『はなせばわかる~おはかパーティー』

やましん(テンパー)

『はなせばわかる~おはかパーティー』


 お墓参りというものは、


 大切な行事です。


 ぼくの場合は、地球にお墓がありますから、時期になると、『地球お墓参りツアーバス』に乗ります。


 出発は、火星の『フォボス宇宙バス・ステーション』です。


 途中で、月の『ウサギ・バスステーション』にも寄ります。


 もちろん、バスは沢山出ますが、トウキョウ行きは、いま、少ないのです。


 火星のトウキョウ出身の現大統領と、火星出身のトウキョウの現首相がケンカしているためです。


 どっちが、伝統の『トウキョウお饅頭料理』に詳しいかで、もめたらしい、とか。


 政治家さんというものは、またく、困ったものですよね。



 ま、それはともかく、ぼくは、ひとりきりでトウキョウ・バスステーションに到着し、そこから、地方にゆく空中バスに乗り換え、さらに、空中レンタカーで、お墓に向かいました。


 途中の事故の影響で、お空が混んでいたため、お墓参りは夕方になりました。


 まあ、お墓参り自体は、30分あれば十分ですから。



 今夜は、地球の自宅で過ごします。


 別居中の奥さまも、来るはずですが、あまり、当てにはなりません。


 あてになるくらいならば、別居なんかしませんし。


 さて、薄暗くなったお墓を後に、車輪走行でゆるゆると、なつかしい陸上を走っていたのですが、なにやら、ざわざわした雰囲気を感じました。


 まあ、今時、あまり陸上を走る人はいないでしょう。


 ここは、お墓のそばの森です。


 良くわからないけど、怪しいものが動き回っております。


 やめときゃ良いものを、好奇心が強いぼくは、車を止めました。


 そして、少しだけ、森の中に入り込みました。


 この先には、たしか、むかしのキャンプ場があります。


 けっして、人跡未踏なんていう場所ではありません。


 ぼくは、木立の影から、そっと覗きました。


 人のような影が動き回っています。


 でも、人ではなさそうな、なんだか、骸骨さんの様なものもいるようだ。


 でも、はっきりしません。


 『こらこら、きみ、のぞき見はよくないなあ。』


 『うあ・・・・ああ、お父さん!』


 そう、亡くなった父でした。


 『墓参りに来てくれたのはわかっていた。時間が遅すぎだ。今日は予定が詰まっている。これから、パーティーなんだ。』


 『ぱ? てィ-?』


 『うん。』


 『かあさんは?』


 『けんかして、旅に出た。』


 『またかいな。死んでも同じかい?』


 『まあな。』


 『こまった親たちだ。』


 『会いたかったかな? ぼくよりも。』


 『いやあ・・・そりゃあ・・・まあ・・・いやいや、大体こんなことあるはずもなしだろ。なんだいこれは? タヌキさんのいたずらかい?』


 『あらあ・・・・やましんさん。おひしさしぶり~~~!』


 『うあ。タヌキ・・・・いやあ、幸子さんではないですかあ。』


 『うん。お饅頭たくさん頼まれたから。配達に来たんだよ。はい、これ、『不思議が池お気楽饅頭200箱』ですよ。20万円なんです。』


 『はあ・・・・それは、商売ですか?』


 『まあね、最近、池の女神様もたいへんなの。やましんさんが火星に行って以来、運営資金は自分で稼げって、言われ出したのよお。信じられるう? 新しい地獄長様の方針なんだってぇ。原因はねぇ、やましんさんのお話し。結局は、売れなかったしぃ。女王様もカンカンですよ。』


 『はあ、そりゃあまあ、お気の毒に。あ、女王様には内緒ですよ。』


 『まあ、きみたち、もう、知り合いなら話が早い。パーティーに参加してゆけ。どうせ、暇だろ、君たちは。納品と会計は、あっちの、ほらあの、でっかい骸骨さんね。』


 『了解~~~~~~~い。じゃ、またあとでね~~~。』


 たしかに、日が暮れるのと同時に、一層よく見えだしたのですが、骸骨さんや、半分だけ骸骨さんや、見た目は人の姿だったりするけど、後ろから見たら、やはり骸骨さんだったり、まあ様々な、つまり、この世のものではない存在が、ごあごあと、あっちもこっちもから、集まって来たのです。


