テンプレアンチが集まって何ができる?

WTF

第0話 槍の女王の前日譚 chapter1

マサムネたちが召喚される数百年前、

ジョセフィーヌ女王は若くして即位後、先代の国王代理に内政を任せ、冒険者となった。


「起きてミリム、レベル3の発令よ」

連日の徹夜、夜通しの戦闘、既に満身創痍だった、異世界人の言うブラック企業のようだった。

「あと少しだけ寝させて」そう言って二度寝した。

「昨日のディザスター級は私も死を悟った、だから疲れているのはわかる、だけど、」

「全員のレベルならディザスター級はいけるけど、相手が悪すぎた」力不足での夜通し戦闘。

「あんなに防御力の高い魔物はこの書物でも見たことない」ララは本を読んでいる、

「もう、2人ともうるさい」

「ミリムも冒険者でしよ、災厄に対処するのは義務だって知ってるでしよ、それに、女王ならみんなを守らないと」

「わかった、行こう」

ディザスター級の翌日の早朝にレベル3の発令、強き者に休みは許されない。

汝、我らに休息を、

睡眠不足な上に無理矢理起こされて少し不機嫌、ブツブツと呟きながら装備を整えた。

少しの休息、激しい戦闘、長い戦闘、こんなに過酷だとは聞いてない。

エルファルト王国は建国当初より女王は男性の代理を立て、幼い頃から冒険者となり世界を知り、強くなる、これがこの国の女王の運命、いや、責務というもの、先代より与えられた使命は国民の安全を保証すること。


そんな、冒険者を始めたのは200年前のA.C1166年7月29日、月末の暑い、真夏日だった、冒険者登録のためギルドに向かうと、ちょうど、自由貿易市国の首相のエリザベス様が来ていた。

「あらぁ~ジョセフィーヌじゃないの!なんでここに」親しげに話してくださる

「あっ、エリザベス様、冒険者登録したくて来ました」

「なら、冒険者名は考えたの?」

「メルティナ=ミリムにしました」

可愛らしい名前にして、実はかなり強い、個性的過ぎてすぐに覚えてもらえると思った、そんなに深くは考えていなかった、

「ステキな名前ね、これから冒険者になるんだったら、武器適正を調べてみて」

「武器適正とはなんですか?」

「適正のある武器系統で戦うと経験値が多くもらえます、でもジョセフィーヌは私と同じハイエルフ系だから、槍になると思う」

上位種ハイエルフ、中位種エルフ、下位種ハーフエルフとなる、ハイエルフである私の先祖は国を興した、今でこそ色々な事ができる世の中になったものの、昔は、建国当初は[堕落したハイエルフ]とまで言われた。

「選べないのは仕方ないですが、確認に行ってきます」

「冒険、気をつけて、またどこかで会いましょう」

とても心配してくれて、いろいろ教えてくれる、昔からエリザベス様はとてもいい人

それから暫くして武器適正の確認が終わった、適正はエリザベス様の仰る通り、槍と弓まで付いてきた。

ついでにレベルがわかった。

これでは国民は守れない。

「あのー、レベルってどうやったら上がるんですか?」

「ダンジョンや森などで戦えば、経験値がもらえます、一定数ごとにレベルが上がります。」

やりがいはあるけど、すごく時間がかかる

強い魔物を狩ればたくさんもらえるのだろう

どうすれば良いのか、、、

「一人で戦うより、冒険者集めてパーティー作れば、より、効率的に稼げますよ」

いいことを聞いた、その冒険者はとても親切にいろいろなことを教えてくれた。冒険者ってやっぱりすごくいい人、あの人もそう思えた。

パーティーメンバーを探すために、ギルドの食堂に行くと、冒険者たちでとても活気がある、そんな場所の隅の方に同じくらいの歳の人が1人で座っていたのでさっそく声をかける

