02 -箱庭の王-



「やり直した世界で君に恋をした。それが許されぬ事だと分かっていたとしても」


 争いの果てに滅んだ未来の世界から過去へやって来た王は、一人の少女に恋をする。

 千年樹の娘。

 幻想のように美しい森にする少女に心奪われた王は、その地が永遠に安息の地である事を祈った。


「歴史をもう一度繰り返してはいけない」


 王は歴史を新たに紡ぎ直す。


 争いの道具を取り合げ、違えていた手を繋ぎ合わせ、分かたれていた人々を一つにし、陰る表情には笑顔の花を添え。


 王の行いに感銘を受けたのか、いつしか専念樹の娘は共に歩む様になっていた。


 二人はそう時間をかけずとも、互いを愛し合うようになっていた。


 けれど、世界は繰り返し始める。


「このままでは再び世界が滅んでしまうだろう」


 けれど、一度付いてしまった火は容易には消せない。


 刻一刻と燃え広がり続ける火を見て、病んだ王は箱庭を作り始めた。


「せめて彼女だけは安息の地で笑っていてほしい……」


 決して誰にも壊せない。

 完璧な箱庭を。


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