第103話 エロは永久不滅
暗い部屋の中で眼鏡少年の圭人は一人で机の上の壁掛けテレビを見ていた。
こちらの世界の壁掛けテレビは完全にネットテレビが主流である。
広告収入が主な無料テレビだが、テレビ局が一度作った番組は更新日時が決まっているだけで永遠に見れるようになっている。
こうすることで一度優良なコンテンツを作ると少額ではあるが無限に収入が入ってくるので非常に経営が安定するのだ。
なにしろ、見る人が何十億人といるので人によっては代表作が一作だけのタレントさんがそれで一生食っていけるようにひたすら収入が入り続ける場合もある。
もっとも作った番組の大半が駄作で容量の関係で即消えるような内容ではあるのだが、一度当たれば大きいのでタレント業は変わらず人気である。
中にはタタラお父さんが好きな戦記物の映画ばかり配信する局やバラエティばっかりやる局もあるので、非常に多彩な番組を楽しむことが出来る。
そんなテレビの中では当然、エッチな番組だけを配信し続けるテレビもあり、青少年が一番お世話になっている。
この世界ではエッチな番組を見れるのは高等生(中学生)以上である。
一見すると何て真似をしてるんだと思われると思うが、こういった番組を作る局では「エッチに関するニュース」も配信しているので性病などの蔓延対策になっていると同時に性教育をいちいち学校でしなくて済むという都合の良い側面もあるのだ。
実際に圭人はこちらに来て体育はあっても保健は無く、道徳の時間に一回だけ「このサイトで勉強して試験をやれ」と言われただけでそれ以降一切ない。
その試験というのも「こういった危険がある」とか「情報収集はこのサイトでやれ」とか危険情報の収集方法が主だった。ちなみに圭人はそのテストだけ満点を取った。
圭人が見ているのはそういった局の一つ「巨乳天国」というサイトである。
見た目はひまわり動画やYouTubeのようなサイトデザインで真ん中の画面に大きく出ている。
耳にはヘッドフォンをつけて、興奮気味にテレビを見る圭人。
『ハメっ♡ハメっ♡』
端末の中では裸のお姉さんが嬉しそうに腰を振っていた。
ちなみに「ハメ」とは日本語の「イク」とほぼ同義である。
『ムゥン♪』
腰振りながら熱いべろちゅーをするお姉さん。
圭人好みの巨乳で青人女性だ。
映像はクライマックスへと向かい、お姉さんの腰振りがマックスになる。
『ハメ~~~~~~♡♡♡』
体を弓なりくねらせてそのまま相手の男優に倒れ込むお姉さん。
「……ふぅ……」
何かすっきりした顔になる圭人。
賢者になった彼は端末のエロビデオを消してヘッドフォンを取る。
「すっきりしたか?」
「ああ、こいつはAだな……」
横合いから突然現れた声にこたえようとしたところで圭人は凍り付く。
横を見てみると全身真っ白な体で白いポンチョを着た小太りの小人が居た。
悪戯好きの妖精「タルキン」のガスカルドである。
「……どっから見てた?」
若干怒り気味に圭人は尋ねた。
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