junior
昔々、かいぶつに通っていました。
錆びた鉄筋とリノリウムのかいぶつ
廊下は食道で 教室は胃
餌は私たち
美味しいところを消化して
どこへ連れていくのだろう
(たぶん、とてもつまらない所だ)
前を向く 文字を写す
毎日毎日毎にちまいにち、
それが時々たまらなくなって
逃げるように目をそらす
雲の膨らみ 空の温度 目が合ったこと
先生の教えなんかひとつも思い出せず
逃げて見たものだけが美しく芽吹く胸
階段のいちばん高いところから
突き落としたいヤツがたくさんいた
炉の熱のように
少しずつ冷めながら指先に遺るかげ
白く走り 黒く膨らみ
赤く病んで 青く澄んだ
消化されて浮き出たこころが
溶け合いながら注がれたうなじのひかり
私たちは消化される
灰色のかいぶつの体内で
このままではおしまいだと
それだけを知っていた
時おり狂ったようにガラスを蹴破る
ライオンみたいな髪の あの子の気持ちが
菌のように伝播して ふしぎ
それでも私たち ここにいるのね
起立、着席、礼。
先生、心臓を亡くしました。
そこから飛び降りてもいいですか?
「校則違反です」
散らばる骨に 白の黒の赤の青の
熱をともして 生きていた
(死にながらね)
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