Ask for blue blood.
うーまろ
第1話
「ここか。やっと見つけた。ここに青ざめた血とやらがあるのか?」
しんと静まり返った森の中、死に物狂いで探しやっと探り当てた。
どこに行っても治療は無理だと言われた。
死ぬしかないと思っていたが、偶然手に入れた怪しげな本に書かれていた、存在するかも分からない場所。
忘れられた医療の町「ヤーナム」
かの町では治せぬ病を治すとか。
ただ気になる記述もあった。
「かの地、獣の病なる奇病あり。救う手立てなし。ただ獣は狩られるのみ。青ざめた血を求めよ」
獣の病とはなんだ?
青ざめた血となんだ?
聞いた事もない。貴族の血は青いと聞くがあれは、ただの比喩だ。実際に青い血を流している貴族を見た事はない。
しかし、獣の病になった者は狩られる?つまり殺すって事か?
これが本当なら人の命を何だと思っているのか?こんな町があるわけない。
あるわけないんだが、ないと私は助からない。
怪しいとしか思えない情報を一縷の望みとしながら、ここまで辿りついた。
山を越え、薄暗い森を進み、方向感覚も失い、このまま死ぬのかと諦めかけたところだった。
もう体力も気力も限界だった。
レンガ作りの立派な建物には看板が立て付けられており、そこには
「ヨセフカの診療所」と書かれていた。
そして私は膝から崩れ落ち、気を失った。
目が覚めると診療台の上で寝ていた。辺りを見渡すとどこかの書斎かと見紛うほど、本がビッシリ並んでいる。
「ふむ、死んではいなかったようだね。ここへ来るとは、よほどの理由があるとみえる。なにを求めにここへ来たのだね?」
後ろ姿だけでは判断出来ないが、そこには車椅子に座った白髪の人物がいた。
「青ざめた血を求めよ。私が見た本にはそう書かれていました。それがあれば病が治ると。事実であるかどうかは分かりませんでしたが、それだけを頼りにここまできたのです。」
キイキイと車椅子が鳴り、老人が振り向いた。
紳士服を着ているが、どうも怪しげな雰囲気のだ。
見ているだけで怖気立つ。
「ほう青ざめた血ね。なるほど、そうか。」
「確かに。君は正しく、そして幸運だ。」
徐々にこちらによって来る。薄汚れているようにも見えるが、作りはしっかりしている。それなりの地位の人物なのだろうか?
「しかし余所者にその術を教える法もない。血を受け入れ給え。」
血を受け入れるとは何のことだろう。
まぁ、元々ここに来て、青ざめた血とらを探さないと命がないのだ。
助かる為なら何だってやるしかない。
でなければ、何のために死ぬ思いをしてここまで来たというのか。
私は老人に向かって了承の言葉を言った。
「よろしい。ならば契約書だ。」
私は出された契約書に記入事項を書いたのだった。
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