ぼっち生活を満喫していたら、何故か学校一恐れられている不良美少女に話しかけられた件
せかけ
第一章 神崎さんの出会いと秘密
第1話 不良美少女との出会い
「うーん……そろそろチャイムの鳴る時間かなぁ……」
目一杯の背伸びを行い、伏せ気味であった身体を目覚めさせる。
キーンコーンカーンコーン。
よし、終わった!!
いつもと何一つ変わらない授業終了の合図を告げるチャイムは、同時に僕に、一息の休息を与えてくれる。そして、教室からは徐々に、話し声が聞こえ始める。
『やっぱ神崎さんってさ……凄い美形だったけど、やっぱり怖かったわ。学校一恐れられているって言われるだけのことはあるな。なんか、こう……オーラを感じた』
『あぁ……俺も未だに慣れないな……。まさに、クールビューティって感じだよな。噂によると、あまりにも怖すぎて、他校の連中も手が出せないって噂だぜ?』
『まじかよ……』
(みんないっつも同じ話してるな……)
クラスメイトの会話を少し、盗み聞きしながら頬杖をつく。あぁ、そんなことよりも、太陽がとても気持ち良い。僕、山倉高校に通う高校1年生、
(この席、意外と人気ないんだよな……僕にとっては、ありがたいんだけど)
僕のクラスは席をくじ引きではなく、自由に選ぶことが出来る。その為、
僕は、毎回、一番後ろの窓際の席をいつも選ぶようにしている。実は、この席は少し特別で、教室の構造上、隣との席が少し離れている。よって、友達同士で話す人達はこの席を選ばない。しかし、ぼっち生活を送りたい、僕にとっては好都合だ。日当たりも良く、なによりも……静かだ。僕は、ひっそりと生きる
よく、クラスカーストと呼ばれるものがあるが、恐らく僕はそのどこにも位置しない。いやきっとクラスメイトからは、認知もされていない。だが、それで良い。人間関係とは複雑なものだ。
人は関わりを持つからこそ、何かしらの問題が起こるのだ。知られていなければ、変に噂が立つこともないし、疑いをかけられることもない。消極的だと思う人もいるかも知れないが、それで良いのだ。
現状で困っていることはないし、めんどくさい人間関係なんて言語両断!
このまま誰とも関わらずひっそりと
平和に過ごすことが正解だと思っている。
「うーん、美味しい、今回のは良くできてるかも」
自分で作った弁当を食べながら、ポカポカ陽気に照らされる。この昼食の時間こそ至福の時間……。食事を済ませ、ポカポカとした気持ちの良い陽気に照らされていると、だんだんと睡魔が襲ってきた。
「うっ、今日みたいな天気の良い日は特に眠く……」
だが、寝てしまっては……!!
一番平和な昼休みの時間が短くなってしまう……!!
「耐えろ……耐えるんだ僕!」
窓際族としてのプライドがなんとか僕の身体を起こそうとするが、睡眠は、やはり待ってくれない。
うっ……ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。
スヤスヤ。
♢♢♢
「あのさ、そろそろ起きてくんないかな」
ん……何やら声がする。
もしかして夢? 僕はいつの間にか寝てしまったのか?
それにしてもなんだか、机にしては頭がじんわりと暖かい気がするのは気のせいだろうか。
まるで、もちもちのクッションの上に眠っているみたいだ。寝ぼけながらも、そのクッションのようなものにとりあえず触ってみる。
「……んっ」と艶やかな声が聞こえた気もするが恐らくは気のせいだろう。
「もしもーし」
視界がまだぼやけていて良く分からないが、やはり、どこからか声がする。
僕に話しかけてくる人は、授業中の先生くらいだけれども……。静かなこの感じ。僕にはわかる。この感じは、もう授業はとっくに終わっている。つまりは放課後。
でも、そんな僕に話しかけてくる人間なんているわけがない。そうか、夢から覚めたつもりがまた夢を見ているんだ。最近、人生がループするアニメを見たけれど、ついに僕の夢まできてしまったか。まぁ、夢ならもう少し眠っとこう。
再び、眠りにつこうとしたら、頭を軽く叩かれた。
「痛たああああああああああああ」
実際、ほとんど、痛みはなかったのだが、突然の襲撃に思わず、驚いて条件反射で叫び声をあげてしまう。
「え……?」
上を見上げると、自分なりにアレンジさせたのだろう、着崩した制服を見に纏い、サラサラとしたキューティクル抜群の金髪の見知らぬ女の子の顔が至近距離にあった。
色っぽい息遣いが微かに聞こえる。それにしても、何故こんなに近いのか。
寝ぼけた頭の中で、5秒考える。
そうか……この気持ちのいい寝心地……
さっきの声……そして、この距離感……! そうか、わかった! 謎が解けたぞ! 僕は膝枕されているんだ!!
「いや、なんでええええええええええ!?」
そう気づくとともに、ガバッと身体を起こしながらもツッコミを入れる。
誰だこの子は!? 一体どんな状況だ!?
「やっと起きたし」
彼女は、そう言うと、
右手でチョップの構えをしていた。チョイチョイと右手をブンブンと
振っている。きっと、頭を叩いたのは、この右手のチョップだろう。いや、そんな事よりもだ。
この状況は大変まずいのでは……!?
ガバッと、素敵なベッドから起き上がると、
僕は女の子に尋ねる。
「ど、どちら様ですか?」
勢い余って、少しどもってしまった。
「あたし? あたしは
神崎花だって? 僕は、クラスメイトとは関わりを持っていないはずなのだが、なぜかその名前を知っていた。神崎花……どこかで聞いたことがあるような……。
ん……今朝の会話を咄嗟に思い出す。
「まさか……学園一の不良だと恐れられているあの神崎さん!?」
「学園一って……、あー、あたしそんな風に言われてるから、みんな逃げ出すのか。納得納得」
この噂は、僕が入学した時からあったはずだが、
神崎さんは、何故か今頃気付いたかのような反応をしていた。
「その神崎さんがどうしてここに……。神崎さんは、上級生だから、違う階のはずだし、それに、なぜ僕は膝枕を……」
思い出すと、そんな恐ろしいと言われている彼女に対して、なんてことをしてしまったんだという焦りが遅れてやってくる。
「あー……やっぱ、説明しないとダメ?」
神崎さんは、気怠げそうにこっちを
見つめている。
「して頂けると助かるんですが……」
「うーん、あんたが寝てて……それを起こしたらコロコロ転がってきて太ももに乗ってきたって感じだね」
「すみませんでしたあああああああああああああ!!」
「いや、別に気にしてないからいいよ」
神崎さんは本当に気にしていないようだった。ホッと胸を撫で下ろす。
なんとか事案にならなくて済みそうだ。学校内の人から訴えられるなんて、想像もしたくない。
「でも、僕に用事って一体……」
「あー、そうだった、話があるから
あんた明日、昼、屋上にきてよ」
「え……」
僕の平和な日常は、今日終わりを告げるのかもしれない。
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