2022年2月
チルドレン
今回も結構読了したのでは?
2162p/6冊+オモコロ本
*チルドレン/伊坂幸太郎
トリックスターの陣内を中心とした、他者目線の物語。過去と現在を行ったり来たりすることで、短編のような長編を見事につくりあげている。ミステリーとチップスのあいだのような感じです。前のお話で、少しだけ語られてスルーされていた自分の正体をバラさずにどうやって父親を殴れたのか?など、少しずつ埋められていて、おもしろいなとおもいました。
続編があるようなので、期待。
*ラヴレター/岩井俊二
死んだら恋人に冗談のつもりで手紙を送ったら、返信が来てしまった、というお話。岩井作品らしく、よく言えば奇跡的な(悪くいえばご都合主義的な)感じがよく出ていた。
複数クラスがあるのなら、同じ名前の人間を同じクラスにはしないと思うぜってすごくおもいました。あと、同姓同名なら、くんちゃん呼びやAB呼び、あだ名呼びなどニックネームを変えるはずだが、そこら辺の言及がとぼしいところ。
死んだ藤井のことを知ろうとするほど、博子にとっては知りたくなかった事実がいっぱい出てきて、最終的には感じの悪い秋葉とくっつかなければならないことが示唆されていて、正直胸糞わるい。藤井のことをデポった秋葉と。
初恋の相手が示唆される女藤井が救われるようなエンドであったが、博子目線ならいやだわ。こういうの、処女信仰というか、初恋信仰みたいで、キー作品ぽくて萎える。作者個人が囚われている部分が垣間見えて、うっ、ってなった。
ストーリーとしては大変面白かったが、オチが嫌でした。母校で藤井樹ゲームて。転校や死して美化されたのであって、学校の七不思議化してますやん。
陸上部で足を怪我して引退するところと絵に走るくだりの間が飛んでいて、ちょっとね。女藤井のエピソードがテストの落書きと、後日の図書カードの落書きしかないから、なぜ画家になったのかとか、あと山登りとかうーんて感じです。せめて、最初に義母がアルバム見ながらエピソードとか語れたのでは? あと主は途中から消えているが、それでいいのか?
展開はおもしろいので、文章書く参考にはなるなと思いました。
*グラスホッパー/伊坂幸太郎
ハードボイルド作品。他の作品と比べて、結構グロ描写が細かく描かれている。寺原長男の死に関して、押し屋を探る復讐者、自殺屋、アサシンの3人のお話。最後の最後まで、どういう展開になるのか、ハラハラした。ただ、相変わらずですが、150ページ読んだところで、どうやら三つのお話はつながっていそうだぞ、と展開していくので、そこまで読むのが大変でした。いや、伊坂作品にとってはかなり早いほうだとおもいますが。
自殺屋の”鯨”が魅力的でもう少し彼のお話を読んで見たい気がしたが、以降の作品に出演しているかは謎。鯨の死は示唆されているけれど、最終的な描写はないから、案外けろっとどこかで現れないかなと期待している。
どうやら、伊坂幸太郎の代表作ゴールデンスランバーとリンクしているようなので、期待して次の作品を粛々と読んで行こうと思う。
*死神の精度/伊坂幸太郎
死神千葉視点での6人の人生を垣間見る作品。最後のお話を読むと、それぞれの短編がどこかでつながっていたのだなと理解できて、とてもよかったです。どことなくら短編ミステリーになっていて、各話の終わりにはなるほど展開が用意されていて読み応えがありよかった。伊坂作品のわりにネタバラシが早目で、比較的読みやすかったのではないかとおもいます。
千葉のお話は後の作品で長編として出てくるみたいなので、ちょっと期待しております。
*魔王/伊坂幸太郎
能力者バトル×政治モノ。魔王と呼吸の二編からなる。野党第二党未来党党首犬養の独裁政権誕生に至る前の選挙から憲法改正の国民投票まで。
特殊能力を自覚する安藤兄弟の実験過程もおもしろいところ。潤也の特殊能力が明確には開示されていないが運に関わること以外に、兄の能力の上位互換(遠隔でも発言操作可能?)が示唆される箇所があり、気になった。結構もやもやする終わりかただったが、以降の作品モダンタイムスでも同じ世界線が描かれているようなので、潤也の能力で儲けた金がどうなったのかは後々判明するのであろう。また、魔王で犬養を崇めるように煽動したと示唆されるマスターが、呼吸ではいなくなったことが示唆されるが、その経緯も明らかになるのではと期待している。
時代背景としては結構前の作品だが、リアルではそのあと小泉純一郎の郵政改革や安倍長期政権につながっていて、解説ではその未来を予言したのではないかといわれているが、どうだろうか。むしろ、政権交代で起こった悲惨なことや、メディアによる情報操作・視聴者誘導のほうに近い気がしている。
自分で考えることをやめて、世間の流れやおもしろさで投票してはならない、みたいな。結果的には、安藤兄弟のように、政治を考え抜いた上で投票したり、むしろ俗世間から遠ざかった上で、本質を見極めて投票することが良いのではないかということが、暗喩されていたように思える。とにもかくにも空気に飲まれず、自分で考えて投票しましょう、ってこったね。
「目の前の貧困があると環境とか言ってられないし、環境問題なんて暇な人が時間を潰すための贅沢品だ」みたいな過激な示唆がありまして、SDGs信仰勢にいってやりたいですな。SDGsの一つ目は貧困の解決であると。それぞれの問題が違う中、政治ってどう進めていけばいいのかなって、ちょっと考えちゃいました。
*砂漠/伊坂幸太郎
全体で500ページ近くあって、9割以上読んだところで本作の仕掛けが判明する、というもの。
ネタバレ先に読んでいたので、ふーんて感じでしたが、この仕掛けは別に読み物として重要なものでもないため、初見でもあんまり刺さると言うわけではなさそうだなと思いました。
ちょうど麻雀を少しかじったところなので、麻雀の展開や話がまだ理解できてよかったです。
全体的に青春ものですが、半分くらいで結構衝撃展開でしたが、残り半分も青春して走るみたいな感じでよかったです。大学時代わちゃわちゃできたのを、社会という砂漠から垣間見えることができてよかったです。とはあえ、いまの砂漠をどう生きていくか、前を向いていくのが大事かなと改めておもいました。
ちなみに、砂漠に雪を降らせる、が現実にも起きたそうです。伊坂幸太郎すごいね。
OMOBON1/オモコロ
オモコロの同人本。瞬発力がすごいオモコロ、いいね。
文章の人、マンガの人、写真の人。それぞれが自分の個性を最大限に出している感じがしてよいですね。
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