第30話
冬休みが始まり、冬期講習が始まった。
わたしの最寄りの会場だった藤池大学附属高校に自転車で向かった。
「あ、みゃーちゃん! どうしたの?」
「
みゃーちゃんと一緒に教室に向かうけど、クラスが違っていたので別々の教室に向かった。
都立コースの教室には見知らぬ人ばっかりで、少しだけ不安になってきた。
「あ、
「あ、小夜ちゃん。おはよう~」
ロシアの血を引いていて、明るい茶髪に瞳をした感じだ。
「悠莉愛ちゃんはどうするの? 高校」
「え、あ~。私立の美野原高校、そこの国際交流コースを受けるつもり」
「そうなんだ、結構有名だね」
「国際交流コース、毎年めちゃくちゃ倍率が高いし、不安なんだけど。一応、都立も受けるつもりだから、一応冬期講習は都立のコースにしたんだ」
冬期講習では中学の内容を総復習する形で、かなり難しい問題もあった。
宿題もあったりして、ずっと
「小夜。大丈夫だった?」
「え? うん!」
家に帰ってからは、宿題をしていた。
永莉ちゃんにはずっと毎週水曜日に来てくれていたけど、向こうの色んな事情を考えて、 来年からは毎週土曜の夜に来ることになった。
「お姉ちゃん、お疲れ様」
「あ、
雪華はリハビリをがんばっている。
ケガをした直後はまるでこの世の終わりのような表情を浮かべていた。
でも、三年生になってから女子バスケ部のキャプテンとして復帰し、再び試合に出られるように、つらいリハビリに耐えてるんだ。
「膝の靭帯は不安定だけど、回復力が通常のリハビリよりもかなり早いらしいんだ」
「そうだね。転んでも、すぐに治ってたしね?」
雪華は前向きにいまの状況を受け止めている。
「いまはね、部員のみんなの研究することにしてるんだ」
「え?」
「もうすぐ、練習試合があってね。その対戦相手が強くて。みんなの苦手なところを補えるようなチームを作りたくて」
わたしは心のなかで思っていたことを言った。
「雪華って、絶対に指導者に向いてると思う」
一瞬だけ面を食らったような表情を浮かべたけど、すぐに照れ笑いして、
「そんなこと、ないよ! 昔から、好きなだけだし!」
と、言って部屋に行った。
指導者に向いてると思うんだけどな~。
わたしはリビングで勉強することにした。
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