第七十六話 王に会おう

 前回のあらすじですわ。

 王に呼ばれたので会いに行く、そんな感じですわね。


 さて、そんなわけでしてワタクシ達はエルハリス王国の王都にやってきましたのよ。


「いやー、凄いですわね。この街だけでも魔王領の全村合わせた敷地より広いんじゃありませんこと?」

「確実に広いわねぇ」

「――魔王領の王都狭い……」


 オカマとナルリアちゃん酷い言いようですわね。


「ぐぬぬ……」

「マ、マウナさん落ち着いてください」

「ふむ、強固な城壁に厳重な警備体制。航空戦力が無いとなると、攻めるのは容易ではありません」


 マウナさんは悔しがっておりアルティアさんがなだめておりますわね、しかし……大陸最大の国と滅びそうだった国を比べるのはどうかと思いますわよ、そしてキノコ中尉は何故か攻める事を考えておりますわね。


「そう言えば、お嬢ちゃん達は王都は初めてだったか」

「ええ、王都では活動しておりませんわね」

「そうか、この王都の人口はコルリスの三倍だからな。街も大きいだろ」

「そうですわね、魔王領の王都もせめてこの半分の規模にしたいですわね」


 そうこうしていると、ワタクシ達を乗せた馬車は王城へと着きました。

 門が開き更に馬車で中へと入っていきます。

 少ししたら馬車を下りそのまま、客間に通されましたわ。


「少々お待ちください」


 ワタクシ達を案内してくれた御者の方が去っていきましたわね、代わりにメイドさんがお茶を持ってやってきましたわ。


「どうぞ、お茶でも召し上がってお待ちください」


 手際よくお茶を並べていき、メイドさんも出ていきます。


「流石は王都ですわね、メイドの容姿レベルも高いですわね……」

「ど、どこに、か、感心してるんですか?」

「うふふふ」


 三十分ほど待たせれると、ようやく偉そうなオッサンと兵士がやってきましたわ。


「国王がお会いなられる、ついてまいれ」


 太った大臣は吐き捨てるように、そう言うと部屋をさっさと出ていきますわね。


「まったく、何故この俺がこんな薄汚い冒険者をわざわざ呼びに行かねばならんのだ」


 ぶつぶつと文句を垂れておりますが丸聞こえですのよ。


「何ですのこのオッサン? 偉そうですわね」

「この国の大臣よぉ」

「あら? では殴るのはやめておきましょう」

「そうねぇ、流石に殴っちゃまずいわよ」


 ワタクシはストンプトゥで小石を作ると、親指で小石を弾き大臣の後頭部に撃ち込みます。


「あ痛!」

「プフ!」


 大臣がワタクシ達の方を睨みますが知らん顔しておきましょう。

 隣を歩く兵士も笑いをこらえておりますわね。てかプフってわかりやすく笑ってるの誰ですのバレる所だったじゃありませんの!

 後ろ見るとガリアスさんでしたわね……


 ――

 ――――


 さて、ご立派な扉の前に来ましたわよ。


「ここが謁見の間だ、ここに王がおられる」


 大臣が説明をしますが、ここに案内されて豪華な扉見りゃほとんどの人が分かりますわよ。


「――おぉ、ここに王様がいるのか!」


 殆どの人は分かりますの! 分からないのは一部ですのよいいですわね。


「客人をお連れしました」

「入れ」


 兵士が扉を開けワタクシ達は謁見の間に入りますわ。

 すると玉座に髭を蓄えた、いかにも王様! といった感じの初老の男性が座っておりました。


「大臣ピルポスよご苦労であった下がってよいぞ」

「しかし王よ、このような輩と」

「下がれ」


 大臣はピルポスと言いますのね……ダサイ名前ですわね。しかも王様に睨まれてますし、コイツ何がしたいのでしょう?

