言葉
リオね
第1話
私は声が出なかった。癌を治す代わりに声を失ったのだ。話すのが大好きだった私からすれば苦痛だったが、生きることを選んだ。
生きることの代償に伝えたいことを伝えることが出来きなくなった。声が出る人が羨ましい。そんな感情をずっと持っていた。声が出て、普通の生活を送っている人が妬ましいと。
「うちらの生活って平凡でつまんないよね〜。ぶっちゃけこんな人生だったらない方が良くね?」
近くにいる女の子たちがそう話していた。私からすれば声が出て、友達と‘普通’に話せるだけでも羨ましいのに。
「あーあ。生まれ変わりたいな〜。美人になりたいー」
女の子たちはずっと不快な言葉を綴っていた。私がなくした声で不愉快な言葉が紡がれていく。どこかで我慢の限界が来てしまった。
私の中に黒い渦が出来た。声が出ることに感謝をせず、私の憧れて喉から手が出るほど欲している言葉を使って生きていることを幸せとも捕えない人達がいるなんて。
彼女の中で今までに感じたことのない殺意が沸いた。今までこと無かったのに。
私が得られなかった2つ、ひとつしか選択することが出来ないものを何もせずとも持っている女の子たちが許せなかった。
そう。これが全ての始まりだった。
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