03 -ディストピア・バッシュ-



 夏声の地


 生を定められた世界。

 命燃やし続ける事を強いられた世界。


 死ぬことを忘れ、眠る事を取り上げられた人々が住まう地があった。


 夏の暑さに、燃える様な炎に炙られるその地の名前はバッシュ。


 理想郷と謳われるには程遠い幻想、ディストピア。


 そんな世界に、、疑問を抱いた二人がいた。


 彼等は共に生まれ、共に育ち、多くの苦楽を共にしてきた。


 燃える火の世界の中から、スクラップの山から見つけ出した火の雛鳥を守り、育み。


 二人と一匹。


 充実した小さな理想境に生き続けていた。


 けれど、そんな世界も長くは続かない。


 なぜ、自分達の世界は燃え続け散るのか。

 なぜ、燃えずの世界に出られないのか。


 疑問を抱いた彼らは、根絶やされる。

 眠れる不死鳥の炎によって。


 子供達は消された。

 最後に聞いた言葉は、罪。押し付けられたのは大罪人の烙印。


 いなくなった事にされた彼らは過酷な旅路を進む。

 二人が倒れようとも、どちらか一人が倒れようとも。


 世界の外を、知る為に。


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