桜の咲く頃に

須川  庚

プロローグ

 中学三年になった。

 わたしは志望校も決めていなかった。

 そのクラス替えのクラス表を見ていたけど、一人の名前にハッとしてしまった。

 ――櫻庭さくらば悠里ゆうり

 学年トップの同級生、絶対都立の進学校に合格できるレベルの超がつくほどの優等生。

 わたしの初めて好きになった人だ。

小夜さよ~。櫻庭と同じクラスでよかったね!」

「え……華乃かのとも! やめてよ!」

 わたしはそんななか、中学最後の一年間が 始まった。

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