そっちこそフザけた真似ばかりしやがって……若いのが先に死ぬなんて……アベコベにも程が有る』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます