02 境界



 ――果たせなかった約束があった


 ――命が燃え尽きて 手が繋げない


 ――昨日までの笑顔 消えてしまったから


「ねぇ、世界の外を見に行こう」

「私達の知らない 果てがどこかにあるんだって」


 超えていく境界 踏み越えて

 優しさを置き去りにして 強さを手に するために

 賭けるビルの隙間 雑踏 そこの

 覗き見る闇と 手招きする道化に 影を重ねていく


 遠く立つ 標識とガードレール

 踏み越えたここに 必要なくて


 超えていく境界 飛び越えて

 戻れずに 戻れないなら 戻れはしないと進むだけ

 途切れた接点 敗れた日常そんな

 世界忘れて踏み越えていく


 遠く立つ 標識とガードレール

 踏み越えたここに 必要なくて


 ――生まれ育った世界が 虚構だと 偽物だと


 ――真実を探す為に 約束を果たす為に


 ――常識の裏に 見入られて戻れなくなったとしても


「行くよ。お前の分まで。世界の外側へ、果ての果てまで」


「行ってきます。さようなら」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る