02 -緑の森の少女-



 少女は二人の少年と出会った。

 一人は冬の地から訪れた青の瞳の少年。

 もう一人は夏の地から赤の瞳の少年。


 千年樹の森で一人きりで過ごしていた少女は外の世界を知らなかった。

 ゆえに、気まぐれに訪れたであろう彼らに頼み込む。


「私も一緒に連れて行って」


 森の外には一体何があるのだろう。

 どんな人達がいるのだろうか。


 少女の世界は、とっくの昔に亡くなってしまった母親との思い出と、千年生き続けるとても長生きな樹で閉じられてたまま。


 だから、扉に手をかけた。


 寄り添う者も、子守唄を歌ってくれる者もいない独りきりの夜に、さよならを告げるために。


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