第19話 国王と

「それではウィン殿。本題に入ろう。」


「あぁ、なんだ?」


「君の力はどうやって手に入れたんだ?」


真面目な顔で訊いてきた。


「……。」


「すまんな、野暮な質問で。だがどうしても知りたいのだ。報告にあったのだが息子を襲ったテンペストコングを瞬殺したそうだな。とても10歳が出来る所業では無い。それが出来る理由を教えてくれ。」


「……すまねぇな。詳しいことは教えられない。いずれあんたが信用出来ると判断した時に教えることになると思うがな。だが今教えられるとすれば、これはスキルのおかげだという事だな。そしてこれはイルゾにも言ったがこの力をいたずらにこの国や善良な人々に振るわれることは無いと誓おう。この国が俺の敵に回ることがなければだがな。」


罪のない人に力を奮ったって仕方ない。

俺は別に悪魔でもなんでもない。

前世は善良な一市民だったからな。


「…わ、分かった。君に信用を得られるように最大減努力しよう。もちろんこの国は君の敵に回ることが無いように善処する。」


「済まないな、自分勝手で。」


「いや、それが恩人である君に出来る数少ないことだ。」


「そうだウィン。陛下の言う通りだ。貴殿は僕の命の恩人なのだから。」


「ありがとう。そう言ってくれると助かる。」


そう言うと皆嬉しそうな顔をしてくれた。

悪いな。俺は何も教えられないというのに。この人達なら言っても良いのではないかと思うがだめだ。俺の目的のためには仕方ない。


「さて、君のSランク昇格のことはギルドマスターに通しておこう。特例がないとはいえ、勅命とあらばあいつは動いてくれるだろう。そしてそれと同時にSランク冒険者となったウィンバルド・スフィンドールは国王が認めたと触れを出そう。もし力だめしや、気に入らないなどの理由で手を出したら打首であるとな。」


「それはありがたい。」


「ハハハ、他にも欲しいものがあれば言っていいのだぞ。」


今はいいかな。


「いや、結構だ。悪いな。」


「そう言うと思った。謙虚だな。」


「あんがとよ。」


「こちらこそ。ではこれで今日は帰って良いぞ。今日はありがとう。」


「分かった。じゃあこれで。また会おう。」


「あぁ。」


「またなウィン。」


「またお会いしましょうウィンくん。」


そう言って部屋を出る。

騎士に連れられ城を出る。


「帰りの馬車はこちらです。」


そして案内されるがまま馬車に乗り、町への帰路につく。


あぁーそういえば、どうせならレジュにも会いたかったな。

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