メモリグランド

メモリグランド(Memoryground)

言語や映像などで置換されない無形無象の記憶領域、またそこに属する記憶。

人は脳内で意識が取り出せるものを記憶と思っているけれども、自分で記憶しているとわかっていない記憶もあるのです。


・無意識

 メモリグランドとは、人の無意識に収まった記憶であるのです。それは人の意識が触れられなくても、人の在り方に確かに関わっています。


・身体記憶

 体が覚えている。スポーツや記憶喪失者、痴呆の方の行動でよく言われる言葉です。

 この感覚も言語的に出力出来ない記憶であり、すなわちメモリグランドの表出なのです。


・阿頼耶識

 仏教の九識論の内、第七識までは人の人格や実感に関わるもので構成されています。しかしこの第八識の阿頼耶識は、人の業を納めた識であります。アラヤとはサンスクリット語で蔵を意味し、例えばヒマラヤとは雪の蔵という意味です。

 人の業、前世と今世の行動によって積もった功績と罪過、それは人の人生に現れるメモリグランドです。


・阿摩羅識

 仏教の九識論、その第九識が阿摩羅識であり、これは全ての存在が繋がっている最奥の識です。誰もが自身として繋がっている世界そのものであります。

 例えば、森という存在には多種多様な植物が含まれていて、その一つ一つに個別の命はあれども、森の一部であります。人間も地球の一部というのもありふれた表現です。赤血球はヒトの一部であり、それでいて献血や出血などであなたの外へ出てあなたでなくなるのと同じことです。

 この世の全ては世界の一部であり、そのものであるのです。その普段は意識しない世界の帰属もまた命の在り方を決めるメモリグランドです。


・コモンセンス、常識

 常識とも呼ばれる、一定の集団で共有される当たり前、それがコモンセンスです。

 コモンセンスは人々の行動を無意識の内に左右します。


・アカシックレコード

 人々の過去から未來までの記録であるアカシックレコード、それは当然人が意識して閲覧出来るものではありません。しかしそこにある記録の通りに人が生きていくというのであれば、それは記憶として確かに存在していることになります。


・曖昧に総合的な判断

 コンピュータと生命の知性を隔てる分領線と言われるのが、曖昧に総合的な判断でコミュニケーションを行えるかどうかです。それは、感情を持ち、相手の感情に共感出来るか、であるとも言われます。

 コンピュータによる0と1による判断は常にその結論を問い質せば明解な判断基準を提示します。しかし人間の判断は曖昧な基準で言語的に提示出来ないことが多くあります。

 その曖昧で言語的に提示出来ない基準とは、メモリグランドに収まった知性の働きであるのです。

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