赤色に染まる
京介
プロローグ
「すいませんでした」
上半身を勢いよく前に倒し、そのまま下を見る。視界は緑色の芝生しか捉えていない。
私は今、謝っている。
目の前にいるみんながどんな顔をしているのかわからない。
でも何となくわかる。今、彼らは私のことを冷ややかな目で見ていることだろう。
「やってはいけないことをした人は仲間じゃない」
そう思いながら、謝罪している私を見ていることだろう。
笑って許してくれる仲間なんてここにいないだろう。
みんなは既に「赤色」に染まっているだろうから。
でもしょうがないよね。やってはいけないことをしてしまったんだもの。
決まりごとは守らなければならない。それがたとえ犯罪を侵すようなものじゃなくても。
決まりごとが守れないものは抹殺されるようなものだ。逮捕されるようなものだ。
だから私はみんなに謝っている。これから私は抹殺される。
私はこれから「赤色」に染まるのだ。
しばらく頭を下げたままでいた。その最中に私はふと、目を閉じる。
視界から緑色の芝生がなくなり、何も見えなくなった時、今日にいたるまでのことを
思い出そうとした。
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