単純に、愛されたいだけ。
ユメモチ
愛がほしい。
心のまま走れと思っていた青春時代。
自分の幸せのために突き進むことで誰かが泣くことになったとしても、それはそれで仕方がないことだと思っていた。
それは私の中に、今も在って、
本当はずっと、そうしたいし、そう思ってるんだ。
大人になって結婚した私は彼の望む私になりたくて、我慢ばかりして自分をどんどん無くしていった。
当時の私の顔はどこかおかしく、病気のようだ。
今思えばそんな私が愛されるわけがない、彼は私から逃げた。
彼の言うことを聞いて常に尊重し、嫌がることはしない、心配かけない、友達とも疎遠になり、男友達とはほぼ縁を切った。
彼のために生きていたような日々。
それなのになぜ捨てられるの?
自分らしさを失ってきっと目の輝きすらない女に、魅力なんてあるわけがない。
彼も友達も自分らしさも失ったまま1人になった私は、胸にぽっかりと穴が開くというのはこういうことなのかと苦しいほど実感していた。
考えれば涙が出て仕方なかったけど、そんな日々を続けていてもどうしようもない。
誰も助けてなんかくれない、声なんてかけてくれない。
私はほんの少しずつリハビリみたいに自分を取り戻していった。
人と話すのも表現の仕方も忘れてしまっていたから、なかなかうまく笑えなかったけど、日常に溶け込むことで、重荷のようだった辛い気持ちを少しずつ落として心が軽くなっていった。
もう一緒にいて楽な人がいい。とにかく自分を抑えたりしないで無理せずそのままで居られる人がいい。
そう思って付き合った人とその後、結婚した。
気楽で楽しく生活していた、数年は。
確かに無理して自分を抑えたりしなくて済んだけど、私が求める愛はそこにはなかった。
大抵、その時はわからないことに後になって気づくものだけど、楽ならいいってわけではないのだ。
愛し愛されている実感がないとだめな私には、大事なものが足りなかった。
もう、そもそも結婚が向いていないのではないか?と悩んで、落ち込んだ。
本当は弱い人間だと思う。
ただ自分の強さを支えにするしかなかったから、強くならなきゃって気を張ってきただけ。
日々頑張ってはいるけれど、
なんか、やっぱり弱ったときには心の支えがほしくなる。
いつも心に、愛する人にいてほしい。
そして、できればときどき抱きしめてくれる、しっかり受け止めてくれる人に出会いたい。
若い頃、自分が選んで来た道、くだらない罪やアホなことをして家族や誰かを傷つけたり、心配や迷惑をかけたことも何度もあったけど、
それでもその全てがあって今の自分があるわけで、間違った道だったとは一度も思ったことはないし思わない。後悔したこともほとんどない。
ただ、もしこれから大きな愛を持ってお互い大切にしあえる人に出会えるのなら、そんな人と、人生の終わる日までを愛にあふれて過ごしたい。
悔やまない日を、めいいっぱいの日、自分を好きでいれる日を。
愛しかない日々を、過ごしたい。
まるごと私全部で愛したい。
それを受け止めてくれてさらに全て包み込んで愛してほしい。
本当は単純で簡単なことだと思うのに、そのストレートさが実は難しいのかもしれない。
そんな風に居られるのって、めったにないのかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます