第14話◇詩穂からのメール⑦◇
◇慶ちゃん、あっという間に、もう週の半分が過ぎてしまったよ。
まだ、繋いでいた手の感触と温もりを覚えているのに時間だけがどんどん遠ざかっていくのは切ないね。
わたしの方が、いつも少し早めに家に帰りついて、でもその間も、お互いに合間合間に今、ここだよってメールをしあって。
わたしが無事に帰り着くと、慶ちゃんは安心して(今回は特に体調で心配かけちゃったね)
少し遅れて慶ちゃんが帰り着くと、わたしも安心して。
それから、電話して声を聴くのが、いつものパターン(笑)
そうして、二人で安心してから、寂しくなるの。どうして今、あの温もりが側にないんだろうって。
今回もスマホで写真を撮ったから、添付ファイルで送るね。
ふふふ、一緒に食べたラーメンだとか、濃い牛乳のソフトクリームとか(濃い味なのに、あと口サッパリが美味しかったね)
特別な物じゃなくても一緒に食べると、こんなに美味しく感じるんだねえ。
それから、繋いだ手の写真と二人一緒に撮った写真。
これは恒例になってるもんね。
繋いだ手の写真は加工して(そのままだと恥ずかしいから)待ち受けにしてる。
だから、わたしの待ち受けは慶ちゃんと逢う度に変わるの(笑)
二人の写真は専用フォルダに。
随分、溜まったね。
春夏秋冬、わたし達も歳を重ねてきたね。
照れてる慶ちゃんが目に浮かぶけど、逢ってから暫くのメールが感傷的になってしまうのは許してね。
以前よりも、お互いの都合で逢える間隔があいてしまうから、どうしても寂しくなっちゃうの。
だけど、これは凄いことだなぁって思うんだけどね。
この年月、電話かメールを慶ちゃんが毎日途切れずに必ずしてくれているということ。
このおかげで、いつも慶ちゃんを身近に感じられるし、寂しさや不安が少なくて済んでるんだと思うんだ。
付き合って最初のうちなら、こまめに連絡してくれる人は結構いるかもしれない。
1年でも、まだいるかもしれない。
でも、2年、3年って経っても、こんな風に変わらないで毎日連絡を絶やさずに、細やかに気遣って貰える。
これは何よりも嬉しいことだよ。
感謝してる。
絶対、も、永遠、もないかもしれないけど、今、此処までのわたし達は確かに存在しているから。
だから、今日もありがとう。
慶ちゃんに出逢えて良かった。
わたしはオバサンだけど、幾つになっても好きなひとには、好きだよ、ありがとうって伝えたいって思う。
言えなかったって後悔したくないんだ。
今夜も寒いから暖かくね。
夢で逢えたらいいな。
そしたらまた、ぎゅうううってしてね。
おやすみなさい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます