地球はひとつ

ある☆ふぁるど

地球はひとつ

 ある日、地球に異星人が攻めてきた。地球人は、すぐさま地球防衛隊を編成し、地球における科学技術の粋を集めて、これと対抗した。

 戦いが始まった。しかし、戦力は明らかに異星人たちのほうが勝っていた。異星人たちの技術の方が進んでいたのである。地球人は次第に追いつめられていった。

 長い長い戦いの末、地球防衛軍の必死の抵抗もむなしく、地球は異星人たちに占領された。生き残ったわずかな人々のみが、宇宙船で地球を脱出した。

「みんな! あきらめるな!」

 宇宙船の船長が叫んだ。人々は、はっとして彼の方を見た。

「我々は敗北したが、地球はまだなくなったわけではない!」

 宇宙船の窓の外はるかに、青く輝く美しい惑星が見えた。

「我々は地球人だ。そして地球がある限り、我々にはあの星で暮らす権利があるのだ。たとえ、今は異星人に占領されていても・・・」

 人々の中から、すすり泣きが聞こえた。

「いつか、地球を奴らの手から取り戻そう! 地球は我々の星だ!」

 人々の目に、希望の光が宿った。

 そうだ! いつかきっと、地球を異星人の手から取り戻すのだ!

 そして・・・時は流れた。


 今、地球は昔と変わらぬ姿のまま、そこにあった。

 かつての地球人の子孫たちは、その星が自分たちにとってどんな意味を持つのか知らなかったが、ただ祖先から「地球をいつかきっと我々の手に・・・」という教えを伝え聞いていたのだった。彼らはその教えを守り、科学を発展させ、技術を向上させた。

「あの星は、我々の星だ! 攻撃開始っ!」

 長い戦いの末、彼らは勝利をおさめた。地球に住む人間たちのほとんどを滅ぼし、生き残りも宇宙へと追い払った。

 地球を取り戻した彼らは、まず新しい大地を耕すことから始めた。戦いの後の大地は荒れ果てていたし、彼らの科学技術も戦いの中ですっかり後退していたからである。彼らは、新しい文明を最初から築かねばならなかった。

 そして、一方そのころ、地球から追い払われた人間たちは、宇宙船の中で船長の演説を聞いていた。

「みんな! あきらめるな! 我々は敗北したが、地球はまだなくなったわけではない! 我々は地球人だ! そして地球がある限り、我々にはあの星で暮らす権利があるのだ! いつか地球を我々の手に取り戻そう! 地球は我々の星だ!」

 長い間、地球で暮らしていた彼らは、地球を自分たちの故郷だと思い込んでいたのである。

 幾世紀かが過ぎた。


 ある日、地球に異星人が攻めてきた。 おしまい。

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