第6話 殺してくれるらしい
「な、な、な……」
俺の再生を見てメオンはわなわなと震えだした。
「なんじゃとー!!??」
メオンが大声で叫んだ。
「うるせーな」
「ふ、不老不死!? いや、ありえぬ……ありえぬぞ……ただ単に物凄い自己再生能力があるだけじゃろう! この我ですら、不老不死の術の完成はまだ全然出来ておらんというのに……」
「ん? なんだ。お前、不老不死の術完成させたんじゃないのか」
「研究段階じゃ。そうそう不老不死の術など完成できるわけあるまい。まあ、まったく進んでいないわけではないぞ? 若返ったりするくらいの事はできる。この我を見よ。いくつに見える?」
「……12歳」
「こ、これは15歳の頃の我の姿じゃ!」
15歳なのかよ。発育悪いな……たぶん135cmくらいしかないよなこいつ。
「で、本当は何歳なんだ?」
「聞いて驚くのじゃ……何と……」
「何と?」
「18歳なのじゃ!」
メオンはドヤ顔で言った。
「ほとんど変わってないじゃん」
「何!? 馬鹿を申すな! たった3年でも若返れるというのはすごいことなのじゃぞ!」
「あ、そう。いやさ、凄い古い口調だから、てっきり100とか200とかいうと思ってたんだよ」
「この口調は祖母の影響である」
「ただのお婆ちゃん子なのかよ」
紛らわしい奴だな。
「我が偉大なる祖母、そして1000年に1人と呼ばれた超天才邪術師である我が、かなりの労力をかけて研究したのが不老不死の術だ。それでもまだ若返る所までしか研究がすすんでおらぬ。我らでもできぬのじゃから、不老不死の奴などこの世におるわけがないのじゃ」
「いや、現に不老不死なんだが……1万年も生きているんだが」
「い、1万!? 世迷言を申すでない!」
「本当だし。あまりにも生きすぎて飽き飽きしていたから、どうにかして不老不死じゃなくなる方法を探していたんだ。お前が不老不死の術を開発できていないのなら、俺を不老不死じゃなくす事も出来ないだろうな。無駄足だった。帰る」
俺はそう言ってアジトから出ようとする。
「待てい!」
メオンに大声で呼び止められる。
「お主の妄言を聞き逃したままにはしておれん。死ぬ為にここに来たと申したな? 分かった。お望みどおり、この我がお主を殺してやろう。ありとあらゆる邪術を使用すれば必ず死ぬはずじゃ」
その言葉を聞き俺は振り返る。
「マジで!」
「うお! なんじゃそのめちゃくちゃいい笑顔は!?」
「殺してくれるのか! お前いい奴だな! 見直したぞ! よし、じゃあ早く殺してくれ! 今すぐ殺してくれ! いやーワクワクするなー」
「……何か気持ち悪いのじゃが」
「何が?」
今から死ねるというのだから、うきうきも当然するだろうに。
メオンはどん引きという表情で俺を見てきている。
何で引いているのかまったく理解が出来ない。
「そこまで喜ばれるとやりたくなくなるのじゃが……まあよい」
メオンは杖を持って、俺を殺すための邪術を使い始めた。
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