「はじめまして、私はミリムと申します。今、パーティーメンバーを募集してまして、よろしければお話をさせていただきたいのですが、」

その女の子は、今にも泣き出しそうな顔で、こちらを見上げ、またうなだれた。それから小さな声で呟いた

「パーティーを作りたくて、ここに来たのにメンバーは出来ないし、入りたくても戦鎚だがらと誰もパーティーに入れてくれないし、」

冒険者にもそれなりの理由があるのだろう。

「私のパーティーでよければ喜んで歓迎します」

突然、話しかけてパーティーに入らないかと、言うのは流石に怪しと思われる。

「本当にいいんですか?ご覧の通り戦鎚ですよ」

信じてくれてる、戦鎚を使う人がパーティーに入りたいと言っているのに拒否するのはありえないし、私のところに入ってくれるなら、本当に助かる

「もちろん歓迎しますよ」

「ありがとうございます。私はミル=クーリアと申します、よろしくおねがいします。」

「私はメルティナ=ミリムと言います。よろしくおねがいします」

とりあえず2人になったけど、あと五人は集めたいから、掲示板に募集の張り紙をした。

「これからどうするのですか?」

「ダンジョンでレベルを上げる、でもその前にパーティーなら敬語とか無しで話してほしい、友達になることを強制するわけでもない、ただ、お互い、気を使わず楽しくいたい」


それからレベル上げに2人でダンジョンに行った、一日中第1層に居てたくさん稼げた。

どんどんレベルが上がっている気がした。

それからギルドに戻ってレベルを確認すると、3レベル上がっていた。

寝るところを探すと、ギルド直営の宿があった。

ミルも私と同じ状況なのはなんとなく感じる。

人生初めての宿、人生で初めて同等に接してくれる仲間、楽しすぎた、疲れているのに、眠気が吹っ飛んでいつまでもミルと、話していた。

夜が明けようとしていた、となり部屋からのイビキであまり寝付けない。


案の定、翌日は昼過ぎまで寝ていた

「ミリム起きて、昼過ぎたよ」

朝ごはんが、既に昼ごはんとなっていた頃、突然、扉を叩く音がする、恐る恐る開けると宿の管理人が居た。

「レベル5の発令です。冒険者の皆様は装備を整えて、至急、ギルドに集まってください」

街はギルドによる号鐘、避難する住民、戦いに備える冒険者たちでものすごいことになっていた。

急いで装備を整えてギルドに向かうと、エリザベス様が居た


「冒険者の皆様、生き残った生命のため、戦うときがきました、運命は皆様の戦いによって決まります。

皆の為、奮励努力を怠ることのないよう願います。

ジャンヌ様のご加護を、我らと共にあれ」

冒険者たちによって、埋め尽くされたギルド前の広場エリザベス様の声だけが聞こえる

「幸運を」

他の冒険者たちは出陣して行った、ものすごい数に

圧倒され、私たちは動けなかった。

引いていく群衆の波の先にエリザベス様が見えた。

後を追う

「エリザベス様!」

「あら、ジョセ、、ミリムじゃない」

「本当にこの日が来るとは思ってませんでした。

今日、死ぬかもしれない、本当に怖いです」

「ミリムなら大丈夫、気をつけて行ってらっしゃい、すぐに強くなれるよ」

「エリザベス様はどうされるんですか」

「私はレベル5の直後に同じ規模が来るかもしれないのでそちらに備えています。

一人でレベル5に二度も対応するには無理がありますから」

エリザベス様は強くて優しい、私もエリザベス様のようになる。

そう誓った。

「エリザベス様ってやっぱり強いんですね、私もエリザベス様みたいに強くなりたい」

「ミリムならなれる、私はそう信じてる。

エリザベス様に励まされ勇気が出た。

それから冒険者たちの、後に付いていった。

王国の騎士団もいる。

ネックレスのおかげで、騎士団には私だとわからない。国を守ろうとする騎士団に私の存在がバレたら強くなる為の戦いの邪魔になる。


そして戦場に着くと雨が降り始めた。

先発隊は既にいない、蹂躙された跡だけが残る

暫くすると、雨が赤くなり、赤い水たまりが出来る、嫌な血の匂いに混じり肉片が落ちてくる。

「これは酷い、空から血が降ってくるなんて、地を這う魔物の芸当ではない」

「恐らく白鯨の出現」

「白鯨は勇者によって封印されたはず」

周囲を警戒する冒険者、真っ赤に染まった一行、とても生存者がいるなんて思えなかった。

「この人、まだ息がある」ミルが叫ぶ

首から大量出血、腹は切り裂かれて臓物が飛び出てる、その女の子の首から息が漏れて血が噴き出る、絶望的な状況だった、ミルは応急処置を、最善を尽くした、私が駆け付けた時には、その女の子は息を引き取っていた。こんなに無残な姿で、こんなにも悲しみに溢れた顔で逝った。

絶対に助ける、目の前で人を死なせるのはこれが最後。

そう誓った。

それから詠唱を始めた。

「魔力の権威たるエルファルト女王が命ずる、森羅万象の理を超え、頂点に君臨する者としての力を顕現し、かの者を蘇生せよ、スーパーファストリザレクション」

「力及ばず、また一人死なせてしまうところでした。もう二度とこんな悲しいことは繰り返さない」

落ち込むミル、普通の回復魔法ではとても間に合わない。

魂と肉体、その両方が欠けてしまえば、蘇生することは不可能、この女の子は幸いにも肉体が残っていたため、この女の子を死後の世界から引き戻すことができた。でもこの女の子は体が元に戻っても、まだ気絶している。しばらく安静にしなければならない。

詠唱を行ったことで本当の私が知られてしまった。

私はミルに黙っていた、女王であること、ハイエルフとして高等回復魔法が使えることを。でも女の子を助けれたから後悔はない。

ミルは驚きながらも口を開いた。

「ミリムってやっぱり女王だったんだ、そのネックレスで分かった

私もそのネックレス持ってるよ。

私はメルクーリア王国の女王、黙っててごめん」

二人とも偶然にも同じネックレスを持っていた。

同じ状況だったんだと、その時初めて知った。

「ふはぁ、生きてる」生き返って、初めての言葉。

女の子が目を覚ました、初めて助けることができた人。

“あの人”は助けれなかった、今でもあの人の姿が今でも夢に出てくる。

「助けていただきありがとうございます」

生き返った女の子から話を聞くとやはり白鯨の仕業だった、この女の子も私たちと同じく冒険者なりたての初心者だった、この女の子は先発隊として来たが白鯨に襲われて先発隊諸共、パーティーメンバーは飲み込まれたそうだ。

この女の子は「白鯨に飲み込まる直前にパーティーの年上冒険者が『おまえは生きろ』って言って身代わりになった。それで自分は白鯨の外に放り出された」と言っている。

冒険者の決して見返りを求めない献身的な戦い、自分を犠牲にしてでも仲間を救う行ない。あの人と同じ状況だった。

「助けていただいたこの命、再度尽きるまで、あなたと共に、ララは戦います」

私の魔法で生き返ったものの、この魔法で起こるあることに気づいていなかった。

「一緒に戦おう、同じ悲劇を繰り返さないよう、同じ悲劇の人を増やさないためにも」

女の子の名はララ、しばらく共闘することになった。『おまえは生きろ』それは冒険者の遺志だったのかもしれない。ララは絶対に死なせない。
















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