治水(5)
あたし達が乗ってる4輪バギーはもと来た道を逆戻りし始めた。
「あ〜っ‼ こっちに向って来てる」
「距離は?」
「ごめん、よく判んない。多分……」
『この調子だと、次の交差点を少し行った所で
望月君のその声と共に、4輪バギーのモニタに、バイクに乗った「もう1人の巫女」の映像が写る。
「今から自動操縦を頼む。次の交差点を右折。治水、弓と……対人用の矢を1つ」
「えっと……何をする気」
「ちょっとした威嚇だ」
『自動操縦に切り替えたぞ』
「よし……じゃあ……右折する時にドリフト走行させてくれ」
『はぁ?』
『えっ?』
望月君と苹采さんの声。
「出来るの、そんな事?」
『出来る訳無いだろっ‼ 何でだっ‼』
「いや、そっちの方が、命中率が上がりそうなんで……」
『「ちょっとした威嚇」って言ったよなっ⁉ 殺すんじゃなくて、威嚇だよなっ⁉』
「そろそろ交差点だ。議論は切り上げて、とりあえず右折させて下さい」
そして、起きたのは、
「もう1人の巫女」がこっちに向って来るのが見える。
あたし達の4輪バギーは右折。
瀾ちゃんは矢を放つ。
そのまま4輪バギーは進み……。
「軍刀と矢筒を放り投げてくれ」
「あ……えっと……うん」
瀾ちゃんは、4輪バギーから飛び降りる。あたしは瀾ちゃんの指示通り、矢筒と刀を放り投げ、そして、瀾ちゃんは、その2つを受け取った。
でも……「もう1人」の巫女の存在は、まだ感じ取れる……多分、無傷。矢は外れた。
そして、瀾ちゃんは、あたしの乗ってる4輪バギーを背に走り去って行った。
『応援メンバーとの合流地点まで自動操縦する。つかまっててくれ』
「
しかし……その直後……「もう1人の巫女」が「力」を使った気配を感じた。
「ねぇ‼ 瀾ちゃんは大丈夫なの⁉」
『えっ……と……大丈夫……かな?』
『あいつ、冗談抜きで……本物の……』
「天才?」
あたしは、4輪バギーの運転席のモニタに転送された映像を見て聞いた。
『いや……紙一重で違う』
苹采さんの声は……何故か……疲れたような感じだった。
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