妹はダウン症でした そして天使になりました

@shizuku3

第1話 妹はダウン症です

 2019年5月の水曜日、母と私は妹が入院している病院へ行きました。

病院はとても古く、入院施設と療養型施設が併設しています。一般病棟から療養病棟に足を踏み入れると、ぷーんと排せつ物の匂いが鼻をつきます。


まりちゃん、こんにちわ。

高い声で母親が声をかけます。

妹の病室は4人部屋で、同室者は高齢の寝たきりの方ばかりでした。

妹は少し年齢は若いものの、やはり寝たきりで、言葉を発することもなく、

ベットから自力で起きることも出来ませんでした。

たいていは寝ていて、覚醒することがあっても、母と私を認識しているかどうかは不明でした。


食事はとれていますか?

今日はだいぶ食べましたよ。

看護師の方からそう聞くと、少し安心するのでした。


私はおむつと手袋、ウエットティッシュの在庫を確認して、足りなそうであれば売店に買いに行きます。

母は洗濯物をバックに詰めます。


母は妹に声をかけながら、少し涙がにじんだような目元を拭いていました。

それからベットを起こして、スプーンでゼリーやお茶を飲ませたりしていました。

私はその間、誰もいない食堂でスマホをいじりながら待っていました。


まりちゃん寝ちゃった。帰ろう。

そんなふうに毎週水曜日は病院に通っていました。


私は母の住む実家から、40分ほど離れた隣の市に住んでいて、

会社員の夫と、認知症が始まった主人の母と暮らしていました。

パートとはいえ仕事をして、家のことをして、週に一度病院に行く母親の送迎をしていました。








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