第35話 隠し攻略対象には闇がある?
「オーズ伯爵家の使用人について、何か知らないか、だと?」
一人で考えてても、煮詰まってしまいそう。そこで私は正直に、ジェフリー達にも相談する事にした。
「俺は男の使用人には全く興味がないな。女の使用人であれば、容姿のいいものは興味を持ったが……あ、い、今はシエル一筋だぞ!?」
まず最初にそう言ったのはジェフリー。まぁ、あなたはそうでしょうね。聞いた私が馬鹿だったわ。
「俺はまだ転校してきて間もないから、個々の人物像についてはよく解らねえな……
ディアスも、これはまぁ当然の反応よね。特に今まで、私以外と接してこなかったんだし……。
後はロイドだけだけど……ロイドだし、あんまり期待は……。
「俺、よく知ってるぜ。オーズ伯爵家のヨシュアだろ?」
「え!?」
……出来ないと思ったところにそう言われ、私は思わず裏返った声を上げてしまう。え、嘘、あなたヨシュアと知り合いなの!?
「ほほほ、本当なの!?」
「ああ、だってアイツ、俺のダチだし」
そうなの!? そ、そういえばゲーム中ではヨシュアの横の繋がりって殆ど明かされなかったけど……。
でもロイドの設定は確か、「男女共に友人が多い」だったわね……。それならヨシュアと友達でもおかしくはないか。
「そ、それで、そのヨシュアってどんな人なの!?」
「んー、正直アイツ、あんま掴み所がないんだよなぁ。色んな事知ってるけど、どこから情報を仕入れてるかは絶対教えてくんねーしさ。あ、でも……」
「でも?」
そこでロイドが、一旦言葉を切る。そして要領を得ないような顔で、ポリポリと頬を掻いた。
「アイツ、時々変な事言うんだよ。『僕がその気になれば、この学園を牛耳る事だって不可能じゃない』って……」
「!!」
飛び出してきた穏やかじゃない言葉に、私やジェフリー達の間に緊張が走る。確かにヨシュアは、なかなか本音を見せないミステリアスなところが魅力のキャラだったけど……。
でも学園を牛耳るなんて、明らかに穏やかじゃない。ヨシュアには、
「……ジェフリー、ロイド、ディアス」
私は真剣な顔になり、その場にいる全員に言った。
「シエルが危ないかもしれないの。……ヨシュアの事、徹底的に調べ上げるわよ!」
その宣言に、反対する者は誰もいなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます