ちょっとヤバめの後輩は好きですか?
美玲
全てはここから始まった
第1話 さっそく現れた後輩
高校二年になって一ヶ月が経ったある日のこと。俺、工藤 夢斗は見知らぬ女の子に告白をされました。
◇◆
「工藤さん、私と付き合って下さい!」
「え、えっと・・・俺、君のこと知らないし」
「付き合って下さい!」
今、俺は告白をされている。一見青春を謳歌しているかのようにも見えるこの光景だが、俺はそうは思わない。
なぜなら俺には既に好きな人がいるからだ。というのが仮の理由で、本音はもう一つの方にある。
それは俺が彼女のことを知らないこと。性格も名前も何も・・・ってか面識ないじゃん!赤の他人じゃん!?と心の中では叫びつつ、俺は彼女に笑顔を見せた。
「ごめん、俺他に好きな人がいるから」
「えっ!?浮気ですか?」
「ん!?」
何かの聞き間違いだろうか、彼女今なんて・・・
「工藤さん浮気してるんですか?」
「浮気って・・・」
「だってもう私達付き合ってるじゃないですか!」
「はっ!?え、えっと多分だけど付き合ってはいない・・・かな」
「えっ!?そうなんですか?」
何この子、ちょっとやばい感じがするんだけど。普通に湧いてるしょ!いや、ネジが10本くらい足りていないだけか!?
と、とりあえず関わらない方がいい。と俺の脳が凄まじいスピードで体全身に命令を出している。
「それに俺、君のこと知らないし」
「私も工藤さんのこと知りませんよ」
「はいっ!?」
「私何か変なこと言いましたか?」
「あぁえっと・・・」
えっ!?どういうこと?俺のこと知らないのに告白してるの?もしかして最近の流行りとか?それとも罰ゲームとか?俺罰ゲームの対象にされたの?
「あのさ、もし罰ゲームとかで告白してるならもうやめてもらっていいかな?」
「罰ゲーム?なんのことですか?」
「んっ??」
えっとどういうことだ?俺のことを知らないのに告白してきて、しかも罰ゲームでもないと・・・これはいっちょん分からん!!
「あ、あのさ君なんで俺に告白してるの?」
「なんでって好きだからですよ」
「好きって、だって俺のこと知らないんだよね?」
「はい、全く知りません」
あぁごめんなさい。この子が考えていることが全く分かりません。てかなんでこの子全く知らない俺のこと好きなんだよ!
と色々疑問はあるのだが、一つずつ解決していくか。ーーーいや、ここは逃げる!!!!
「あ、あぁそろそろ授業が始まるなぁ」
「工藤さん、もう放課後ですよ」
しまった、とっさに嘘をつこうとしたせいで下手なミスをしてしまった。
「そ、そうだよね」
俺はとっさに笑って誤魔化す。
ど、どうしよう。どうやって逃げよう。なんかすごい俺のこと見てくるし、ちょっと距離が近い、というか徐々に近寄ってきてるし・・・それに間近で見ると割と可愛いし。
「ストッォオプ!」
少し大きな声を出したせいか、彼女の足はピタリと止まった。
よしっいまだ!
「そ、そのさ俺そろそろ帰らないと・・・」
「何かあるんですか?」
「え、えっと・・・そう!塾が、塾があるんだよ!だから急いで帰らないと」
「そうなんですか」
「だ、だからまた今度ね」
そう告げてから体の向きを180度変え走り出す。振り向いたら捕まる。そう思って全力でその場から逃げた。
そして“また今度”と告げた俺だが、もう会うこともないだろう。と油断していた次の日の放課後。
「先輩、私と付き合って下さい!」
「え、えっと君は・・・」
「私ですか?私は綾瀬 恵といいます」
「へー綾瀬さんか・・・ってそうじゃなくて、なんでまた告白しに来たの!?俺昨日、君のこと振ったよね?」
「はい、でも先輩は”また今度ね”と言いました。だからまだチャンスがあるのかと・・・」
だめだこの子。俺の意図を何も汲み取っていない。まぁでも今回は少し俺が悪い部分もあるのかな?嘘が浅はかだったというか、苦しまみれだったというか。なんて思う自分がいるのが悲しくなる。
「あ、あの綾瀬さん」
「はい綾瀬です」
「うん、で綾瀬さん。俺は他に好きな人がいるから君の告白は受けられないんだよ。だからさ、そのごめん」
「そうなんですか、なら仕方ないですね」
おっ!今日は物分かりがいいじゃないか。これでこの子ともう会うことはない
「それでは先輩!また今度」
「はいっ!?」
そう言い残して歩き去った彼女を追おうとしたものの、流石にもう来ないだろうと甘い考えを心のどこかで持った俺は追うのをやめた。
そういえば、今日は俺のことを”先輩”って呼んでたな・・・まぁいいか。
俺もさっさと帰ろう。
“流石にもう来ないだろう”そう思ってから24時間後、つまりは次の日。
「先輩、私の彼氏になって下さい!」
薄々来るのではないかと思っていたが本当に来るとは・・・もうめんどくせー!
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