 おずおずと下がっていくピルポス。


「大臣が失礼をしたすまない」

「いえ、気にしておりませんわ」


 王様は改めてワタクシ達を見回すと。コホンと咳払いをします。


「此度の事、報告は受けている。コルリスの街を救ってくれたこと礼を言わせてほしい」

「いえ、王様。私達はコルリスを完全には救う事が出来ませんでした」

「そなたがマウナ殿かな?」


 王様がマウナさんに話しかけました。


「はい、私はマウナ・ファーレ。冒険者と共に今ではファーレ魔王領の長も務めています」


 マウナさんの紹介に、王様と周りにいた家臣たちがざわつきますわね。

 まあ、当然ですわよねー魔王だって言ってるようなものですものね。ほら配下の者と王様が話しておりますわよ。


「な、なんと魔王領の……するとそなたは魔王だとでもいうのか?」

「はい、そうなります。ですが私は人間と敵対するつもりはありません」

「わ、わかった。マウナ殿の話はあとにしよう。まずは諸君らに色々と話を聞きたいと思っている」


 魔王の事より先にセンネルの事ですわね。


「ガリアス、ベティよ久しいな」

「は、王よご無沙汰しております」

「はーい王様、久しぶりねぇ」


 オカマすげーですわね、王様相手にその態度は無いですわよ。流石にワタクシでもあの態度は出来ませんわよ……


「うむ、いつも通りのようじゃな」


 ある意味オカマの凄さを見ましたわね……


「さて、行き成り本題に入らせてもらうぞ。センネルの事を聞きたくてお主等に来てもらったのでな」


 王様が尋ねますと、ガリアスさんが一歩前へと出ましたわ。


「私から説明いたします」


 ガリアスさんが自分の調べた事に加え、ワタクシ達の事に中尉の言っていたことを纏めて王様に話しておりますわ。

 それから二〇分ほどするとようやく話が終わったようですわね。


「なるほどなぁ、アヤツめそのような事を企てていたか」

「ええ、後ろで糸を引く者がいるはずです。注意すべきかと」

「あいわかった」


 王様は近くにいた兵士に話しかけます、すると兵士は何度か頷き部屋を出ていきましたわね。


「センネルを拘束しここに連れてくるよう命じておいた。もし何も企てておらぬでも、街がああなったのはヤツの闇市が原因ならば厳罰に処さねばならんからな」


 王様はそう言うと、深く息を吐いた。


「あのような輩が我が国の貴族とは恥ずかしい限りじゃな」


 王様は改めてワタクシ達に向きなおしました。


「さて、そなたらの活躍は相当のものと聞いておる。褒美を与えねばならぬな。どのような褒美が良いか?」


 褒美は同盟と決めていますのよね。


「ガリアスは爵位とかどうじゃ?」

「ご冗談を、ガラではありませんよ。私への褒美は街への復興資金でかまいませんよ」


 ハゲご立派ですわね。


「欲の無い奴じゃな」

「褒美欲しさにやってたわけじゃないですからね」

「そうか、お主がそうでよいなら、儂からは何も言わんよ」


 すると今度は王様は椅子を立ち、マウナさんの前にやってきましたわ。


「マウナ殿、貴女方は何を望まtれるか?」

「貴国との同盟を望みます」

「同盟ですと?」

「はい、先ほども言いましたが。私は人と敵対する気はありません。むしろ良い関係を結びたく思っています」


 マウナさんの提案に周囲の人間すべてが息をのみます。

 当然でしょうね、魔王が同盟しない? と提案しているのですから。


「同盟が成立するのであれば、まずは我が魔王領はコルリス復興の支援をお約束しましょう」

「……なるほど」


 周りがざわついておりますわね。

 魔王の国などと同盟何てとんでもないといった内容が殆どですわね。


「王様、ワタクシからもよろしいかしら?」


 ワタクシが言葉を発すると王様はワタクシの方を向きましたわ。


「そなたは話にあったマナカ殿であったな」

「ええ、マナカ・クナギと申しますわ。以後お見知りおきを」

「それで、マナカ殿は何か?」

「ええ、ワタクシからも同盟の事に関してですわ」


 王様は聞く体制になりましたわね。

 さあて、ネゴシエイト開始ですわね!

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