第15話 竜王の巣へ

 それから3日ほど旅をして、トルケスタンにたどり着いた。

 古風な町で建物は歴史を感じさせる。


「とりあえず、この町で竜王の巣の場所を聞くかー」


 俺は竜王の巣の場所の聞き込みを開始する。

 ミナ、レミ、アイシャの3人は手伝ってくれた。意外と使えるじゃないかあいつら。

 分かれて聞き込みをする事にした。ただ、離れると面倒なのでそこまで離れずにそれぞれ聞き込みをする。

 メオンは手伝わず俺の後ろをただただ歩いている。こいつは使えない。まともに俺に協力する気がないのか。


 俺は竜王の巣について町民に尋ねてみる。しかし、


「りゅ竜王の巣!? ししししししし知らねぇ!」


 とめちゃくちゃビビリながら返答された。

 ほかのものに聞いてもだいたい同じような反応だ。


 ここまで恐れられているのか。名前を出しただけで逃げていくなんて。


 中々教えてくれ人がおらず困っていると、


「ペレスさーん」


 アイシャが俺を呼ぶ。


「どうした」


 そういいながら、アイシャの元に向かう。


 ミナとレミもアイシャの元に集まってくる。


「場所分かったわ! この町から南西方向にあるらしいわ。大まかな地図書いてもらったから、これを頼りにいきましょう」


「よくやったぞ」


「親切な人がいるものだね」


「場所が分かったならさっそく行くか」


 俺がそう言って行こうとしたとき。


「ちょ、ちょっと待って。ほんとに行くの……?」


 アイシャがそう言ってきた。かなり怯えているようだ。


「当然だ」


「でも、めっちゃ怖い所だって言う話もいっぱい聞いちゃって……」


「名を馳せた戦士が巣に入った30秒後に断末魔の悲鳴が聞こえてきたとか」


「せ、世界中の超強力なドラゴン達が集結している巣だって話を、私は聞いたよ」


 3人はブルブルと震えながら話す。

 かなりビビッているようだ。


「来たくないなら別に来なくてもいいぞ」


「「「う……」」」


 そういうと、3人は集まってコソコソと話し出した。


「ど、どうするの?」


「ここで待つという手もあるぞ」


「ちょっと会わなかっただけで私たちの顔忘れるような人だよ。覚えてないよ」


「でも死ぬかもしれないのよ!?」


「ミラーシュ様の命を果たせないのは、部下として死んだも同然だ……行くしかない……」


「うう……そうだね……」


「お前さ、聞こえてるから、コソコソ話す意味がまったくないんだよなぁ」


「「「うわっ」」」


 前にも似たようなパターンあっただろ。学習能力がないのかまったく。

 てか、ミラーシャ様って誰だ。こいつら冒険者って言ってなかったか? まあ、何でもいいか。


「じゃ、さっさと行くぞ」


「うぅ……憂鬱だぁ」


「これが最後になるかもしれないか……ミラーシャ様のためならこの命、捧げてもおしくない」


「私は惜しいよ~」


 かなり不安そうな3人。別に危なくなったら助けてやってもいいことはいいけどな。


「ふん。トカゲどもを相手にするだけじゃろーに、大袈裟じゃのう」


 メオンは特にビビッていないようだ。


 その後、俺達は地図を見ながら、竜王の巣へと向かった。



 ○



 町を出て、しばらく歩く。


 そして、3時間ほど歩いた所に、馬鹿でかい穴が地面に空いていた。


 これが竜王の巣の入り口か。


 ここまでデカイ穴なら、わざわざ場所を聞かなくても発見できたのにというくらいデカイ穴だ。


「うわー。大きい穴……」


「うん大きいねー」


「……大きいな」


 あまりの大きさにそれ以外の感想が出ないようだ。


「じゃ、入るか」


 俺がそう言った瞬間、「ギャオオオオオオ!」というドラゴンの雄たけびが聞こえてきた。

 その雄たけびを聞いても俺は気にせず、穴に入ろうとしたが、


「ちょ、ちょ、ちょ、ちょ! ちょっと待ってくださるかしら!?」


 アイシャがそう言った。焦りで言葉遣いがおかしくなっている。


「心の準備をするべき。うん、絶対するべきだよ」


 ミナが熱心にそう言ってくるが、


「俺はとっくに出来てる」


 そう言って穴に入った。俺が入ったのを見てメオンもあとに続いた。


「ま、待ってよー」「待ってくれ!」「ううー! 入るしかないのー?」


 ほかの3人は情けない声を出しながらも穴に入ってきたようだ。




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