キャラバンサロンの変化、メロの混乱
325 フィオナとライラ、大通りの飲み物屋にて
メロの国の大通りには、若者に人気のある飲食店がいくつもある。
昼下がりには、果物を中心としたデザートを中心に販売している店が、若い女性達で賑わっている風景がよく見られた。
その中の一つである、果物をすりおろした飲み物が人気のお店。
その店の外には、大きなパラソルがいくつか開かれて、日陰となった場所に丸テーブルがいくつか設置されているところに、フィオナとライラはいた。
――カランカラン……。
「……んっ、あ~、飲み終わっちゃった」
飲み物を飲み干したライラが言った。コップの中に残った氷を、細いガラス棒でくるくる回した。
「おかわり、もらっちゃおっかな~」
「ダメよ、ライラ」
フィオナが制止した。
「太るわよ」
「うぐっ!」
「あなた、最近、ラインが分かりづらいのを着るようになったでしょ」
「うぐぐっ!」
「ウフフ。私が、気づかないとでも、思ったの?」
「む~、むしろ、なんでアンタは太らないのよ~」
ライラはだぼっとしたタイプの、エレガントな模様の服を着ていて、対してフィオナは、相変わらず胸当てと腰巻きだけで、露出度高めだった。
「努力しているからに決まってるじゃない」
「えぇ~!」
話していると、周りが、2人に視線を向けた。
「見て……ウテナさんのサロンの人たちよ」
「ホントだ……フィオナ隊長と、ライラ隊長……」
「フィオナ隊長、ホントにセクシー……」
「ライラ隊長、かっこいい……」
周りの、主に女性たちのささやく声が聞こえてくる。
フィオナは笑顔になって、ライラを見た。
「ほらね、みんなからも、見られてるわよ」
「くぅぅ……」
――ガラガラガラ……!
話していると、門のほうから、台車が騒がしく運ばれてくる音が聞こえた。
「おい!大丈夫か!?」
台車の隣で並走しているキャラバンの一人が、大声を出している。
台車の上には、キャラバンと思われる若者が仰向けになっていた。どこか痛いのか、顔を歪めている。
「早く医療所へ運んでくれ!」
「分かってる!」
――ガラガラガラ……!
そのまま、台車はフィオナとライラの前を通りすぎていった。
「あららら」
ライラが目線で台車を追った。
「交易中に、深手を負ったみたいね」
フィオナが言った。
「あの感じ、盗賊にでも襲われたとか?どちらにしろ、交易に失敗しちゃったんだろうな~」
「どこの交易に行ってきたのかしらね?」
「さあね。てか、この国でキャラバンが増えたのはいいけどさ~、」
するとライラが、ガラス棒で溶けつつある氷をくるくる回しながら言った。
「キャラバンって、フツーに考えて、国の外出て危険に身をさらすんだから、そんな簡単に、できるような仕事じゃないわよね」
「まあ、そうね」
「ライラの言う通りだね」
2人の声に、男の声が混じった。
「フェン、お疲れ」
「やあ!」
フィオナとライラの前に、フェンが立っていた。
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