『自走砲マークⅠ』〜多様化する機甲部隊〜
戦車という兵器は極めて強力で、攻撃、防御、悪地走破能力のどれをとっても優秀だった。
多くの利点を持つことから、それぞれに特化する形で改良され、対歩兵特化や、輸送特化型が生まれた。
または欠点を改良し、用途を変更する形で、水上走行、架橋能力などを備えるようにもなった。
このような特殊戦車の先駆けと言えるのが、『自走砲マークⅠ』だ。
名前の通りマークⅠの車体を流用し、その上に大砲を乗っけた簡単なもの。そして自走砲と書いてはいるが、本来は火砲運搬車であり、前線に火砲を運び込むことが本来の任務である。
しかし実際には火砲よりも弾薬や物資の輸送に使われた。車体には多くの車輪が付けられていて、背面の車輪は超壕用だが、側面に縛り付けられた車輪は大砲用である。
また、後に兵員輸送車に発展する『兵員物資輸送車マークⅣ』は、約30名の兵員か、10トンの物資を積むことができた。
『水陸両用実験車ダック』も上記の車両と同じくマークⅣの車体を流用していて、車体側面に浮力をつけるための筒、履帯に水かきをつけた車両。
まさしくダックといった様子だったが、実験には成功したらしい。
マークⅤの車体を流用した特殊車両として、『マークⅤ地雷処理車・架橋戦車』があげられる。
クレーンに取り付けたローラーで地雷を破壊して進むのが地雷処理車。
跳ね橋の片側を車体前方に引っ付けたような車両が架橋戦車だ。
塹壕を超えられるようになった戦車にとって、障害となるのが地雷や河川。それさえ突破できれば何処までも進めたため、このような戦車が作られた。
以上のように、イギリスの戦車開発は他国より一足進んでいた。
少なくとも第一次世界大戦の頃は……。
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