第3話 NewWorldOnline
正式サービス開始と同時に、様々なスレッドが乱立した。
『転生機能ってどう思う?誰かやった??』
『引き継ぎ勢で俺強いとか新規に威張ってるやつ何なの』
『”AllWorldOnline”が恋しい奴集まれ』
『”AllWorldOnline”サービス終了する必要あった?』
『新サービス”NewWorldOnline”は”AllWorldOnline”とは別物』
匿名サイトで”AllWorldOnline”と”NewWorldOnline”に関するスレッドは増殖していった。
”全世界ver.2”という触れ込みであった”NewWorldOnline”(通称:新世界)。
その実態は似て異なるものだった。
・”全世界ver.1”からのアカウント引き継ぎが可能
・転生機能実装
・”全世界ver.1”プレイヤーの皆様は第1事前登録者として
アカウント引き継ぎが可能+事前登録ボーナス(中)
事前登録ボーナス(スペシャル)
・第2事前登録(”全世界ver.1”未プレイ者専用)による事前登録ボーナス(大)
・早期登録者専用ボーナス(事前登録ボーナス(小)相当)
以上のような事前情報が開示されており、サービス開始までは『”全世界ver.1”完全攻略整理サイト』と銘打つサイトができるなど、攻略情報が整理され直し、その期待度の高さがうかがえた。
サービス開始とともに発表されたタイトル”NewWorldOnline”。
ログインした人々は戸惑った。
なぜなら、本当に、新世界だったから。
今までの世界とは違う。それがわかるからこその戸惑いだった。
しかし、人々は適応した。
操作方法はほとんど変わらず、新要素なども増えている。
世界が変わったのもそういう仕様であるなら仕方ないと適応していった。
しかし、サービス開始4か月が経った頃、”宵の明星”を名乗る匿名の書き込みが話題を呼んだ。
『”全世界ver.2”と騙った”新世界ver.1”というゲームについてどう思う?』
”宵の明星”を名乗る者によって立ち上げられたスレッド。
『みんなNewWorldOnlineどうよ。アカウント引継ぎした奴も、してない奴も、新規事前登録者も、事前登録してなかった奴も。私は別のゲームだと思うんだが』
『ver.2っていうなら、サービス内でver.1もできるようにしてくれたらいいと思わないか?』
そして、そのスレッド内で注目を受けたやりとりがある。
Kaname 『宵の明星を名乗るなんて、どういうつもりだ?』
宵の明星 『全世界といえば、宵の明星ギルマス消失事件だろ?名前は何だったか・・・。』
Kaname 『Mizukiだよ』
宵の明星 『ああ、嘘つき美月さんだった、思い出したよ。』
Kaname 『もういい。興味が失せた』
興味が失せたというメッセージの直後、Kanameは最後の書き込みをしてそのスレッドから消えた。
Kaname 『せっかくだから本題について俺の意見を言っておこうか。俺も新世界のサービス内で全世界ができるようになったらうれしいと思ってる。』
その後、Kaname以外のナインスターらしき書き込みが4件あり、全てが宵の明星の考えに対して賛同していたため、ゲームプレイヤー内では大きな話題となった。
黒騎士Kanameは翌日、ゲーム内でこのやりとりのKanameは自分だと認めた。
さらに、その後の4件の書き込みについても、それぞれ本人たちによる書き込みであることが確認され、宵の明星を名乗る何者かの発言でしかなかったはずの要望はナインスターの総意としてもゲーム内で話題となる。
それはいつの間にかプレイヤーの総意として世界管理機構に伝わるまでになっていた。
サービス開始からおよそ半年。
世界管理機構は全プレイヤーと、さらには去っていったプレイヤーたちに向けてメッセージを送信した。
『
件名:NewWorldOnlineにおけるAllWorldOnlineについて
NewWorldOnlineプレイヤーの皆様
移行後引退なされたプレイヤーの皆様
この度、NewWorldOnlineについて全世界ver.2という触れ込みでありながら、全世界要素が大幅に失われていることに関し、ユーザー様から多くの声が寄せられており、機構でも問題視する声が上がっております。
つきましては、今後、機構内でNewWorldOnlineとAllWorldOnlineの関係性について議論し、AllWorldOnlineの扱いにつきましても検討したいと考えております。
NewWorldOnline一周年のタイミングにて、この件について改めて発表させていただきますので今しばらくお待ちください。
また、引退されました皆さまにも、この件は登録されている連絡先にメッセージを送らせていただいております。
世界管理機構
』
こうして、リリース直後から様々な話題を呼んだ”新世界”は、プレイヤーだけでなく世界管理機構内でも”全世界ver.2”としての意義が改めて問われることとなり、現役プレイヤーはゲームをプレイしながらも一周年の発表に心を馳せ、引退したプレイヤーでさえ、機構の動向や発表を気にかけ、中には期待を込めてゲームプレイを再開するという者までもが現れた。
そして、時間はあっという間に過ぎ去っていく……。
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