余命6ヶ月のかぐや姫

小野町 咲楽

第1話 出会い

春の朝。新学期の始業式にピッタリなんじゃないかってぐらい気持ちがいい。

僕、園田 優牙は地元の中学校の今日から2年生になる。僕は、朝ご飯を食べ、

制服に着替えて、学校に向かった。

「おっす! 優牙。また、クラス一緒だな」

「うん」

「なんだよ。乗り気じゃねぇな。この、赤鍋 智希様と一緒なんだぞ。嬉しく思え。」

「よろしくな、智希。」

「おぅ…。なぁ、そんなことより、お前の前の出席番号の園咲 かぐやって奴知ってる?」

「いや…。知らない。」

「転校生なら、可愛いかな。」

「智希、お前だからモテないんじゃねぇ?」

ポカーンとしている親友をほっといて、僕は、教室へ足を急ぐことにした。


教室は、やっぱりというより思い通り騒がしかった。席は、出席番号順で僕は20番だった。

智希は、1番だから、僕と関わることはないと思う。僕から智希の方へ行くことはないけど、智希の方から来ることは確実だ。僕の隣の席は19番。例の転校生と思われる人だろう。僕の隣がうまったのは、先生が来てからだった。

「今日から、あなたたちの担任になる、芦田優香です。よろしくね。早速だけど、このクラスに入る転校生を紹介します。じゃあ、入って。」

ドアの音とともに入ってきた転校生は、智希の予想通り可愛いらしい女の子だった。

「園咲 かぐやです。花園中から来ました。よろしくお願いします。」

「じゃあ、園咲さんは、えっと…」

「あっ…。園田です。」

「あっ!園田くんの隣に座って。」

「はい。分かりました。」

園咲さんは、僕の方へやって来た。仕方がない、これは、出席番号の前後ろなのだからそうなると分かっていたことだ。僕は、一応、会釈をした。すると、園咲さんもそれに気づいたようで会釈を返してくれた。そのあと、先生が誰も聞いてないであろうレベルの話をしていた時、思いがけないことに、園咲さんが小声で僕に話しかけてきた。

「ねぇ、園田くん下の名前なんていうの?」

園咲さんも先生のこの話に興味がないんだろうなと僕は思った。僕も、園咲さんに賛成だ。先生のつまらない話の間、園咲さんと話すことにした。

「優牙。優しいに牙で、優牙。」

「へぇー。いいな、かっこよくて。よし、優牙くん」

ドキッとした。男子からならまだしも、まだ彼女ができたことのない僕は、小学校の低学年ぶりに下の名前で呼ばれた。

「何……? 園咲さん」

「かぐやでいいよ。」

「じゃあ、かぐやさん。何…?」

「しゃべるのもあれだし、書いて話そう!」

かぐやさんは、メモ帳を取り出して、何かを書き始めた。

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