 『ここの墓地だけじゃあないんだ。交換パーティ-だからね。あ、受付しよう。』


 『いや、いいよ。ぼくは、参加資格ないから。』


 『まあ、そう言うな。せっかく来たんだから。母さんも帰ってくるさ。足は早いぞ。』


 『いやああ・・・・良くない予感がするから。』


 ぼくは、幸子さんが、手で『バツ印』したのを、ちゃんと見ておりました。


 これは、長年のお付き合いで出来上がった合図のひとつで、『ここは、居ちゃマズイ場所だよ~~~。』という、意味あいなのです。


 しかし、いつの間にか、骸骨さんや、幽霊さんたちが、たくさんぼくらの周囲に、集まって来ていたのです。


 『まあまあまあ、にいさん、行こう。おらおら。あっちに、適当な崖がある。池もある。気持ちいいぞう! まずは、入会の儀式からだよ。そうしたら、盛大に歓迎『ぱーてィー』だぜ。はいはい。いっしょに、崖からお池に飛び込もうね。』


 『いやいやあ。それは拒否。父さん、これないだろう。親ならなんとかしなさい。』


 『いやあ。悪いな。ははは。』


 父さんの姿は変化して、骸骨になりました。


 『父さんではないな!』


 『いやあ、こいつに頼まれてさ。悪いな。』


 『くそ。たぶらかされたかあ!』


 『はいはい、まあ、年頃の娘さんもいるよ。さあさあ、行きましょう。はい。ランランラン、ラララ~~~~』


 ものすごい力で、ぼくは崖の上に引っ張って行かれます。


 下は、『ぽんぽ湖』と呼ばれる、大きな池です。


 自殺者が多い場所として知られています。


 『こら~~~。離せええ。離せ~~~~、離せばわかる!』


 『ギハハハハハハハあ~~~~~。』


 大勢の骸骨さんや、怪しい魔物たちが、ぼくを担ぎ上げました。


 投げ込まれるう~~~~~!


 その時です。


 『ハイパー・おまんじゅう嵐い~~~~~~~~!!!』


 あ、幸子さんです。


 幸子さんは、本物だったのです。

 

 天から大量のお饅頭が降りました。


 しかも、通常の不思議が池のお饅頭ではなく、幸子さんも大嫌いな塩饅頭です。


 『幸子、お塩、苦手~~~~。やましんさん、またね~~~~~~~!!。これ、一つ貸しとくから~~~~~。』



 あたりは、大さわぎになり、でも、一瞬たつと、すべてが静寂に包まれました。


 大量の塩饅頭だけが、降り積もっておりました。


 今どき、こんなの、あり得ないお話しです。


 お葬式で、お塩を使ったのも、大昔のことです。


 なんだか、おかしいな。


 『やれやれ。なんのことだか。幸子さんに助けてもらったかな。でも、なんで、幸子さんが来てたんだろう? 誰が、『不思議が池』のお饅頭を、わざわざ頼んだんだろう? だれかが、まだ、ぼくを助けてくれているのかな?』


 ぼくは、森を後にして、空中に飛び上がりました。


 やれやれ、おうちに帰ろう。


 しかし、なんと、そこに、こんどは、あの、『攻撃型宇宙戦艦アブラシオ』さんが現れたのです!


 『うあ~~~~、攻撃してきた!』


 なんでだ~~~~~????


 きみは、ぼくが書いたんだぞ~~~~~。


 そういや、幸子さんもそうだけど・・・・・


 『うあ~~~~!! 撃墜された~~~~~!!!』


 燃えながら、墜落です! もう、だめだ。



  

      👻   🔥    🔥  👻



 

 『先生、この、急患のひと、まだ、目、覚めないですよ~。さっきから、さかんに、うなされて、はるんですがあ~~~~。』


 『まったく、よほど、頭の鈍い、おまけに運のないひとだねぇ。わざわざ、ここまで車できて、睡眠薬飲んで、暗がりだったとはいえ、先週、廃線になったばかりの、汽車はもう来ない廃駅のホームから飛び降りるかいな。それで、頭うって・・・・、まあ、命に別状はないとは思うけど。いったい、なんの夢、見てるんだかねぇ。』





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『はなせばわかる~おはかパーティー』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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